「分かった人、手を挙げましょう」
「できた人は、手を挙げましょう」
と、いう言葉が教室には多い。これは「できているか」と確認の言葉であるが、子供には指名を受けるという付加の部分がある。だから、簡単には挙手をしない。学年が上がるにつれて挙手が少なくなるのは、挙手は「指名をしてほしい」という意味であり、「自信がある」というシグナルになる。しかし、指示を聞くということから考えると、少し違和感を感じる。
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勢いよく「ハイ」と挙手し、指名してもらおうと先生を目で追っていた。ところが指名してもらえないので、今度は立ち上がって挙手をした。それでも先生の目に止まらないので、椅子の上に乗って「ハイ・ハイ」と威勢のいい声を出した。「そんな格好をしないで、座って手を挙げなさい」と指示をされて指示通りにした。随分利口な態度で挙手をした。しかし、指名はしてもらえなかった。「なんや、当ててくれへんのか」と一言。この場合、挙手をどう捉えるのだろうか。
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「たくさん手が挙がったね。五人の人に発表をしてもらうよ。まだ、発言をしていない人にまず、発表をしてもらおう。」その後、次はよく似た考えの人から一人、違う考えの人から一人だよ。」さらに、当たらなかった人は「ノートに考えを書く時間をあげるから、何を書くか考えておきましょう。」という指示で競争のように挙手はしないが、本当に意見が言いたいという雰囲気を醸し出す挙手と、確認の挙手を見分けることができる。授業の技である。
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