ちょっといいはなし
新緑
俳句
ブログ
プロフィール
リンク
HOME > 国語科教育 > 国語の授業実践記録 >
国語の授業実践記録
根拠を持って意見を述べる話し方の指導
back   next 一覧表に戻る
  生きのびたサケ(5年)

 1、話し方の指導について
 聞くこと・話すことに光が当てられ、急にスピーチやデベートが教室で指導されるようになった。。聞くこと・話すことは心を伝えるという言葉の力の基本になるので歓迎すべきことではあるが、今まででも指導をしたことから何が変わったのかをはっきりしておかないと指導効果が上がらないのではないかというい不安がある。
従来も話し方や聞き方の指導を積み上げてきた。その場合、内容をより豊かに理解するとか深めるためにという目的があった。その場合、少々、話すこと・聞くことのねらいからはずれても、内容が深まったたら、深くは追求をしてこなかった。
 今回は、話し方・聞き方の基本を指導していくことが中心になるので、内容が後退することも予想できる。事実、音声言語指導の大事さが主張されると、どの教室でも、群読や役割を決めて読むという活動が行われた。1時間を1行しっかり読むということが義務づけられた授業も多くあった。国語授業って何だろうと考え込むことも珍しくなかった。
話すこと・聞くことの重視を意識し、スピーチやデイベートが実践されると、今度は、内容より形のみに重点がかかり子どもにとってはおもしろくもなんともないものになっていく事例もあった。
話すことの指導はどうすればいいのかを考え、子どもが話したくなる授業、しかも、話すことの大事さに気づき、方法や技能を求める授業ができないあかと考えてみた。

2、豊かな内容を適切に話す
 話すことの学習で大事なのは、話すべき内容を持つことと、話題の共有である。この話題の共有は、違いを意識するときに生まれることが多いし、確認や広がりを意識する場ではっきりとしてくる。前提として、よい話題が生まれる教材が必要と考えた。
 そのため、授業を構成するに当たって、二つの詩「生きのびたサケ」(鶴見正夫)「水のこころ」(高田敏子)を選んだ。二つの詩は、詩の長さ、リズムなどに違いがある反面どちらの詩も、豊かに読める内容という事で共通性があるので、どの子にも親しみが持てるであろと考えて教材にした。(東京書籍の教材・授業で、もし話し方の学習がく成立しなくても詩を読むだけでも学習の価値があると判断したものである。)
複数の詩を用意したことは、選ぶという視点が生まれてくる。好き、気に入った、難しいなど表し方は様々であっても比べるという活動が必然的に生まれる。この効果を生かそうと考えた。つまり、理由をつけて話すという方法を徹底することに目標をおいた。
理由を添えるということは初めてではない。読解の学習でも行っていたが、今回は話し方に重点をおくと、授業展開がどのように変わるのかに視点を定めた。

3、理由を添えて考えを述べる話し方の指導
@ 目 標 ・二つの詩を読み、視点を決めて選ぶことができる。
       ・選んだ理由を添えて自分の考えを話すことができる。
A 指導計画(1時間扱い)
B本時の展開

学 習 活 動 指導上の留意点
1、二編の詩を音読する。 ○二つの詩を一行ずつ読む。
○詩のイメージを確かめながら、音読を繰り返す。読んだ後、どち らが快いかをメモに書く(ワークシート)
2、二編の詩を黙読する。 ○詩を黙読し、視点を決めて、一つの詩を選びメモをする。○黙読 をしながら、好きな言葉、大事な言葉に線を引かせる。
3、二編の詩の意味を確かめながら読む。  ○詩の内容について、子どもが分かりにくいと考える部分を解説 しながら読み合い、鑑賞をする。
4、話し方のカードをもとに理由を添えて  、自分の選んだ詩を発表する。  ○全員の子どもに発表の機会を持たせる。
○子どもの発表目的を共有し、良さを認め合う場を設定する。
○話し方の型をワークシートに示し、発表の手がかりにさせる。
5、本時の学習を振り返る。 ○学習の感想を書かせ、自己評価をさせる。

