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国語科教室
お話を作る(2年)
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  読んで楽しかったことを生かして、お話を作るー王さま出かけましょう(2年)
 2年生の教室にでは、子どもたちが、楽しそうに「王さま出かけましょう」(光村)を読んでいた。にこ にこしながら読んでいる。そこで、
 「国語の本をよんでいるの」と尋ねた。
「おもしろいですか」という問いかたをしなかったのがよかった。というのは次のような子どもの発言が生まれたからである。
「この王さまおもしろいよ。とってもゆかいだもの。」
「子どもみたいな王さまだよ。勉強もあまり好きでないみたい。」
「王さまは、みんながからかっているのを知らないし真剣な所が面白い」
「ぼくね、お家にたくさん持ってるよ。いまも読んでいるの。」
と、次々と話をする。子どもにとって楽しいお話であることはその話ぶりから理解できる。そのうち、何人かの子が、
「ぞうは、たまごを生まないのに、この王さまは、本気でたまごを生むと思っている」 「つばめにからかわれているのがわからない王さま」
というように話が弾んでくる。すでに、読みながら、ほとんど内容を捉えていると判断し、担任が出張した2時間を次のように展開した。
(1)寺村輝夫の「王さま」のお話を聞く
読み聞かせから初めた。「そっくりな王さま 大さわぎ」(理論社)「ぞうのたまごやき」(理論社)「しゃぼんだまのくびかざり」(理論社)「ゆめのひまわり」(理論社)を選んで読み聞かせた。全文を読んだのは、「そっくりな王さま 大さわぎ」で他は、始めの部分を読み聞かせた。というのは、続きを読みたいという気持ちを起こさせたいということと、教材へのつながりを考えたからである。
子どもたちの知っている王さまとお話の王さまも同じ王様で、子どものようにわがままで、とんでもないことを言い出すことや仕草にもおもしろさがあることに気付かせたいという思いもあった。
期待したように、子どもたちは、素直に王さまの人物像のおもしろさを受け止めて
「おもしろい。」
「同じようなことがあっておもしろい」と言い出した。そこで、再度教科をよみ、おもしろいというところを探させた。内容的なこともあったし、表現的なこともあった。 話題を変えるつもりで、
「この王まが、2年ろ組にいたらいいな」
と、話しかけたところ、子どもたちは、急に勢いづいて、
「お話にしたらよい」
と、提案した。この子どもの思いを生かすべく、「私たちでつくるおおさまのお話」を考え合った。
(2)お話「雨のすきな王さま」をつくる
お話をつくることになって、まず考えたのは題。外を見ると雨が降っていたので、

雨のすきな王さま 2年ろ組 作

と、板書した。これが子どもの心を動かした。「2年ろ組作」というのが気にいったのである。そこで、次のように働きかけた。
「お話の始まりをどうしようか」
先に聞いていたお話の余韻もあったし、教科書という手がかりもあったが、子どもたちには、もう少しはっきりしないところがあったらしい。反応が鈍い。そこで、
「王さまでかけましょう を読んで、考えよう。」
と働きかけ、書き出しだけを読んだ。部分的に読み、感想を出させた方が勢いが出るように感じたから。

 王さまの へやの まどの 上に、ことしも つばめが やって きました。
つばめは、いっしょうけんめい すを 作りなおして います。
王さまは、気に なります。ときどき そっと のぞいたり します。

C 王さまのしていることが書いてある。
C 王さまのことを普通にかいている。
という意見を取り上げて、教室の中に王さまがいたらどうしたかを考えさせた。
C 王さまが勉強しています。
C 王さまは勉強をやめて外を見ています。
という発言があり、子どもたちが気にいったものということで、

王さまは外を見ています。

という書き出しを決めた。その後は、共同作文ということでリレー式に話をふくらませていった。

外は雨がふっています。
王さまは気になります。
外であそびたいのに、雨がどんどんふります。

この中で、「王さまは 気になります」は、「王さま出かけましょう」の中で、
 「読んでいておもしろい。好きな言葉」
と、子どもたちが共感した文である。筋運びだけでなく、表現もまた、子どもの文作りに生きていく。
次に子どもたちが気に入ったと言ったのが、「もっと、べんきょうしなさい」とい言葉である。王さまが最も身近に感じる部分である。

「雨がふっているときは、べんきょうしなさい」と大じんがいいました。
「雨がやんだら、べんきょうするよ」と王さまがいいました。
そこへ、かたつむりとかえるがきました。
王さまは、かたつむりのこうらがほしいと思いました。

 特に授業で話題になったのは、かたつむりとかえるを登場させる時であった。かたつむり もかえるも共に雨が好きであるし、お話の中での役割を想像することは容易であった。王さまがこの小動物にどう関わるかも興味があった。
「どちらにするの」と尋ねても支持は半々ということで両方を登場させた。
その結果、すぐに子どもたちが思いついたのは、
「かたつむりのこうらがほしい」という王さまの思いつきであった。このあたりも。「王さま出かけましょう」が手がかりになっていたように思った。

「こうらがほしい」
と王さまは言いました。
「だめです。こうらがなければもぐれません。」
王さまは、こまりました。
「王さまには、かさががにあいます。

この後をどうするかが問題になった。続きを「自分たちで作りたい」という子ども希
望で、それぞれに考えたことを作るように指示をした。次の文例は子どもたちが、考えたものである。

C 王さま、かさやへいきましたあ。
C 王さまはのかったかさは、かたつむりとかえるの絵がかいています。
C かたつむりの絵のところがあながあいています。

この授業で、子どもが「自分たちでしたい」という気持ちになったのは、共同で作ることでお話作りの手がかりが具体的に描けたからであろう。
特に、初めに「王さま」シリーズを読み聞かせたことが、子どもにお話を作る意欲を持たせた。
 
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