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授業の技(060807)

「相手を意識して話す」ことを目標にされた授業を参観した。
学習活動は、次の三つの場面を設定して、自分だったらどう
するかを考えることが中心であった。
@相手によって話す言葉が違う(年齢)
A人間関係によって違う(同年齢)
B相手への配慮よって違う(情報量)
特に、@の取り組みがABに及ぶのでどのように授業を展開
されるかということに興味をもった。
場面設定は5年生が、旅先で道を尋ねるときの話し方で、
あらかじめ、年長者と年下のどちらかを選ぶというものであった。
この場合、「道をおたずねします」と「道を教えてくれますか」が
考えられる。
どちらからでも良さそうであるが、子どもの意欲や課題の持たせ
方を発達特性と絡めると、微妙に違うことは体験的に感じるところが
あるので、どちらを提示されるかということに興味をもった。指導者は
「君、君、道を教えてくれない」
を提示された。つまり年下の子に尋ねるという設定が、敬語意識、
丁寧語意識、相手意識目的意識の全てを掘り起こした。その後の
展開が生き生きとしたのは、始まりのこの決断だったと思っている。
授業者は、授業の名人を目指している先生。さすがと思った。
とともに、名人が遠ざけられる風潮の中、このようなさりげない
中に光る技をぜひ参観者に共有してほしいと思った。