C本時展開の概要
T 今日は、話し方の勉強をします。一回はきちんと話す機会がありますから、そのつも りで学習をしましょう。
話す内容は二つの詩を読んでの感想です。詩は「生きているサケ」と「水のこころ」 です。最初 に一行ずつ読んでいきます。(音読)
今度は、通して読みましょう。(音読)
読んでいて、いい詩だなと思ってのはどちらですか。○をしましょう。
T 今度は自分で読んでいきましょう。読んで後に、どう思ったか書きましょう。
では、そのメモをもとに発表をしましょう。
┌─────────────────┐  C 読んでいてBがすきです。
│○ 声に出して読むと、二つの詩では   │ C(何でや)
│ (AまたはB)が ( )             │ C いい言葉があるからです。
│○声に出さないでよむと          │ T 何でやと言ったのがいいですね。
│ (AまたはB)が ( )             │   もし、理由が言えたら付け加え
└─────────────────┘    て発表をしましょう。
C ぼくは、声に出しているときは、Bだったけど声に出さないで読むとAです。サケが  がんばっているのがわかるからです。
(この後、メモをもとに15人の子が発表する)
T サケの生きている様子が心に残った人が多いですね。詩を詳しく考えていきましょう。
このサケは、どんなサケかとか、ここがよいというところに線を引きましょう。わから
 いところでもよろしい。(線を引きながら読む)
Cさけの傷ついた姿が分かるところに線を引きました。「傷ついた背びれ」「泳ぎつづけ る」です。すごく長い旅をしてきたところです。
C「なかまは散りぢり」というのがすきです。
C「なぜそれでものぼるのか」がいいなって思いました。いっしょに考えて読みました。
C「月へ月へのぼっていく」に、深い意味がありそう。なにかわからないけど。
C「少年」というのは自分のことかなって思いました。サケは傷ついているし、少年もき
っと傷ついていると思うから。      
C 私は「水のこころ」からですがい いですか。            
T よい言葉が生まれましたね。「い  いですか。」っていう言い方は最高 ですよ。何がいいか、どこがいいか 
 わかりますか。(考えている)   
T 話したいことの間に、目的を入れ たことなのです。 話は、「生きのびたサケ」で続い   ていたので、みんな そのつもりでし た。だから、このように次ぎ、何  を言うかをきちんと言うのは大事なのです。
  このことで少し考えてみると話し方について勉強になりますよ。   
 ○私はAの詩が好きです。サケが生きているみたいです。    
 ○私は、Aが好きです。その理由はサケが生きているみたいです。             
  二つは同じようなことを言ってい るのだけど、聞いていると違います すね。聞いていて分かりやすいのは 
  どちらですか。C後の方です。後の方は次ぎにどんなことを言うのかが よく分かるのでいいです。   
Cわかった。聞いている人が次ぎに何をいうか分かるよういうのがいい のだね。(このよう話し合いから話  し  方を指導した。)        

意図と考察
○本授業では、詩の内容理解を支えにした、どの子もが話しに参加することを目的としたので形式や方法が大事になっている。 特に、最初はメモを持たせて話をさせた。多くの子は読むことに力を注ぎ、声の大小や、内容についての意識はなかった。それでも、不自然に感じる子が少なかったので、そのまま授業を進めた。
○授業の途中で、話題を変える子があった。偶然であったが「話題を変えていいですか」という言い方が、話し方で大事と考えたので、子どもたちの関心の方向を、ここにしぼった。
○話すということは、話の流れがある。それに沿って話し合いをすることがよい話であるが時々流れを変えるものがあってうまくいかないという例は多い。このことに授業中気づいて、この発言を大事にしようとした。
○本時の目標は、理由を添えてということであったが、理由を添えるという技能的なことだけが目的ではなく、結局、話し合いの基本になる聞き手や流れを意識して話すということにたかまらなければいみがないということであろう。
○授業の後半に二つの例をあげたが、これは子どもが気づく内容であるが、本時の場合は、意識が高まっていなかったので、説明ということになってしまった。
○詩の鑑賞という面で指導が手薄になったように見えるが、話題としてはよい詩を扱うということの大事さを確認した授業でもある。

C本時展開の概要
T 今日は、話し方の勉強をします。一回はきちんと話す機会がありますから、そのつもりで学習を  しましょう。話す内容は二つの詩を読んでの感想です。
  詩は「生きているサケ」と「水のこころ」 です。最初 に一行ずつ読んでいきます。(音読)
  今度は、通して読みましょう。(音読)
  読んでいて、いい詩だなと思ってのはどちらですか。○をしましょう。
T 今度は自分で読んでいきましょう。読んで後に、どう思ったか書きましょう。
  では、そのメモをもとに発表をしましょう。
C 読んでいてBがすきです。
c 声に出して読むと、二つの詩ではいい言葉があるからです。
c 声に出さないでよむと
T もし、理由が言えたら付け加えて発表をしましょう。
C ぼくは、声に出しているときは、Bだったけど声に出さないで読むとAです。サケが  がんばっているのがわかるからです。
(この後、メモをもとに15人の子が発表する)
T サケの生きている様子が心に残った人が多いですね。詩を詳しく考えていきましょう。
  このサケは、どんなサケかとか、ここがよいというところに線を引きましょう。わからいところ  でもよろしい。(線を引きながら読む)
C さけの傷ついた姿が分かるところに線を引きました。「傷ついた背びれ」「泳ぎつづける」です  すごく長い旅をしてきたところです。
C「なかまは散りぢり」というのがすきです。
C「なぜそれでものぼるのか」がいいなって思いました。いっしょに考えて読みました。
C「月へ月へのぼっていく」に、深い意味がありそう。なにかわからないけど。
C「少年」というのは自分のことかなって思いました。サケは傷ついているし、少年もきっと傷つい  ていると思うから。
 
TOPへ
Copyright(c) 2007 絆ー365日 All Rights Reserved