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道徳の授業では資料が大きな位置を占める。資料では望ましい行為が書かれている。だから、資料の通り理解してもそれは力にならない。大事なのは、資料を鑑にして、望ましい行為を知っていながらできない自分がいることの自覚であろう。しかもそれは、行為の確認でなく、価値と結びつくことである。価値が学習内容と捉えている。

「はしのうえのおおかみ」(1年)の授業で「おおかみさんにだっこしてわたしてもらったうさぎさんはどんな気持ちでしかた」という発問を受けて「ありがとう」と子ども達は答えた。その理由を話し合っている最中に、「このお話は楽しいね」と隣のこ子に確かめるようにつぶやいている子がいた。「楽しい」という表現であるが「心が温かくなる」という意味に捉えた。つまり、おおかみのの変容が主題であり、その変容の内容が親切というかちであることをこの子は無意識に語っているのである。

資料の内容を繰り返し確認する授業から価値へ向かう授業のキーワードのように受け止めた。つまり、「今、このお話を読んで、どんな気持ちですか」と読み手の心を語り合うのがいいよと言っているように思えた。