▲日本新聞協会が「新聞配達に関するはがきエッセイーコンテスト」を募集しその最優秀作品、
優秀作品を発表しました。 新聞少年の体験を綴った人、海外生活の経験から日本の良さを
見直したことを綴った人と読みごたえのあるものでした。
▲次の作品は、最優秀賞「突然の雨の中で」は足立さんという20歳の人のものです。
(この作品についてはコラムに紹介をした新聞もありました。)
私がまだ小学生だった夏休み、いつも金色の髪を後ろで束ねた、少し不良
のような少年が夕刊を配達するようになりました。外見のせいか、近所での
彼は、あまり、評判が良くなく、怖がる人もいました。しかし、私はなぜか
不思議に、そんな彼を部屋の中からそっと見ることが日課となっていました。
そんな、夏休み最後の夕方、いつものように彼を待っていると、突然、大
粒の雨が降りだし、私はあわてて洗たく物を取り込んでいる途中、上半身は
裸のままの彼がやってきました。よく見ると彼の上着はなんと、自転車のカ
ゴにつまれた新聞の上にかぶせてあったのです。そして、私の所まで新聞を
届け、私の「ありがとう」の言葉も聞かず、目も合わせず、自転車を押し、
隣の家へ行くと何やらタオルらしき物を取り出したのです。私は気になり、
彼の行動を見ていると、彼はスッと郵便受けの口の部分をふくと、新聞を入
れたのです。その瞬間、私の心は熱くなりました。
そんな彼の姿を見るまで、何も知りもせす、心のどこかで彼を「疑い」の
目で見ていた自分に気づきました。これほど、自分が悲しく、寂しい人間だ
と思ったことはありませんでした。(略)
▲、人を外見で判断してはいけないこと、人の心をを綴ったものですが、
少年の行動に心をうたれるものがありました。
先日、体育の授業を担当した教生先生が、雨で濡れた鉄棒をタオルでふいて
子どもの来るのを待っていました。授業への細かい心遣いを通して子どもへの
愛を伝える姿を、「突然の雨の中で」の少年と重ねて見ていました。
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