○「サラダでげんき」物語の順序と関連性に気を付けて読む(
教材「サラダでげんき」は、主人公のりっちゃんが病気のお母さんのために何かいいことをしたいと考え、お母さんがたちまち元気になれるようにサラダを作ろうとすると、色々な動物が順番に出てきてサラダ作りに協力してくれるという楽しいお話である。お母さん思いのりっちゃんのもとに登場する様々な動物は、自分に関連した食材や効能を教えてくれる。りっちゃんは、動物たちのアドバイスや協力を受け入れ、思いを込めてサラダを作る。りっちゃんやみんなの思いが重なって完成したサラダを食べたお母さんがたちまち元気になるという、お母さん思いのりっちゃんとりっちゃんを助ける動物たちのお話である。 主人公のりっちゃんが児童と同じ年頃の女の子であるため、子どもたちはりっちゃんを自分に重ねて読んでいくことができ、お話が想像しやすくなっている。ユニークな挿絵や主人公に協力してくれる魅力的な登場人物とそれらの個性を活かした会話や行動、擬声語が文章に小気味よいリズム感を与えており、子どもたちが楽しく本文を読むことのできる教材である。また、この教材は、登場人物が増え場面の展開が繰り返されている「おおきなかぶ」につながる教材であるが、登場人物が増えて行くだけの「おおきなかぶ」と違い登場人物とその行動や会話の内容にいたる展開が繰り返されており、読み取りのレベルは上がっている。
一の場面では、お母さんが病気で「なにかいいことをしてあげたい」「もっともっといいこと」「たちまちげんきになってしまう」「いっしょうけんめいかんがえました」などの言葉から、病気のお母さんを思うりっちゃんの優しさとサラダを作るようになった理由を読むことができる。
二の場面では、りっちゃんがきゅうりとキャベツとトマトでサラダを作り始める。「トントントン」「シャシャシャキ」「ストントントン」と擬声語によるリズミカルな表現からりっちゃんがはりきってサラダを作っている様子を想像することができる。
三から九は、動物たちが次々に登場する場面で、動物の登場する様子、サラダにいれる食材、食べるとどうなるか(効能)が書かれており、同じようなやりとりが繰り返されている。登場してくる動物たちは、りっちゃんの身近な「ねこ」や「いぬ」から外国に住む「しろくま」や「アフリカぞう」と徐々に遠い所から来るようになってきておりお話の世界が広がっていることが読み取れる。登場の仕方にも、動物の特徴的な様子が描かれており、ねこは「のっそり」いぬは「とびこんで」ありは「ずらりとならんで」アフリカぞうは「せかせかと」などそれぞれの動物で異なっている。「猫―かつおぶし―木登りが上手」「犬―ハム―ほっぺたが桃色」「すすめ―とうもろこし―歌が上手」「あり―砂糖―働き者」「馬―にんじん―走るのが速い」「白くま―こんぶ―風邪をひかない」「アフリカぞう―油・塩・酢―力が強い」というように動物と食材と効能には関連性があり、食材は動物たちの好物であり、効能は特技や長所となっている。
六の場面では、「こそこそとちいさなおと」は、ありがやってきた音であるが、このありがやってくる音を想像すると聞くことができないくらい大変小さい音であると分かる。登場の仕方は、「ずらりとならんで」と書かれている。「ずらり」は同じ種類のものがたくさん並んでいる様子を表し、また挿絵からも5〜6ぴきではなくたくさんのありが一列に並んで登場してきていることが分かる。「おさとう」はありの好物であり、元気の源である。このおさとうを「ちょっぴり」は、「ほんの少し」という意味なのでサラダの隠し味になっていると考えられる。そして、このおさとうの「おかげ」でありは、元気で働き者である。「はたらきもの」は、小さな体で自分より大きいものを運んでいる姿から、元気で働き者というイメージと結びつけることができる。このように、人物が登場する順序とそれぞれの様子の特徴に着目して、挿絵や文章からお話全体の順序や関連性を読むことができる教材である。
|