ちょっといいはなし
新緑
俳句
ブログ
プロフィール
リンク
HOME > 国語科教育 > 国語の授業実践記録 >
国語科教室
カラパゴスの自然と生物(6年)
back   next 一覧表に戻る
    
   文と語のつながりを考えながら説明文を読む
       ーカラパゴスの自然と生物(6年 光村)


  説明文の読みでは、新しいことを知るという内容的な面白さと表現のよさを、子ども自らが発見する所にある。新しいことを知る学習は、教材の内容に目を向けることであるし、表現への着目は、構成を大切にしていくことを意味する。
 その両面の価値をつなぐためには、教材は長すぎても抵抗が多いし、内容が複雑すぎても、理解にのみ目が向けてしまい、表現のよさへの着目が手薄になる。
教材「ガラパゴスの自然と生物」は、ガラパゴスを「めずらしい生物の宝庫」「貴重な自然の宝庫」と捉え、生物と環境がうまく関わり合いっていることを分かりやすく述べた文章である。6段落、18の文から成り立ち、子どもにはそう抵抗はない。文と語のつながりを考えながら説明文をよむという学習の教材として、ふさわしいと判断して、次のように展開した。(授業としては、2時間扱い)

(1)授業展開の概要
@文章の全文を読む。
文章番号を付し、1文ずつ代わり合って読ませた。読みながら、難しい語句に線を引くように指示をした。
A難しい語句を出し合う
難しい語句については、辞書係りを決め、次のように展開した。
C「ゆうぜん」がわかりません。
C(辞書係)ゆったりと落ち着いている様子です。
C(辞書係)悠然と書きます。
C「ガラパゴスゾウガメがゆうぜんと歩いている」ということがわかりました。

(C 話し合いを聞きながら意味をメモする)
子どもたちのノートには、次のようなメモが残されていた。

ゆうぜん おちついている
密接 二つものが関わりあっている。深いつながり。
ゆうぜん 落ち着いている様子
有利 都合がよい。
独特 特別にもっている。
発散 外に出す。中にこもっているものを外に出す。
安定 変化の少ない。
環境 まわりの状態。

B、段落の書き出し、結びの文を確かめる
文章を黙読し、内容の大体を理解する。その後、次のように文章を読ませた。
・段落の書き出し、結びの文を確かめる。
・段落の文の数を確かめる。
文の数、書き出しを確かめながら、段落の役割の大体を理解させていこうという考えからである。
(次のような表を完成させた)

段落   文頭 〜 文末 文の数

1 太平洋 〜 がある。 2

2 例えば 〜 いる。 4

3 また、ここには 〜 がいる。 3

4 植物にも 〜 がある。 4

5 カラパゴスは 〜 はなれている。 4

6 カラパゴス諸島は、〜 宝庫である。 1

 C 発見読みをしながら、文章の内容を読みとる
 表を作りながら、文章について気がついたことを発表させた。子どもたちは次のようなの発言を続けたは
 C 2惨落は「例えば」だから、例をあげている。
C ペンギンも例だと思う。
C 1段落は、めずらしい生物のことを書いて、2段落からどんな生物がいるかを書  いているので、分かりやすい。 C ガラパゴスゾウガメが大きくなったのは、食物をうばいあうものがいなかったか  らで、もしいたら、大きくはならなかったかもしれない。
C ペンギンもスカレシアも例で、これもめずらしい。
C テレビで見たことがあるけど、大きかった。
C きくが10メートルというのもすごい。
C どうして、こんな大きくなったのかな。そこが知りたい。ふしぎです。
C まとめたのだけど、次のこと聞いて下さい。
ガラパゴス諸島(赤道をはさんでいる・陸地から一千キロメートルはなれている)

めずらしい生物の宝庫

ガラパゴスゾウガメ
(同じ食物をうばあうすばしこい草食動物がいない)
 (カメの肉や卵を食べる肉食動物がいない)
ペンギン
(自然に合うように体の仕組みをかえた)
スカレシア
(安定した気候)
  火山でできた島
人間もすみつかず
(人間が住みついたら環境がかわる)
動植物はわたってこられなかった。

それぞれの生物に最もふさわしい生活の仕方と体の仕組みを発達させた。

こうまとめると分かりやすいから。
(このような話し合いの手がかりになったのが次のワークシートである。

(2)考察
話し合いは、記録のように順調に進んだと言うわけではない。が子どもの発言をつないでいくと、子ども自らが、文章の仕組みを手がかりに内容を深く考えようとしている姿が見えてくる。
めずらしい生物として理解をしたガラパゴスゾウガメやペンギンの生態を理解するだけでなく、5段落の「このような環境が、それぞれの生物に最もふさわしい生活の仕方と体の仕組みを発達させた」という意味にまで考えを広めていこうとした。その学習を支えたのがノートとワークシートである。そのワークシートの手がかりになったのが、子どもの自然な読みである。
更に深く考えるとすれば、

カラパゴス諸島は、生物と環境との密接な関係を私たちに教えてくれる、貴重な自然の宝庫である。

という文の意味を考えさせる方向に話し合いを深めることが必要であろうという反省も残った。この文から「貴重」「自然の宝庫」を手がかりに考えさせることができた〜である。例えば、「貴重な」につながる文を見つけたり、「生物と環境」の関係を読みとらせるという働きかけである。
 
TOPへ
Copyright(c) 2007 絆ー365日 All Rights Reserved