「芦田恵之助国語教育全集」を読んだ。
「きり花は美しいけれども、時を経たら枯れてしまひます。
教育が流行を追ふ一時のものであってはなりません。
深くその場に根ざした、しかもその時に適した、誰もが安んずるものでなければならないと思ひす」 という文言がある。
「誰もが安ずる」
というのは、意味の深い言葉である。
「それではどうすればよいかといふことが問題になってきます」
と続く。
「よくなるといっても、わるくなるといっても、要は児童の
上に存することですから、何よりもまづ児童の上にあらはれる事実を観て、
よく児童を知らなければなりません」
と児童がどうなっているかを大事にしなさいと説かれる。
今、色々な場で、総合だ教科だと議論がある。ややもすれば
子どもがどうなのだという面の議論が置き去りになっている時もある。
「児童心理学・児童衛生学を心得てという前に、自分の目自分の耳で、
児童の言動を見たり聞いたりすることにつとめなければなりません」
と目の前の児童をしっかり見るようにと諭される。事実から学び、
直接児童に接し指導をする事の大事さは今も変わらない教育の原点である。
久しぶりに書をひもとき学ぶことが多い。特に印象に残ったのが
「子どもは育つことを喜ぶものだ」
という言葉。子どもが自分の成長を他人から認められるのも嬉しいが、
自分で自覚し気づくことであろう。それが原点。 |