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国語科教室
入門期の国語教室
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▲入学式の日は「おめでとう」のシャワーを浴びる。
 その一年生にとってうれしいことの一つが教科書を手にすることである。
 明日からは、教科書を使って勉強する、文字が覚えられる、ぴかぴかの
 鉛筆を使って字が書けるといううれしさがこみ上げてくる。
・・・そんな期待をもって次の日登校したのに、子供達の思いに沿った授業には出会わないことが多かった。
扉を開いても、教科書には文字がない。挿絵を見ながら先生が
「何が書いているの」
と問いかけるけれど、何を答えていいのか分からない。
わからないままに一日が終わる。学校って本を読んだり
字を書いたりするところと思っていたのにという今までの張りつめていた気持ちが揺らぐ。
・・・私がかつて、出会った一年生はきっとこんな気持ちだったのではないかと思うことが多かった。

▲私が小学校に入学をしたときは、国の国語政策でカタカナからひらかなに文字が変わるときであった。
入学前、母がカタカナの読み書きを完全に教えてくれていた。ところが、入学式の日、
「これからはひらかな」と言われあわてたと母から何回か聞いた。
教科書の第一教材は「おはなをかざる みんないいこ なかよしこよし みんないいこ」と
ひらがながならんでいた。さっぱりよめなかったが、先生がオルガンで歌ってくれたので
歌を歌いなが知らず知らずのうちに文字を覚えたような気がする。
従来の入門期の教材に満たされない気持ちがあるのはこんな体験からであろう。

▲入門期の教材は、一生覚えていてくれるような心に残るものであってほしい。
先生と一緒に勉強した教室の雰囲気をいつまでも温かく持ち続けてほしいという気持ちがある。
そのためには、どの子も最初の教材を、宝のようにして大事に心にしまっておいてもらえるような
ものがいいしそんな教材にしてほしいと強く願っていある。

教材「はる」(光村)は、新しい時代にふさわしい教材である。国語が言葉を学ぶという原点を
しっかりと押さえている。文字を覚える、言葉と出会う、言葉と心をつなぐという国語の
これからの芽を内に包んでいる。良い言葉の使い手になってほしいという
願いが具体化されているのがすばらしい。。
教科書の扉を開くと「はる」という文字が飛び込む。

 はるの はな さいた
 あさの ひかり きらきら

 おはよう おはよう
 みんな ともだち いちねんせい

知っている字がある。いつも使っている言葉がある。
先生が、字をよむ。みんなだ先生の後に続いて読む。
読めない字もあるけれど、読んでいると楽しい。
一人で読む みんなで読むと楽しいことがわかる。
  「学校っていいな」 「勉強ってたのしいな」
そう思って読んでいたら、歌が聞こえてきた。
何回も読んでいるうちに、「はる」の詩を覚えてしまった。
知らず知らずのうちに口ずさんでいる。
自分が期待したように勉強が進んでいく。
言葉が増えていく。特別の物知りでなくても絵のお話をできる。それがうれしい。
それが入門期の国語だと思う。
 
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