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国語科教室
あいうえお
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  低学年の子どもは、面白いこととそうでないことを極端に態度で表す。面白いとき、興味があると きは、体を乗り出し、声を張り上げて話したり、発表したりする。しかし、そうでない時は、緊張感を なくして私語をしたり、立ち歩いたりして、あるいは、よそ見をしたりして、つまらなさを直接表す。
  子どもが緊張感を持って授業に臨むのは、学習活動に変化があり、子どもの心を捉える何かがある。それは、音読であったり、挿し絵を話題にした話し合いであったりする。しかし、その活動が何時までも子どもの心を捉えているものではない。

 教材「あかるい あさひだ あいうえお」は、入門期の子どもが意欲的に取り組んだ学習の一つである。その概要をまとめると次のようになる。

 先ず、子ども達が興味を示したのは、声を揃えて読むことであった。「あかるい あさひだ あいうえお」「いいこと いろいろ あいうえお」「うたごえ うきうき あいうえお」という文を大きな声で読んだ。遠足に出かける子どもの気持ちを表すように弾んだ声で子ども達は読んだ。すでに、一回目の音読で、声が大きかったので、かなり読めると判断して、一人ずつに読ませるようした。
  一斉にこの段階で緊張感はなくなった。
  「あかるい あさひだ あいうえお」と最初の子が読んだ。声が小さいので、聞いている子なくざわついた雰囲気になった。次の子に。この子は大きい声。声の小さいか大きいかで教室の雰囲気は微妙に動く。
  再び、緊張感を取り戻すべく「あかるい あさひだ」を一人で読ませ、「あいうえお」はみんなで読むというように変えた。これが効いて、授業はなめらかに進んだ。
  繰り返し読んでいるうちに、今度は学習の単調さに飽きが見られるのを感じた。
   T 楽しい絵ですね。何の絵ですか。
   C うさぎが男の子とお話をしている。
   C やぎがお話をしている。いいことがあるよっていっているよ。
   C うたをうたっているの。みんなでうたをうたっているの。
   T じゃあ、次の絵はどんなお話かな。
というように絵を手がかりにしたな話し合い(というよりは、教師に向けての発表であるが)をすすめた。そのうち、話の進み具合が理解できているのかどうかが気になってきた。
   T えんそくって書いてあるでしょう。遠足って知ってるの。
   C 知ってるよ。お弁当を持って行くの。
   C どこかへ行くの。公園とか。   
  このように、表現は幼いが内面にあるものを引き出すように働きかけた。
  子どもが発言しなくなったり、話題に乗ってこなかったときは、子どもの心を引くような活動を設定するということを考え、「あいうえおあそび」にした。
  挿し絵をもとにして、見つけたことを文にするのである。
   T おそらは 何色ですか。
   C 青色。
  このような、分かりやすい発問は子ども達は最初は緊張して答える。挙手がうれしいのである。子どもの言った通り板書をする。
    おそらは あおいろ あいうえお
板書を読ませる。今、考えたことが文字にになっているので、読む声も大きい。
  T すみれについてお話ができるかな。
  C すみれがさいてる。
  C すみれがきれい。
示していく。飽和状態になるまで続けるのである。行儀良く発表をさせる場合もあるし、子どもに寄り添って聞く場合もある。そして、子どもがみつけた言葉の後に「あいうえお」を続ける。
    C  すみれが  さいたよ  あいうえお 
    C  にっこり  わらって  あいうえお 
     C  おにぎり  おいしい  あいうえお 
  新しさや珍しさを求める子ども達には、同じ形式では続かないこと知っていいたので、変化を持たせ、学習の方法を理解させる事を目的に「あいうえお」を繰り返した。  
  どの子もが理解できた段階を見計らって、用紙を渡し、自由に書かせた。ここからが個別指導になる。
  すぐに書ける子には、書いた用紙に○をつけ、次の用紙を渡す。方法が分かっていない子には、話を聞いてやり用紙に手本を書く。そして、新しい紙を渡し理解できたかどうかを確かめる。
  分からないと言う子にはそばにつきそって話を聞き、 書き始めだけを示し、続きを書かせる。その後を読ませる。緊張が続かない子には、二人で互いの書いたのを読ませたり、自分のを読ませる。 例えば、書き方の困っている子に次のように指導をした。
    T この絵は、何ですか。お話をしてごらん。
     C ことり
     T 小鳥がどうしているの           こ ○ ○ ○ ○
     C とんでるの                と ○ ○ ○ ○
     T ことりがとんでるということですね。
      じゃあ、書いてみよう。初めだけ書いて
      おくよ。(子どもは、用紙続きを書く)
  このような個別指導を続けた。次に示すのは、児童がの作品例
   いえが あるよ あいうえお    あかい すいとう あいうえお
   おちゃを おのもう あいうえお  やぎに くさをたべさせ あいうえお
   ならんで えんそく あいうえお  おにぎり おいしい あいうえお
   すずめが とんでる あいうえお  えんそく たのしい あいうえお
   やぎが めえめえ あいうえお   うさぎが わらってる あいうえお
以上のような学習過程をまとめると次のようになる。
 @学習の目標へ到達する方法は一通りではないので、子どもの実態に合わせて方向を変える方が指導の効果を上げることが出来る。     
 A学習意欲がないように見えて時、その原因が分からないからか、充分に理解をしたからかを見抜き、次の方向を決めることが授業では大切になる。

 
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