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手ぶくろ
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手ぶくろ
「また、手ぶくろをなくしたの。困ったわ。」
これは、お母さんの台詞。おばあさんは、
「寒い朝なのに、かわいそう。手ぶくろの代わりがあるから手にはめて行くといいよ。」
と代わりの手ぶくろを差し出す。武雄君の朝は、このようにして始まる。手ぶくろが行方不明になることが多いので、おばあさんが買い置きをして武雄君を応援する。
度々、手ぶくろの忘れ物をするので、お母さんは、連絡帳にしっかりみてやって欲しいという意味のことを書く。担任の先生は、落とし物からいくつもの手ぶくろを見せる。武雄君はおばあちゃんに手渡された所まで覚えているが、色や形の記憶はない。困った先生は、手ぶくろの忘れもの、落とし物をしないようにと繰り返し指導をするが続かない。
 先生のいらいらは続く。武雄君を指導している先生を見て、
「手ぶくろの忘れものはしていない。」
と、胸を張る子がいた。その理由を、
「ぼく、手ぶくろは使わないから。」
と、伝えた。吹き出しそうな話であった。が、先生はその話に飛びついた。そして、武雄君がわすれ物をしない方法を考えさせた。もちろん、手ぶくろを使わないも選択肢に入れておいた。
 武雄君がその日 家でどのような話をしたかは定かではないが、手ぶくろに頼らない朝が増えた。手ぶくろをしないで登校する姿は、以前より強い子に見えてきた。気のせいか、学校生活を伸び伸びと楽しく過ごしているようにも見えた。武雄君には忘れ物に気遣う心配ははなくなったのである。
 ところで、おばあさんが買い置きしていた手ぶくろはどうなったのだろう。少し気になる話である。(吉永)

 
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