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国語科教室
作文を読み返す力を育てる指導(2年)
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 1、読み返す力を育てるということ
 2年生で育てたい力に「文章を読み返す習慣を育てるとともに間違いなどに注意すること」がある。
 自分が書いたものを読み返すことは
 @自分の文を大事にする態度を育てる。
 A書きたいことが書けているかどうかを見直すことで考える力を育てる。
 B書き加えたり、書き直したりしながら、見方や考え方を鍛える
という力を育てているのである。
2、授業の計画と展開の概要
 @教材名  できるようになったこと
 A目 標 ○ 自分ができるようになったことを、知らせたい相手を決め、文を書くことができる。
○ 自分の書いた文を読み返して、よくわかる文に書き直したり、間違いを正すことができる。
B指導計画
   第1次 「こまを回せるようになったよ」を読んで、書く意欲を持ち、題材について話し合う。(1時間)
   第2次 詳しく書くための手だてや表記上の注意を思い出し練習をする。
 題材を決めて詳しく書きたいことをメモして、作文を書く。 (4時間)
  第3次 班の中で作文を読み合い、お互いの作文について話し合い。(本時)
友達の作文を読んで、それを生かして自分の作文を読み返す。(3時間)
C本時の目標
○ 友達の作文を読んでよさを話し合う。
D本時の展開
1、本時のねらいを知る。
2、各班から選んだ作文を発表する。
3、作文を聞いて、気づいたことを発表する。
4、自分の作文を読み返す。


   作品A こまがまわせた。(S男)
家でこままわしのれんしゅうをして、さいしょに 4〜5回くらいしっぱいしてやっとこまがまわせました。
カラカラ おともはげしく、あんていもわるかったけどうれしいです。つぎもまわせて、あんていもあたけどいもうとにとめられてくやしいです。だけど、9時から9時15分もあっというまでした。2回まわせましたこれもいながきひろしくんのおかげです。

○作品ついて
 作品は、こまをまわすという目的を達成した喜びである。回すことができる手前まできて、上手くいかなかったがようやく回せた喜びである。カラカラという音の何という快さ、伝わってくる。
授業では子どもたちは次のような感想を述べていた。
○子供同士の評価
C 9時から9時15分と時間が書いてあるところがよかった。
C 音ははげしくがよかった。
C 大北君のおかげですのところ。
C 手伝ってもらった人の名前が書いてある。

作品B できた(M女)
 わたしは、こまを前の図工の時間に作りました。青やみどりをつけて・・・・。できました。
わたしは、後をむいて、
「え口さん、おしえてね。」
と言うと、え口さんが
「わかったわ。」
と答えました。わたしは、聞くと前をむいて立つとひもとこまをキキともつと、え口さんのいる
ところへカカカといきました。え口さんに
まずひものまきかたを教えてもらいました。
「小林さん、このひもをきつくするねん。」
わたしは、
「どこ、やってみて。」
「ここやんか。」
え口さんが、
「このまま回してみ。」
わたしは、
「うん、やってみるわ。」
と答えました。ろうかでやってみました。でも、タイヤ回りでかべにたくさんぶつかりました。
もう一回やってみました。でもだめなので、わたしは、はりきって、がんばって、元気をつけて
心の中のもう一人の自分にいいきかせてました。おもいきってやってみました。できたか
と思うとできません。タイヤ回りで1組の前で止まりました。
つぎは、まっすぐにやりました。その時はひもでまくのをわすれてしまいました。
しょうたくんにひもをくるん、くるん、くるん、くるん、 くるん、くるん、くるん、くるん、
くるんとまいてもらいました。いきおいよく、回そうとしたらひもの形がこわれたしまいました。
またしょうたくんにくるん、くるん、くるん、くるん、 くるん、くるん、くるん、くるん
まいてもらいました。つぎもいきおいよく回しました。でも、だれかの足にあたって
回せませんでした。つぎは、自分でまきました。
くるん、くるん、くるん、くるん、 くるん、くるん、くるんとまきました。
つぎに、こまにおねがいするねと心の中でいいました。やりました。
回りました。わたしは大ごえで、
「できた。」
とさけびました。楽しくて、うれしかったこの気もちはい今でもわすれません。

○ 作品について
 初めてこまを回す初々しさが全体に広がっている。ひも巻くときの頼りなさが印象に強く残る作品である。こまの習熟度からいえば作品Aの方が勢いよくまわっているように見える。それだけに、観察の目が鋭く作品も詳しく書く材料が多かったからである。

○子供同士の感想
C 青やみどりのところが上手。
C くるん、くるんがよかった。
C 最後のおねがいするねのところ。
C 「できた」とかいてあるのを題にしたところ。

3、授業について
 2年生の子どもの「作文の見直し」を授業として構成をするとどうなるのかと考えてみた。子供同士の感想の交流では、「詳しく」というのを次のように捉えていた。
・色・音・会話を使って書く。
・題名を考えて書く。
・内容を分かりやすく書く。
作品は、自分の経験を書きためるということを目的としている。つまり、書きたいことが気持ちよく書けたかどうか、そして、自分の気持ちよさを読み手が分かってくれたかどうかであろう。その点では、本時は、班という舞台で選び合うというい設定が効果を発揮したといえる。
 本時から少し発展するが、推敲を叙述を直すというだけでなく、考え方の推敲ということへも幅を広げることもできる。作品Aであれば、「大北君はどんなことをヒントにくれたか」とか、作品Bは「回ったこまをわかりやすく」という方向に進むであろう。子どもにすれば、「もう一つの作品を書く」ということも推敲になる。つまり、生き方の推敲である。
 ところで、作品Aを書いた子が、話し合いの後、自分の作品にどのように見直したかというのは気になるところである。大胆にそして率直に出来たことを喜んでいるので可とする考え方もできるし、更に詳しく書かせたい部分もある。
また、作品Bの子の場合、詳しく書くことを意識しすぎたことが、作品にしまりがなくなった感じがする。が、目的に照らすと十分果たしているとも考えられる。読み直しを大事にするということのかだいであろう。
 一般に、詳しくと書くというと「音」「会話」等が対象として浮かんでくるが、大事なのは「音を書き入れることにより、何が詳しくなったか」ということであろう。作品Bでは「くるり」の繰り返しにより、ひもをまく様子が浮かんでくる。もし、この子が他の表現を知っていたら、あれだけの繰り返しが必要かどうかは吟味の対象になってくる。
 作品を読み返すということは、自分を大事にするということから考えれば次は内容の推敲ということへと発展するのであろう。
 
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