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電子絵本作りの授業
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  楽しさ・易しさ・新しさ
  「電子絵本つくり」の学習から得たもの


 突然恐縮ですが、この年になって、「手紙」を書く楽しさを味わっています。といっ  ても「手紙」とは電子メールのことです。電子メールとはインターネットを利用した もので、手紙とは違った多くの機能を持っています。例えば、地球の裏の遠方の相手  にでも一瞬で送れたり、一度に多くの相手に送ることができます。手紙の比べ筆無精  の者でも肩を張らずに書ける気楽さがあり、電話のように一方的でないし、新しい意  志疎通の道具です。今の子どもたちが大人になる頃には、電子メールは仕事上でも、日常でも欠かすことができない道具になっているでしょう。
ーこれは、「総合的な学習への移行を考えて」という発想で授業を試みた3年生の学習指導案の書き出しである。(授業者は三〇代の青年教師。情報機器操作を得意とする)単元名は「電子絵本を作ろう」、いわゆる情報機器(今回はコンピューターを利用)活用を目的としたものである。
  子どもの実態として、指導案には「状況判断ができない・相手の気持ちをよく考えずに行動する・自分をみんなの前で伸び伸びと表現しにくい・根気が続かない」等が記述されていた。しかし、授業を見た限り、これらのことをすべて乗り越えた姿があった。それどころか、むしろ、意欲的に友達と関わり、課題解決に向けて、創意工夫した喜々とした姿があった。その姿に興味が持ち、要因を考えて見たくなったのが、本稿の動機である。
  実践を試みた学年構成は、初任者(二〇歳代・女)・青年教師(三〇歳代・男)・ベテラン教師(女)そして、経験豊かな初任者指導教員(女)の4名で、学年の共同研究といのう形で進められた。  

@子どもの豊かな発想を支える教師の役割
  学習に利用したのは「お絵かきソフトのキッドピクス」。(情報教育を推進している学校では珍しくないが)この機器活用の手軽さが、子どもの多様な発想を生み出した。機能として、普通に、画用紙で絵を書く時のような面倒さがない。失敗に気づけば、すぐに「消去」できるし、スタンプのような「繰り返し」好きな絵の原形を「修正」すれば、どんなものにも変形できる。さらに、色を塗るのも、一瞬に出来る。イメージに合わなければ、違う色を「選択」し、広さに関係なく、全体でも、細部にでもイメージ通り作り上げる事ができる。
  この手軽さに子どもは気に入り、2枚の絵を並べ、間違い探しをしたり、漫画を作ったり、さらには、ポケモン探しと名付けて隠し絵を描いたり等々自在に活動を展開した。しかし、器械操作上、子どもの手に負えない部分やトラブルが生まれる。操作に得ている 場合は良いが、そうでないと、それに詳しい同僚や、学年の協力を求めざるを得なくなる。つまり、新しい形でのTTが生まれることになる。機器に関心が有る無しに関わらず、操作を学び、方法を会得しないと授業が進まない。ベテランといえども、今までの指導技術で安閑としていられない。勢い研修に熱が入る。研修過程で、いわゆる「子どもの目の高さ」で状況を判断し、つまずきを知る大事さに気づくし、面白さを感じる。いわゆる共感である。
  共同研究をしたベテラン教師が授業研究会で「試みてよかった」というつぶやいたが、新しい自分発見の本音であろう。手持ちの指導技術で越えられない壁に気づいたことからでもあろう。

A学習の易しさ・楽しさを生み出した発信・受信
子どもたちの作った作品を掲示し、誰もが見られるように廊下に張り出された。そして、その掲示に「メールボックス」なるものを設け、感想や意見を交換させるという仕組みがあった。名付けて「里小パソコンメール」パソコンに達者な青年教師の知恵である。形式はB5版の用紙を半分にしたもの。この手軽さが子どもに受けた。9つの作品対して、多い場合は39通・少ない場合でも17通の手紙(コメント)が数日のうちに投函された。一人平均5通は書いていることにある。表現力がないという実態を持った子どもたちの心を動かしたものは、受信・発信の機能を持った手紙交換である。
  ○ゆうちゃんへ。まちがいさがしは、すごくむずかしくて、おもしろくて、たのしか ったよ。字も大きくてよみや     すいから、また、まちがいさがしをするね。こんどは、もっとむずかしいのをつくってね。
  ○すごくいいはなしだたです。その名のとおり、しぜんを大切にするおはなしですね、  ○ポケモンは九ひきい   たよ。あんまり、いみがわからなかったけど、すごくおもしろ   かった。本みたいに答えをはんたいに書いた   りしてよかった。
  ○どうくつのイメージはよくできているけれど、カービやグーイが少し変です。もうち   ょっと色をこくしたほうがい   いよ。
子どもの投函したメールという名の手紙は、読みやすく、また、内容がはっきりしているので、もらって嬉しいものであった。特に、作品についての感想が的確で納得できるものが多かったようである。授業研究会では、「もし、相手を傷つけ内容があたら、それを活用して、電子メールのエチケットを指導しようとしたが、そのような内容はなかった。むしら、相手の良いところほめたり、新たに提案をする内容が多く、気持ちが良かった」という授業者の言葉がさわやかであった。つまり学習内容の易しさ・気軽さが楽しさに響いたといる受信・発信活動であった。

B新しさへの魅力を引き出した話し合い
  最初は、お絵かきソフトを活用し、絵を書くことを楽しんでいたが。友達からの感想を手がかりに、グループでの新たな話し合いが生まれた。
  C 色をもう少し考えた方がいいっていう手紙だったけど、どうする。
  C もう少し、明るくしようか。(機器を操作しながら)これくらいでいいの。
  C 色だけでなく、模様も代えたらいいよ。眞ちゃんどう思う。
  C ぼくは、今のままでいいと思うけど。
というような話し合いが教室のあちこちで生まれた。友達の期待や注文にどう答えるかという課題があるので、話し合いも真剣である。話し合いに参加しない子には「聞いてほしい」という注文がつくし、意見には真剣に耳を傾ける。その支えになっているのは、話し合いが良い作品になっていくという効果を知っているからである。
  新しく作り出した、作品は、最初のものと比べて、はるかに、魅力的になっている。返事のメールに目を向ける子も出てくる。話し合いが生み出した力である。
       ※    ※    ※
この実践から学ぶことは何かを授業後、考えていた。「電子絵本」と言う発想は、絵本作り、あるいは、お話つくりという学習と似ている。電子メールという名の手紙交換もある。グループの話し合いあった。しかし、これほど子どもの意欲を高めたといえるもので無いことも多い。
「電子絵本作り」に見せたものをひとくくりでまとめれば、「楽しさ・易しさ・新しさ」という事になる。その視点で、基礎基本となる言葉の力を育てる授業を見直したらどうなるのだるか。

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