「たたいた」と「かすった」(21/08/17)
「先生、肩をたたかれた。」「頭をぶたれた。」
物騒な話が舞い込んできたと思った。3年の女の子5人。相手は、言葉が粗く、手が早いともっぱらの噂の内海君(仮名)。5人とも「たたかれた」という子を加勢をするように大げさに肯定の動作をする。
「たたかれた」という言葉の裏に、いたずらっ子を懲らしめてほしいという気持ちが強いことは様子を見ているとよく分かった。話題の内海君は平気な顔で遊んでいる。そのことも気分を害しているようである。
内海君を呼んで、話を聞くと「たたいいていない」と否定をした。両方の言い分が全く違う。5対1のようにもなったが、「たたいた」「たたいていない」の食い違いが気になったので、さらに詳しく話を聞く時間を持った。
話し合いで収まらないのでので、実際どのよう位置で起こったかを詳しく再現した。子どもたちの言葉で言えば「現場検証」なのだそうだ。難しい言葉を知っているが、即座に否定をした。現場検証は、普通「物事が現在行われているあるいは実際に行われた場所」が現場、「実際に調べて証明すること」が検証。使い方は間違っていないが、最近のテレビからは、犯罪のにおいがする。今回は、理解ができないので、実際にその場で説明を聞くことをいうような意味を教えて場所を移動した。
その時の位置や、動作を繰りかえしていく過程で分かったのは次のことであった。内海君が手を振り回していたところへ女の子が通りかかった。その時、手が触れた。手を振り回したので「かすった」も本当であった。意図的ではなかったのが、「たたかれた」と思ったのも本当である。正確にいえば「たたかれらたように思った」であろう。「かすった」と「たたかれた」という両方が正しい表現であるのは事実だったが。
相手に、たたく気持ちがなかったことが分かった。すると、互いの気持ちが理解できたのか、「ごめんね」と言い合った。できごとは解決したが、このままでは、いけないと思い、なぜ、このような行き違いを起こったのかを考えさせた。沈黙が続いた。
話題を変えて、「あなたたちは、朝、互いに、挨拶をしていますか」と聞いたら、「していない」という返事であった。つまり、日頃からなかよしでなかった関係が生み出したトラブル寸前のできごとである。まず、挨拶から始めようとと提案をしてその場を治めた。
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