言葉探し(平成27年4月5日)
幼稚園の遊びで、お店やさんごっこのお話を聞いたことがある。事例は、その子は、「まかろん」を作りたいという考えた。なかよしの子と一緒に作り、満足するもんができた。次に、お店だから看板が必要と相談し、看板作りを始めた。看板を作っている過程で。看板の文字を書き始めた。「ま」「か」は知っている様子でであったが、「ろ」が分からない。「ろ・ろ・ろ・・・」と口には出すが文字が浮かばない。どこかに「ろ」がないか探し始める。「ととかいている文字をみつた。「せ・ろ・は・ん・」と文字を読み、「あった」と大きな声をあげて「ろ」文字をおもいっきり大きく書く。歪んでいても、斜めになっていても平気。つぎは「さ」をさげす。「ろ」を見つけた知恵が「さ」を探す意欲につながる。
この事例も、意欲、関心を超えて、文字を獲得する姿を表している。言葉は、生活と結びついて獲得されると生きたものになる。「まかろんやさん」をしたいという遊びが文字を探す、文字を書く活動になったのである。気遣って先生が、「ろ」を教えたとしたら、「さ」を探す勢いは生まれてこない。」
「まかろん」の話を聞いて思い出したことがある。その学年の宿題は、新出漢字の練習が繰り返されていた。その日は「箱」で、プリントには( )庭・小( )・空き( )という事柄が示してあった。加えて「ねこのこう( )すわり」という言葉が入っていた。ここ宿題を出したのは新任の先生。きっと、4つ目の熟語に困って、自分が大好き猫のことから思い出したのだろう。あまりにもなじみがないのでフライングのような宿題であった。ところが、翌朝、教室の話題は「ねこのこう( )すわり」でわいた。「昨日の宿題はできたの」から始まって、「分からないので、お母さんにも聞いた。けれど。お母さんも知らないといっていた」と明るく話す子。辞典で調べたけれど、出て来なかったと言う意味のことを話す子。「ねこが、座っているときかっこだよ」と、物知り顔で話す子を囲み。その様子を真似してほしいと頼む子。ゲームや漫画、テレビや好きなタレントの話と同じレベルで、話題に関わっていた。日頃は、宿題といっても、教卓に提出をしておしまいという子ども達である。宿題を話題にして話し合っている姿が、いいなと思ってみていた。
子どもは好奇心に溢れている。わからないこと、もっと知りたいことがあると、真剣に考え、友達と関わろうとする。「猫の香箱座り」と教えてもらった時は、難しい漢字を気にしないで、ノートに丁寧に書き写していた。言葉を出会う、言葉を探す活動は、偶然から生まれることが多い。
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