ちょっといいはなし
新緑
俳句
ブログ
プロフィール
リンク
HOME > 新緑 >さざなみ抄
国語科教室
情報を運ぶ
back   next 一覧表に戻る
 
9月のある日のことです。学級担任が連絡帳を持ってきました。その連絡帳には、前日気分が悪くなった我が子が保健室で手当を受けたことについて、伝え聞いた内容とお礼の言葉が書かれていました。
気分が悪くなったこと、保健室で休養をしたことは本来、家庭へ連絡をすることなのでが、状況から判断して、本人が伝える内容であると判断して、特に担任からは連絡がいっていなかったことでした。ですから、学校の様子については、家庭は知らないのが当然です。ところが、連絡帳には、詳しく、気分が悪くなった時に、どうのようにしたかという子細が記述されていたのです。その子が、学校でのできごとを丁寧に話し、自分と先生のと関わりを正しく伝えたのだろうと推測できる内容の連絡帳でした。おそらく、伝え方が適切だったのでしょう。お礼を書くというように大人の心を動かしたのですから。
  時々、「うちの子は学校のことを話しません」といわれる方がいらっしゃいます。半分以上は謙遜されているのでしょうが。学校に限らず、子供自身が、自分がお世話になったこと、迷惑をかけたであろうことは丁寧に大人に伝えないといけないことたくさんあります。バスの中で注意を受けた子が、黙っていて、その方が指導の報告の電話を下さった。「そうでしたか」と、学校が電話をするのと、「今朝、その話を聞いて」と言うのとでは印象が違うものです。家庭も学校も、子どもの伝え方で、常識がないと思われることになります。先の事例では、気配りをなさるご家庭という印象を持つことになります。
学校と家庭の間を行き来するのが子どもです。その子の言葉、言い方で、学校の努力や配慮が理解をされる場合もありますしそうでないこともあります。もちろん誤解をされること珍しくありません。一方、家庭の情報を運ぶのは子どもです。時々、「今日は帽子を被らないで行きなさいと言われました」と、制帽を忘れたことをこのように伝える子もいます。そのようなことはあり得ない話ですが、時々、そうかなと思ってしまうこともあります。気になることあると、時々、そのことについて尋ねると、「知らない」とぶっきらぼうにいう子がいます。その言い方一つで、尋ねてわるかったかなとも思います。「適切に伝える」は奧が深いのです。
  「お母さんがよろしくと伝えておくようにと言っていました。」という言葉を託されることもあるでしょう。その言葉が学校へ伝わっていると手応えは希薄です。どの学年というこどでなく、責任を持って伝える力を持つ子に育ってほしいと願っています。
  朝会で折々に、「おうちの方に、吉永がありがとうございましたと言っていたことを伝えてください」「よろしくと言っていましたとい伝えて下さい」と、話していますが、届いているでしょうか。
  一日をがんばって過ごした子が、帰りに少し機嫌を悪くする出来事があり、そのことだけを伝えた結果、おうちの方が、一日中不機嫌だったと思いこんで、学校との信頼関係を損ねたという事例はいろいろな学校で起こっています。もちろん、その子の人間性によりいいことも悪く話すし悪いことでもエネルギーに変えることもたくさんあります。
  一冊の連絡帳から、学んだこと思い浮かべ言葉の力を育てる大事さを感じています。
 
TOPへ
Copyright(c) 2007 絆ー365日 All Rights Reserved