研究会の帰り、6年生担任のベテランの先生が
「6年生っていいわ。卒業という時期、気持ちがひきしまる」
と言いながら、日頃の取り組みを話してくれた。
「先生のお話は、いつ聞いても新鮮。何か秘訣があるのですか」
と、問い返すと、「私は恵まれているの。担任する学年はいつも前の学年が学級崩壊寸前のクラス。
その後を引き継ぐから・・」
最後の語尾は濁したが、卒業までの限られた1年に賭けるエネルギーの大きさは伝わってくる。
「学級を崩すような原因を作る中心になる子はいるのでしょう」
と聞き、その子達の対応を聞いた。
「子どもはほめてほしいのよ。私はほめるこtに徹するの」
と秘密の一つを明かす。日頃授業では妥協は許さない厳しい姿勢の
評判の先生だが、子どもへの愛情も半端でない。
「新太(仮名)は、先生の子どもや。」
と子ども達はいうくらいだそうだ。
「ほう一つ聞いて下さい。その新太のお父さんが今度の参観日に最後やし来ると言ってくれたと、言うのよ」
6年間一度も参観日に来なかった父親が来るというので新太という子は大張り切りという話をうれしそうに
伝えて下さった。
短い時間だったが、「新太の父親が参観日に来る」の一言が
すべてを語り、教育の秘訣を語り尽くしているように思えた。
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