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能面の早やも朱走る初茜         いさを
未知の日は皆美しき初日記       夏生
初夢の耳からさめてインコ鳴く      茜
来る年も俳句三昧陽が昇る       紀子
初詣父母にならって手を打つ児     幸司

花藻
   祭笛吹けば男の血が騒ぐ          いさを
   木犀のの香に教えらる風の道       夏 生
   遊具のキリンあっけらかんと野分あと    茜
   快晴や手の届くほど比良比叡       光 栄
   緋の紅葉流れにしたがい回りけり     幸 司 
   似て非なる神の微笑み十三夜        修
   初鴨をさらりと波の抱きとりぬ         均
   秋の風鏡の裏を淋しくす           となみ
   コスモスのしなやかに風叩きけり      観 湖
   芋をにて嫁らしきこと何もせず        春 月
   愛というかたちは無限葡萄熟れ       紀 子  

花藻
     病床に臥して炎暑をしらざりき       いさを
     虫干しや自分を探す地獄絵図       夏生
     月下美人魔女かも知れず闇に咲く    光栄
     弁当はコンビニ仕立て夏野球       幸司
     ビール飲む刻美しき喉仏          となみ 



     体内に悪魔棲ませて花を見る    いさを
     万歩計歩かされてる山の径      千代子
     燕きて一気に空が青くなる       夏生
     天ぷらの油疲れてくる遅日       春月
     うららかに二輌電車の欠伸かな    久美子
     ぬくもりが伝ふ絵手紙梅におう    政子
     大漁は魚の忌日春愁う         幸
司 

花藻
     手秤りで買う白魚や漁港古る      いさを
     付け換ふるボタンは派手目春立てり  千代子
     万歩計二月の小石躓きて        長汀
     ブランドの虚飾を崩す春の雷      満寿枝
     梅裂けてなお百蕾の紅を噴く      青波
     生菓子の透ける桃色春隣り       夏生
     女湯に心を解いて雪の宿        紀子
     はたはたと雪より白き襁褓干す     春月
     禅僧の寒行ふりむく事はなく       衣子 
     教室を覗くはとあり春めけり       幸司  
 
花藻
     滝不動正邪の剣も凍てて立つ     いさを
     葉牡丹に風新しく煌めきて       長汀
     過ぎし日の未練にけじめ寒昴     満寿枝
     寒晴れや焼きたてパンすぐ曲がる  汀子
     美しき順に毀れてゆく冬蝶       夏生
     空白をうめきれぬまま日記果つ    園枝
     桃色の花びらもちや罪も抱き      衣子
     運命は創り出すもの初日記      幸司

花藻(652)2000/2
     聖夜劇クリスト何時も十字架負い   いさを
     門扉閉づ昼の昏さへ花八つ手     千代子
     初鏡今生まれたる和紙人形       茜
     夢でいい夫に会いたい冬銀河      青波
     街角に流す演歌や冬ぬくし        郁子
     のっぺい汁無口な男と勝手な女     幸司

花藻(651)2000/1
     比良雪嶺元朝の陽の燦々と    いさを
     初日の出湖の全貌ひき放つ    千代子
     あら玉の米寿の幸の充実す    長汀
     粛々と世紀のフィナーレ初日いま 青波
     火と水の神に灯せり初厨      満寿枝
     歯切れ良き2000年の大旦    夏生 
     画数の多き職印初仕事       幸司
 
花藻(649号)   1999/11
            台風圏水は輝くこと忘れ       いさを
            おばはんにまだある大志雲の峰   茜
            梨噛んでだんだん淋しくなる耳    汀子
            折鶴の千の色褪せ原爆忌      青波
            色街の路地の屈折酔芙蓉      はるこ
            道路鏡奥まで残暑歪みゆく     となみ
            裏方で活躍する子運動会      幸司
 
 花藻(647号)  1999/9
           里山の小さな天使てんと虫           いさを
          荒梅雨や落書きクレヨン片減りに       千代子
          自分史の稿積み上げて大向日葵       長汀
          蚊を打ちて大仏さまの裾にいる        茜
          秋日傘愛の証も褪せはじむ          満寿枝
          或る時は糸吐く蜘蛛に憧れる         汀子
          海開き貝のつぶやき黙殺す          夏生
          蛍飛ぶ闇に山谷あるごとく           青波
          薄い匙女同士の氷水              幸司
          煩悩の心溶けゆく岩清水            幸司
          ソーダー水きらりと光る耳飾り         幸司
          決断の後に悔いあり梅雨に入る        幸司 

花藻(646号)  1999/8
         身に余る具足の重き祭り稚児     いさを
         わしづかむ両替硬貨汗ばめり     千代子
         嵯峨日記ならぬらくがき若葉風    茜
         紫陽花に母なる色を探しおり      夏生
         釣鐘に天女の像やしゃがの花    幸司
         里山は白く煙りて梅雨に入る  h.htm     幸司 

花藻(645号)  1999/7
         白という白を多彩に夕牡丹       いさを
         揚羽舞う陽の頂点にありしかな     千代子
         裏切りの愛へ真っ赤なバラ崩す    茜
         天秤棒で行商の里青嵐         幸
      内陣の土間低くして五月闇       幸  
 
花藻
       句碑誕生烈火の如き椿の緋   いさを
       石鎮め男等秋の汗拭う      いさを                   
       一本の菊を芭蕉の供花として  いさを
       母が縫う婚衣華やぐ菊日和     幸
        茶の花や消えて久しき常夜灯    幸
        菊人形主役はいつも目を剥いて   幸
        故郷を大きく跨ぐ秋の虹             
        正論を斜めに聞いてちゃんこ鍋   幸                   

 花藻
         水干に秋の日が濃し祭稚児  いさを
                    予備校の壁に檄文蝉時雨  幸         
         緋色赤色夜店を彩る屑金魚  いさを
         炎昼や山門閂貫けり     幸 
         月出て信濃のの秋をほしいまま いさを 
         少女みなルーズソックス萩乱れ  幸
         西鶴忌女は涙脆かりき  いさを                                           
         実むらさき大きくゆれる耳飾り  幸
         阿羅漢に古瓢の面影秋暑し  いさを
         投げ入れる賽への小銭や萩の寺 幸
花藻        稲津やボトルの帆船動き出す  いさを 
          落鮎の堰をいっきに下りけり    いさを  
         公園のベンチがらんど秋暑し    いさを
         欠伸隠す職員残暑の美術館      幸
          幸 逆上がりできて一面夕焼けに   幸