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俳誌『花藻』10月号より


・帰省子が去り退屈な日が戻る    夏生
・窓側の席ゆずられて夏ひらく     光栄 
・疲れ知らず祭りの後の浴衣干す  はる子
・潮騒に育つ岬の蝉しぐれ       正子

・カンナ炎ゆ脱反抗期逞しく     幸司
・蜘蛛の囲の張りに殺気のありにけり 均
・歯科の椅子ぐっとのけぞり雲の峰  となみ
・浮いてこい哭けば月日が戻るかも  春月
・砂日傘音なく雲の飛行船       武人

俳誌「花藻」平成19年9月号

湖の色乾き始めて盛夏来る        夏生
一粒の安らぎでよしさくらんぼ 茜
青田吹く風の躓くところなし 光栄
落下さん縫いし指先紫蘇をもむ 満寿枝
反抗期熟しきったるトマトかな 幸司
夏痩せて体重計を踏み直す 千代
青春の揺れし傷みや月見草        修
黒揚羽湖に翔つとき風騒ぐ        しげとし
蓮日記の表題凜と夏ふかむ        美儀
前世で逢った気がする黒揚羽       となみ

花藻・誌上句会(課題・上) 高点句

落椿人は秘密の場所を持ち
臥す人に合わせ鏡の牡丹かな
人の名を思い出せずや春の鬱
人生はジグソウパルズ風光る
沙羅散りぬ平家女人の気品持ち
恋に似て月下美人に逢いにゆく

花藻(平成19年8月)

駅長の昼の頬杖麦の秋            夏生
梅雨晴れ間一筆箋で足りる恋         茜
食器棚碧き涼しさ並べけり          満寿枝
青奈落隠す地獄の釜の蓋           翠
湖風を知り尽くしたるヨットの帆        京子
時の日や鼓膜小さな音拾う          幸司
虚しさを啼いてまぎらす梅雨鴉        和士
歳月の動かぬ鏡雷鳴す             修                                                                                

花藻(平成19年6月)NO740

変わる人変わらぬ桜運河昏る       夏生

独り来て花人の中まぎれをり       翠

電子辞書やたらに押して鳥曇       春月

辻褄の合わぬ人生石鹸玉         紀子

落花舞う駅から始まる一人旅       となみ

掌に花遊ばせて長電話           幸司

 

花藻(平成19年5月)NO739

一病を守る錠剤戻り寒           夏生

お水取り火の粉四角に宙を舞う      満寿枝

紙とペン且つ消しゴムや二月尽      翠

水かげろう映して池の春隣        京子

春愁や文箱に眠るパスポート      芳江

帽子屋の鏡に春が忍び込む      幸司

花藻(平成19年4月)NO738

肋骨の軋み今夜は寒の入り      夏生

枯れることできぬ造花や春寒し    茜

装いも春めく耳朶にシャネルの香  満寿枝

淡雪の街角に買ふ宝くじ       和士 

今日くらい魔女にならず水仙花   となみ

春愁やピエロに光る空涙       近江

寒明ける風は斜めに古戦場     幸司

 

花藻

空蝉に早や生きものの臭ひ無し    いさを
もう冬の貌した湖へ雨太し        夏生
木犀のシャワーを浴びて朝が来る   光栄
鰈干す北国の空崩れそう        幸司
城下町湯屋の煙突天高し        照子
ジェラシーをもう隠せない林檎です   修

花藻
カレンダー日毎痩せゆく師走かな       いさを
奈良の秋仏の横顔ばかり見て         夏生
マッチ摩り残菊の香を燃やしけり        しげとし
城跡に佇み彩なき風に逢う           幸司
刃ともなりし薄を手折りおり           今日子
虫の夜もまた引き直す広辞苑         美儀

花藻  既刊号

一献の葡萄酒に酔うダイアナ忌       いさを
碑をひとつ残す戦跡夏薊           夏生
世界遺産深く沈めて夏木立          茜
紫陽花の球体複眼ピカソの眼        均
大滝を登りきったる日の光          修
てらてらと光る過去負う蝸牛         となみ
プール開き皆優等生の顔をして        幸司

(平成17年1月号)既刊号
袖の緋がこぼれけり初茶の湯     いさを
少年と凧来て空を高くする         夏生
舞初めの袖ふるわせてさぎとなる     茜
八方の山の朱となる初日の出      紀子
すぐ枝になじむ御籤や初詣        幸司
毛毬唄恥ずかしきほど空晴れて     和士
ひといろの匂ひたりて年迎う       嘉典
老ひてなおおんなでいたし初鏡     となみ