勇気ある一言(23/11/11/)
子どもは追い詰められると嘘をつく。それが重なると、他の人の痛みにも気づかない。自分を安全な所の置く。親は、真実を見抜けない。子ども親も教師もみんな不幸である。自立に向けて育てるのが大人の使命である。そんな出来事をあるコラムに紹介した。
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我が子がいじめられているのではなかという不安が母親にあった。そのことを折々に、息子から聞き出そうとする。しかし、息子は「何もない。いじめられていない。」
と、答えるだけで、深く話そうとしない。そのことで更に母親の心はが動揺する。
母親は、自分の不安を担任教師に伝えた。息子から話を聞いてほしいと頼んだ。
担任は、度々、いじめられているかどうか聞き出そうとした。が、少年は、特に、不都合なことはないという返事を繰り返した。
母親が、息子はいじめられていると確信したのは修学旅行から帰ってきた時だった。不機嫌な様子や服の汚れからであった。息子も、修学旅行以降は登校を渋るようになった。
担任教師に、母親は、約束通りに息子の話を聞いているかどうかを確かめた。いつでも相談に来るように伝えていると担任が答えた時、日頃の不信感が弾け、教頭や校長を始め、公の機関を巻き込む出来ごとになった。
登校を渋るようになったのは、息子の話を聞いてくれなかった担任に責任であると母親は繰り返し責め問題は複雑になった。
その母親が、突然、今でのことをことを詫びに学校へきた。いつもと違う態度に関係者は戸惑った。が、背景を知って納得した。
それは、担任を責める続ける母親に、
「先生は、いつも声をかけてくれていた。で も僕は、先生に言わなかった。先生は悪く ない。少しも悪くない。」
と、少年が抗議したのである。
少年は、沈黙を守っていることで出来事が大きくなっていることに気づいたからである。少年の勇気あるひと言であった。 (吉永)
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