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国語科教室
子どもに試される
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  「かにの本」という教育書があります。子どもを良くないように育てるにはどうすればよいかを書いている逆説的教育論です。
その本からではないですが「あの子、いじわるするの」「勉強がわからない」「いやなことをされた」等、一見マイナス面を伝えに来ることがあります。それをそのまま受けて「そう、いじわるな子ね。」等肯定をすると必ず、次もその話を持ってきます。親の反応を試している時があるからです。
 知人から次のような話を聞いたことがあります。
 始業式の日に宿題で新学年の気持を作文に書く宿題がありました。知人の子どもは、その日遊び疲れて、眠い目で書いたので、紙がくしゃくしゃになり字は間違いが多かったそうです。
 翌日提出した作文に担任の先生は「字がきたないですね」とコメントを書いて返されたそうです。その子はショックを受け「もう作文は書かない」「先生は嫌いや」と言い、どうしたものかと友人に相談したそうです。
「親が試されているのだから」
という助言を受け、知人は、子どもに
「初めての作文を、あのような物で出したら、だれだってそう思う。 きっと先生は、 お前の本当の姿がしりたかったのだと思う。」
本音ではなかったようでしたが、一言が息子の意欲に関わると考え精一杯のメッセージを伝えたそうです。そして、担任の先生にも息子のがっかりした様子や親の気持ちを伝えたということです。
「先生は、やっぱりぼくのことを真剣に考えていてくれた。」
大発見をしたように学校から帰ってきたというのが後日談です。
「あのとき、もし、お前もがんばったのにもう少しましなコメントがないのかな」
って、息子の立場に同情して本当の気持ちを言っていたらと思うと背筋が寒くなると言うのも付け加えていました。
 子どもに自信や意欲を育てるには時には、大人も演じることがだいじなのだと知人の話を思い出す度に考えます。
「かにの本」ははっとすることが書いています。

 
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