木曜日はお休み
由梨さん(仮名)が木曜日になると学校を休むことに気がついたのは、二学期の後半。由梨さんが好きな体育や楽しみな勉強がある日なのに、欠席は予想外のことであった。
担任の若い先生が家庭訪問をした。
「木曜日になる、お腹が痛くなり、食欲があ りません。欠席をさせています。」
というお母さん。原因が分からないとのこと。 由梨さんと担任が、時間をかけて話し合った結果、はっきりしたこと次のこと。
由梨さんのクラスは、楽しい学級を作ることを議題に学級会を開いた。学級会で決まったことは、「木曜日の給食は好きな友達と一緒に食事をする」ということ。そして、楽しい時間を想像し、その日を待った。
木曜日の給食の時間。由梨さんを含めて、数人の子が仲良しグループから外れた。子供達の知恵で、「仲間に入れなかった子のグループ」が生まれた。由梨さんは、最初、納得をしているように見えた。しかし、回を重ねる度に「仲間に入れなかった子」という立場に心が傷ついた。
それでも、「学級会でみんなが決めたことだから」と自分に言い聞かせ、楽しみ教科の時間も犠牲にして「木曜日はお休み」を選択したのである。
「好きな子」で仲間を作ることが、好きでない子を作ることに気づいて子供達は、これを教訓にそのお楽しみの行事を考え直しすと共に、仲良しのクラス作りにつとめた結果、、由梨さんは以前の明るい子になったという。
「仲良し」の裏にある落とし穴と楽しさの向こうで、傷つき寂しさに耐えている子がいることを気づいた出来事であった。
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