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国語科教室
あのひとこと(私の道徳の授業から)(04/07/10)
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  ○自分の生き方と比べ、新しい生き方について考えさせる学習3年 あのひとこと(学研)

資料「あと、ひとこと」
「こんどは、ぱうけんごつこをしようよ〕
テレビゲームにあきて、黒田くんがいいました。 
となりの家の、へいの上を歩こうというのです。ぼくは、(こまったな)と馬いました。家の人にとめられていたからです・
「うん、おもしろそうだな。木下くんもやるよな。」
と、中山君がのり気でいいました。「「いやだ。」とは、いわせないようき口ぶりです。
「ーぽくは、やっぱりやめとく。」
ぼくは、小さな声で、さそいをことわりました。
「いくじなし、こわいんだろう。」
「しないのなら、いいよ。きみとはあそばないから。」
ふたりがそういうのて、ぼくははらがたって、石ころをけとばしたりたんぽぽのはっぱをむしったりしながら、家へ帰りました.
げんかんに入ると、お母さんが顔色をかえて、
「たいへんよ。ブロックのへいからすべりおちて、黒田くんと中山くんが大けがをしたん ですって。」
「えっ、ほんと。さっきまで、いっしょだったんだ。」
ぼくは、あそんでいたときのことを話しました。
「えらかったけど、でも、少したりなかったわね。」
ぼくには、お母さんのいおうとしていることが何か、だいたいいわかっています。


資料「あとひとこと」は、友だちの危険な遊びを止めることができなかった主人公の心の葛藤を表している。どもたちの日常の生活の中には、よくあるできごとであるが、あらためて、勇気とは何かについて考えさせるに適した資料である。
きごとは、テレビゲームに飽きた三人の子どもの生活から始まる。何か体を動かすような激しく、しかも、冒険したくなるような遊びがしたいという気持ちに共感させなければ一人、主人公だけがいい子になってしまう。
T みんなの中にも、たいくつした時、何かかわったことをやりたいと思う時があるでし ょう。この子たちも一緒だったのだね。
C うん、ある。そんな時、あぶないあと考えてないよ。
C あぶないことの方がおもしろいもん。
C もっとやれということのを思うことがいっぱいあるよ。
T そう。そうすると木下君のような子はどう思う。
C いい子だと思うけど、やっぱりおかしい。
C そんな時、みんな、そうそうと思うよ。
T 禁止されていることでも、やってみたくなるのだね。 r
資料を読み豊かさを求めるということは、資料に表れない部分に、子どもの目をどれだけ向けさせるかであろうと考えている。したがって、授業では、先ず、誰が考えてもやってはならない行為をした二人の少年の行動を自分でもそんな行動をしたかもしれないという気持ち、つまり、当然のものとして考えさせることを大事にした。
T 木下君は、そんな気持ちをふきとばしてまで止めたんだけど、それでも、お母さ
んに注意されているね。
C 自分だけ止めていたから。
C みんなに言えばよかったから。
C 危険なことが、わかっているのに、そのことが言えなかったから。
授業の中では、子供たちの考えは、とたんに元に戻ってしまう。三年生の子にとって、資料は絶対的な価値なのである。したがって、このように発言をもとにした話し合いをどれほど続けても深まらないので、立場を変えて考えさせた。
T お母さんは、どんなことが言いたいか、考えたことを書いてみよう。
発表と同じことであるが「本当は、こうするとよかった」という、子どもたちの心の中にあるものを出させた。「こうするとよかった」ということは、逆に考えれば、こうすることができなかったにつながっていくのである。
T その通りにできないのがどうしてかわかる。
C なんか、みんなと違うことをやるのがわるいから。
c その時は、そんなあぶないとは思っていなかったから、仕方がないと思う。
C そうじゃなくて、言いたくても言えない。
C ぼくだって、そんな時はある。
C 言いたいけど、言うと、弱虫と言わせるのがいやo
T 木下君が言えなかったけど、それには理由があるのだねo
C そうそう(うなずく子が多い)
T けれど、その結果、二人は大怪我をしてしまったのだね。大変なことになったね。
このような話し合いを通じて、子どもの心の中に残しておきたかったのは、人に注意をしたり、自分が正しいと思って.いることを相手に伝えるには、勇気がいることであるが、それをしなくては、それ以上に大変なことがおこるということであった。
一人ひとりの子どもたちが、自分の経験と比べて、できごとを考えることは、話し合
いだけでは、上すべりになる。
そこで、子どもたちの今の思いを書くという方向に向けた。
T 木下君、どんな気持ちだろうね。自分だったら、どうだろうね。それを考えよう。
C 後悔していると思う。きっと、そうだよ。
c もっと、二人のことを考えていればよかったと思って、お母さんの言ったことを考
えていると思う。
T 木下君に、言ってやりたいことってある。
T 木下君が、その日、日記を書いたとしたら、どんな日記を書いたと思いますか。
子どもたちの思いを、次の二つにまとめ選ばせた。
A 木下君に今の気持ちを伝える手紙を青く。(相手を決めて書く)
B 木下君になって、その日の日記を書く。(自分の思いを反映させながら書く)
いずれもが、主人公に自分の思いを伝えることを意図したものである。この二つの活動の中で選ぶということも、子どもたちには決断のいるところであろう。
資料の人物に出会うということは、その主人公の行動を自分と比べて考えることであ
る。比べるというのは、つき放すということではなく、自分の中にある、強さや弱さを
みつけることである。
資料「あとひとこと」では、その場の雰囲気から、自分だけしか決断できなかったが、本当は、もっと勇気を出して、他の子にもすすめればよかったという悔いを実感として受けとめることであると考えた。そのために、日記や手紙の形で、自分をふりかえるという場を設定したのである。
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