@「はい、はい」と元気がいいが。
一年を担任した時、10分で授業が終わりそうになったことがある。
教材は「うらしまたろう」の絵ばなし。
挿絵を見てお話を作るという意図で、5時間の時間設定であった。
「これから、うらしまたろうの勉強だよ」
と言ったとた、
「そのお話、知ってる」
と言い出した子があった。その後、一斉に「知ってる」コール。授業にならなかった。
しかし、何人かは「知らない」「お話を聞きたい」と思っている子がいただろうにと思うと、
その時、どのように対応をするのがベストなのだろう。
入門期の子どもは「できる」「知ってる」がうれしく得意なのである。しかし、その横で、
どうしたらいいのか分からないでどきどきしている子、指示の内容が理解できず隣の
子の様子を見ている子がいるのも入門期なのである。
初めは、何も知らないのが一年生と思っていたのにいつの間にか、自分を素直に
表現する子に合わせていくと、途中から、読めない・書けない・話せない子が少しずつ
増えて行く。発表の仕方、手のあげ方、文の作り方を知らないのが一年生という気持
ちで、目立つ子だけが活躍する教室の見直しが大切である。
A書くことを急がない
子どもに文を書かせると、覚えたばかりの字で、精一杯書く。子ども達には上手な文
を書くという意識より、自分が経験をしたことが文字になるのがうれしいのである。その
奥には、自分の気持ちが言葉を通して表現できることに魅力を感じているのである。
文字が、自分で使え、書けるようになったら、進んで書くようになるのも一年生である。
従って、書くことの以前に、自分のことを言葉で相手に伝えことのよさをしっかりと感じら
れるような場として教室を生かしたい。
お願いの上手に伝えたら、相手が気持ちよく答えてくれた。分からないことを聞いたら
嫌がらずに、分かるように教えてくれた。
「わたしの言ったこと」(口頭作文)がそのまま文になって先生のメモに書き込まれたと
いうような場面を造りながら、「言葉の不思議」「言葉のよさ」を充分に蓄えさせるのが
入門期では大事である。 そして、自分の力で書きたい気持ちになった時期を見計らって
本格的に書く活動に入ると喜んで書くようになります。
B「よかったね」の意味を教える
入門期の子どもは、どうすればほめてもらえるかということを体中で探っている。隣の子が
ほめてらっていると、その横でじっと見て、その通りに活動することは珍しくない日常的な姿である。
子どものよさを生かし、伸ばすためには、なぜよかったかということを丁寧に教えることが大切である。
「点(、)や丸(。)に気を付けて読んだ ところが上手でした」
「おじいさんが」の「が」を抜かさないで 書いたところがよかったよ」
「答えを大きな声で言ったので、聞いてい る人によく分かりました」
というように、納得ができるように説明をしながら良さを自覚させるようにすることが大切である。
国語の力を育てるためには、子どもが自ら言葉について考える事から始まるとすれば、
入門期から子どもへ働きかける言葉を大切にし授業の積み上げが大切である。 |