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国語科教室
指導と注意
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注意と指導(平成27年4月4日)
▼いたずらをした子と一緒にきた若い担任の先生が、いたずら事例を挙げ、「この子が良い子になるように注意をしてください」と言ったことがあった。
「注意はしないが、指導をします」と言って、理由を聞いたり、これからのことを考えさせたことがあった。今、考えると、結構、いいことを言っていたのだと勝手に満足している。指導であると、目標が必要になる。子どもを前にして、めまぐるしく目標を考えたことを思い出している。「注意をされた」と「指導を受けた」とでは、印象が違う。注意を指導にこだわったのは次の経験があったから。(「さざなみ国語教室」コラムより引用)
▼講義を終えバスを待っていると学生が手を振って駆け寄ってきた。真面目な学生で授業中の態度も印象に残っている。しばらく講義の内容などを話していた。すると彼女の友達が「先生に習っているの」と確かめ、講義の評価を聞くために「先生の授業は」と質問をした。すかさす「先生はこわいよ」という返事。その理由は「授業に遅れるのはいけないし、名前を呼ばれたら大きな声で返事をしないといけない」とのこと。
 「名前を呼ばれたら返事をするの?」と確かめる彼女の友達に「返事が聞こえないと叱られるの」と言う会話。「どんなに?」と尋ねる友達の学生に、「HEIと黒板に書かれるの」とのこと。「叱られる」「こわい」の単語が一人歩きする。
 「HEI」は、ある時、返事の聞こえ方を「HAI・HEI・HAAI・HAI・HEEI」と書いたことが印象に残ったらしい。「あなたの返事は、このように聞こえました」と事実を伝えた記憶はある。それを指導をしたと思っていても、注意をしているという気持ちはなかった。将来、教師を志す学生へ、「返事一つできない」と言われないようにという心配りだったが。
 将来を思って指導をしたことが「怖い」「叱られる」では、ごんぎつねのごんではないが、「ひきあわないな」である。
▼適切に使われていない言葉は多い。注意と指導もその一つである。
 
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