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国語科教室
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田 中 由 一

☆28歳の時に出会った少年・実業団陸上の指導者・田中由一さんからのメッセージ(28年1月8日)

「人は変われる」私はまさしく「国語」で変身した。
あれから40年、今自分は先生と同じ教職の道<公立中学校の英語・体育教諭>を歩んでいる。そしていつの間にか先生と同じ行動をしている自分がある。

ふとしたことで40年ぶりに再会のチャンスを得た自分は、早速すぐにでも会いたいと電話をした。「鉄は熱いうちに打て」私の生徒達の夏の全国大会の結果がしっくりいかなかったので、気分を変えたかった。そんな我が儘な注文に応じて、先生はわざわざ早くに時間を作っていただき、大感謝。そしてわくわくしながらその再会の時を迎えた。先生はちっとも変わっていない、先生の目には昔の厳しさと優しさがあった。そして何だかまわりを元気にする「オーラ」があった。先生とお話をするうちに小学時代の出来事が走馬燈のように浮かんでくる。当時の自分には根気がなかった。何事にも飽きっぽくて長続きしなかった。そんな自分を変えていただいたのが5.6年生の担任、吉永先生だった。そのきっかけになったのがまさしく国語力・・・日記が自分を変えた。

日記は毎日書くものであり、そこから心の洗濯もできる。その日記は毎日提出するのであるが、最初は返ってくるのがとにかく楽しみだった。先生の太い赤ペンのラインと◎がぎっしりとあり、うれしい先生の言葉<元気になる言葉>が書かれてある。しかしながら、その先生の字が・・・ それは毎日生活ノートも含めて50冊以上のノートをみていただくのと、ガリ版での学級便りを毎日書かれるのだから時間がない。ゆえに先生の字が続け字で読めないときもあって当然である。それでも生徒たち誰1人として文句を言わずに、むしろ楽しみながら、必死になってその先生の文章を読もうと努力した。自分たちは、そこで「考える」という知育を育てることが出来た。そして長時間日記とつきあう=吉永先生とつきあう。ますます人間「吉永幸司」にはまってゆくのである・・・ そんな自分が懐かしい。

今、教師になった自分はクラスの個人ノートを生徒数<40冊>、部活動の個人ノート50冊を毎日見て◎をつけて一言書いている。そこには集中力と根気がなければ続かない。その文章が私自身は下手すぎて<続け字>読めない。ところが子供たちは必死に読もうとするので、書いた本人<自分>が読めなくても、子供たちに聞くとそれをきちんと読んでくれる。そこで子供たちの知育、考える力が身に付いているのである。それが当時の吉永先生の日記だった<ただし先生の字は自分よりもっときれいで読みやすかったけど・・>。そして同じ実行をしている自分がおもしろい。

人に「信念がある」とはどういうことか?それは自分が信念を持って人と接することで、その相手が自分と同じ信念を持った行動ができるようになれば、自分にその信念があるという裏付けになる。そういう意味でも吉永先生の持つ信念はすばらしいものだと証明できる。そして長続きしなかった自分が中学から今までずっと陸上競技部に携わってきて、生徒たちが日本最高記録樹立や日本1を何度となく達成していくのは、この「日記」から学んだ「心の修行」のおかげである。

今回こうして恩師の吉永先生に再会させていただいたことに感謝して、この原稿のペンを取ることにした。人生はおもしろい。いつどこで人と繋がるのか・・・ 自分は今回の再会を、チャンスとしてもう一度基本に戻りたいと思う。おかげで今の自分は決して生徒たちを引っ張っていこうとしない。自分からの発想を待つ事にしている。もちろん「自分からの発想のトレーニング」は何度となくするが・・・そして枠にはまらない生徒たちが、人として自分をどんどん超えてゆくのがおもしろい。それがいつの間にか自分と同じ信念を持って生きてゆく姿がみられるのが嬉しい。その者達は吉永先生の孫に当たる教え子になるが、そこでもまた吉永イズムが生き続けるのである。国語力を通して進化した自分をつくりあげていただいた吉永先生に感謝したい。ありがとうございました。また美味しいものを一緒に食べましょう。人生の善し悪しは出会いで決まる。

(三重県津市立一志中学校)


 
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