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やまなし(全校音読)
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やまなし(宮沢賢治)21.9・6

(1)全校音読ー「やまなし」の指導 
全校音読を試みて4年目を迎える。一週間ごとに詩を覚えて全校の場で発表をするという方法である。ところが、隙間の時がある。2学期の第一週がそうであった。(夏休み明けであらかじめ指導をする時間がなかった)そこで、音読指導を引き受けて指導内容を次のように構想をした。
○教材の選択
  1年か6年という幅で読めるものを考えた。4年生の教科書の詩、古典、校歌と考えていくうちに「やまなし」(宮沢賢治)が思い浮かんだ。
  作者、作品、音読という用件を満たしていると考えた。
○指導の方法
  指導の時間は20分なので範囲を冒頭の部分にした。プリントは用意せず、当日、音読を聞き覚えるというようにした。全校音読終了ごプリントの配布を各教室で行うという方法にした。
○指導の展開
はじめに、目当ての設定。次に音読を聞く。そして、感想の交流と音読の繰り返し。最後は感想の発表というように考えた。
○留意事項
  前日に1年から6年の児童1名にはプリントそ渡し読ませておく。音読の範囲は「小さな二ひきのかにの子どもらが、青白い水の底で話していました。」から「それはゆれながら水銀のようにひかって、ななめ上の方へ上っていきました」までの全部で14の文章にした。(「小さな谷川の底を写した、二枚の幻灯です」を含めると15の文章)
  また、教科書の本文を示す(挿絵が印象に残るようにした)
(2)指導の実際
@課題の提示
  作品名と作者名と文章を覚えることが目的であることを伝えた。
「1年は1文、2年2文と学年もの数以上覚える」と指示しました。
A文ごとに音読をする
学習範囲の音読をする。音読は前日にプリントを渡しておいた6人。1分ずつ読ませる。
B音読の感想を伝える
  即席で、各学年の当日の日直を全校の前に立たせて音読を聞いた感想を発表させた。
C文章を読むときの大事なところ を指導し、全校で音読をする。
  出てくる動物、お話の場面、繰り返し出てくる言葉などを指導した。
D音読を繰り返す
6年の子供音読を軸に自分が覚えてところを声に出して一緒に音読をする。また、教師と友達と一緒に全校で音読をする。授業の感想を発表をする。(プリントは教室で配布)

(3)全校音読指導で工夫
  全校音読指導で工夫したことは次のことである。
@全校という場をいかしたこと。
  1年から6年の子が一人1文を音読するという役割をもったことは、子供に緊張感を持たせる上で効果があった。
それぞれの子がしっかりと音読をしたことで場面の様子など印象的に理解できたようである。
A話を引出す方法を指導したこと
感想を聞く場面で6年生に感想を聞く役割(司会)を持たせた。
  感想を発表する子は、即席に指名をされた1年から5年まで日直である。心の準備もないまま簡素運も発表になる。
  6年の子はいきなり、「感想を言って下さい」と言い出そうとした。そこで、それを遮って、話を聞き出す方法小声で指導をした。
○自分の感想を言って、それか  ら聞く。
○「どう思いましか」とか、「どの言葉を覚えていますか」とか聞きたいことをしっかり言う。
  この後、司会の子は次のように質問をした。
「6年の野崎です。ぼくは、川の底のきれいな様子を一番に思いました。これが僕の感想です。どんな感想を持ったか聞かせて下さい。」と質問をした。聞き方がよかったのだろうか、5年生は「大の言葉が出てこないのはどうしてかなと思いました」と感想を述べた。3年生は「感想が二つあります。一つは、クラムボンという意味がわからないことです。二つめはかにがかわいいなということです」と1年と2年は「クラムボン」が印象に残ったという意味のことを発言していた。から5年までの感想をを聞き出した。(感想の述べ方の上手さを取り上げて紹介をした)数秒の指導を受けてしっかり司会の役割やり遂げたので、緊張感がいっそう高まった。
C教えることと指導をすることを 分けたこと
  どの授業でも教えることと任せることを分けることが大事であるという考えは、全校音読でも同じである。全校の場で発言したり音読をするという言語活動の機会は子供にはそれほど度々あるものではない。そこで子供の活動を多くしようとして、教師の出方を控えた。その結果、次のような活動が生まれた。感想を発表する子、感想を聞く役割を担う子、音読をする子、学習の感想を述べる子というように役割を持たせた。
  指導では次のことを行った。ことは、キーワードの見つけ方、感想の聞き方や発表の仕方を指導をした。活動を見守ることに力を注いだ指導であった(京都女子大学)

(4)学習と子供
  全校音読でどのくらい文章を覚えたのか、翌日の朝、登校してきた子に尋ねた。 覚えている文してあがったのは「クラムボンは笑ったよ」「クラムボンはかぷかぷ
わらったよ」など会話文が多かった。「つぶつぶあわが流れていきます」「二ひきのかにの子どもらが、青白い水の底で話しています」を文として覚えている子もいた
  感想は「きれいな詩だと思いました」「かにの子ども様子がかわいい」「やまなしがでてこないので題がわからない」などであった。家で本を読んだという子もいた。かなり印象に残っているようであった。クラムボンについては「かに」「プランクトン」「魚」をイメージしているようであった。「かにが出てくる」「読み方がプランクトンに聞こえた」「英語でクラム」はかにだからなど
  この授業について感想を書かせて下さった。次に作文がそれである「私はこの詩を一人で読んだことがあります。一人で一人で読んでいるときは何となくよくわからなしつまらないなと思っていました。でも6人で読むと感じが違うなと思いました。目をつぶると川の底にかにがしゃべっているのが見えるからです。人が増えるにしたがっただんだんイメージが広がっていくのです」音読の不思議さと力を感じた作文であった。

 
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