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「ヒロシマの歌」の授業
(05/02/01)


「ヒロシマの歌」の授業をさせてもらった。子どもさん達にとっては、学級担任の先生のやり方と違うし戸惑われたことだろうと思う。子どもの思いとは逆に、新鮮な気持ちで授業ができた。
その時の記録をまとめて下さったのが次の研究通信である。(A県Y町O小学校)

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公開授業から学ぶ

「ヒロシマのうた」

テキスト ボックス: 本時の授業展開
@自分の学び後の姿を想像させる。
A音読をしながら読みの深さ・言語事項の確認
Bノートに題名と日付を書く
Cヒロシマのうた(カタカナやひらがなで題名が書かれる理由)
Dヒロ子ってどんな子?(話し合いのテーマ)
E発表3人→自分と比べて聴き意見を言う→発表者が感想を言う(関わり合う学習の形)
Fヒロ子が見せるいくつかの感情の移りを単方向的な読み方でなく、なぜ色々な感情が変化したのかを考えるべきだ。
G「わたし」はどんなことを思ったのか見つけよう
・心の中に置き換えるとどんな言葉に置き換えられるでしょう(迷っている)
H汽車はするどい汽笛を鳴らして、のぼりにかかっていました。(ヒントになる言葉)(色で言ったら何色)(今までは暗い色)
I私はそれを胸にかかえながら(それは何)
J振り返り(賢くなったこと)
《国語の授業とは》

吉永先生の授業から、子どもたち以上に私たち教師が多くのことを学んだ。先生は子どもたちを通して、私たちに多くの示唆を与えてくださった。

@長文の読み方

長文の物語を教材とする場合、全文を読むのには時間がかかりすぎる。だからこそ、授業の視点をはっきりさせて読ませていかなければ焦点がぼける。主題に関わる(焦点化したいところを重点的に何度も読ませる)

A国語として指導しなければならない言語事項。

全ての言語事項を拾い上げて指導することはできない。主題に関わる文を取り上げて音読をさせながら指導を進めることが効果的。

B関わり合う発言のさせ方、また、そうした発言をさせる指導方法。

自分の考えたことを発表することはできるようになったが、相手を意識した発言や自分の考えとの違いを聞き取り、自分のことばで言うことが白浜の子どもたちは欠けている。初歩の段階では、「発表者は前に出て質問や同意の意見を受ける。さらに、自らが感想を述べる。」と言う方法から、発言する側も聞く側も同時に緊張感を持って鍛えられるのである。

C教材解釈の重要性

 長い物語を読ませる場合、子どもたちに多様な読みをさせるためには十分な教材解釈が必要となる。本単元でも、「わたし」を中心に話が進められているので追って行く文はやはり「わたし」であろう。ヒロ子に視点をあててきた白浜の解釈は間違っていたことになる。そのために、子どもたちが核心に迫る読みができなかったのではないだろうか。「ヒロシマのうた」という題名にこだわり続ける授業。「わたし」の生き方を通してヒロ子に迫る授業。心情を色で表す方法。国語の授業のあるべき姿を多角的に示していただいた。

 私たちの今までの授業がどれほど未熟で、確実なものでなかったかを思い知らされた。まだまだ、子どもが育っていない。吉永先生の授業についていけない子どもたちを見てかわいそうにも思ったと同時に、我々の責任の重さを感じた1時間でもあった。

 授業の始めに、学び後の姿を子どもたちに想像させ、振り返りでどれだけ賢くなったかをたずねられた。子どもたちは「いつもと違って、本当に勉強したような気がします」とか「いつもとは違う頭を使った」と書いた。

帰りの子どもたちのランドセルにはいっぱいのお土産を詰めて持たせることができたかどうか、私たちは真摯に受け止める授業をしていかなければならない。