さざなみ句会(H25.4) | ||
1 | 永き日や右往左往の模様替え | 森 |
2 | 青ぬたの歯ごたえ柔く母の味 | 西村 |
3 | 母の味つなぐ妻の手よもぎ餅 | 杉澤 |
4 | 一年生入場の道一直線 | 海東 |
5 | じゃんけんはグウばかりなり嬰の春 | 吉永 |
6 | 花水木似合う人なり他人妻 | 常諾 |
7 | 桜摘み塩漬けする子ら賑やかに | 三上 |
8 | 平仮名を正しく覚え花は葉に | 吉永 |
9 | 松明に農家の祈り滾る春 | 杉澤 |
10 | 紙風船そっと掲げる小さき手 | 高野 |
11 | 花吹雪目深に制帽被りけり | 吉永 |
12 | ふらここの五回指折り順を待つ | 伊庭 |
13 | なれぬ道列を乱さず花曇り | 廣瀬 |
14 | 桜舞い巡るや巡る四季彩々 | 杉澤 |
15 | 真新し光まぶしく入学児 | 西村 |
16 | 田んぼにはまだ足りないぞ菜種梅雨 | 蜂屋 |
17 | 弧を描くとんびが三羽山笑う | 三上 |
18 | 一年生勉強机玩具箱 | 海東 |
19 | 入学児返事一つで引き締まり | 伊庭 |
20 | 花見酒にわか大臣世を語り | 杉澤 |
21 | 二人して都をどりの客となる | 廣瀬 |
22 | 天を突く指先歓声入学児 | 谷口 |
23 | 窓開ける紫煙の彼方春の星 | 西村 |
24 | 里山の春の野草はみな山菜 | 蜂屋 |
25 | 春眠を幼児にふみつけられており | 谷口 |
26 | 遠足の先頭の児多弁なり | 吉永 |
27 | 自分から 園へと向かい遅桜 | 弓削 |
28 | 宝石が飛んで弾けるシャボン玉 | 高野 |
29 | 折り返す船待つ人に花吹雪 | 三上 |
30 | ドヤ顔の一年生が闊歩して | 谷口 |
31 | 「うみのこ」へ旗振る子らに若葉風 | 三上 |
32 | 日曜の午後の浜辺の春日傘 | 廣瀬 |
33 | 春の夕家庭訪問重き足 | 吉永 |
34 | 花の門両の手広げ跳びはねる | 海東 |
35 | 時ならぬ雪舞う下で花見酒 | 常諾 |
36 | 蕨とり今朝も誰かが先にとり | 蜂屋 |
37 | 青空の大河を泳ぐ鯉のぼり | 森 |
38 | クレヨンの頭短し春の色 | 谷口 |
39 | 言うことを きかぬ子に愛雪柳 | 弓削 |
40 | 大きめの名札胸張る一年生 | 高野 |
41 | 山歩き緑の濃さに春惜しむ | 廣瀬 |
42 | 朝まだき桜堤やラッパ吹き | 常諾 |
43 | チューリップ生活科の子鼻の先 | 伊庭 |
44 | 初節句スカイプで見る孫の顔 | 常諾 |
45 | 春の風吾子のペダルをそっと押し | 谷口 |
49 | こいのぼりシャッターの間にも姿変え | 森 |
50 | 遊ぼうと せがむ我が子や土佐水木 | 弓削 |
51 | 真野川に群れて悠々鯉のぼり | 高野 |
52 | 食卓に香りをそえて木の芽和え | 西村 |
53 | 新入生心得学ぶ宿泊研 | 蜂屋 |
54 | 風渡るやさしき笑顔の種案山子 | 廣瀬 |
55 | 残雪の山肌ぽかん餅二つ | 伊庭 |
56 | 音読の声響かせる新学期 | 海東 |
57 | はしゃぐ子もふと立ち止まる花の道 | 高野 |
58 | 風孕みまなこきらめく鯉のぼり | 森 |
59 | 春セーター あいさつ眩し若先生 | 弓削 |
60 | 庭先の陽当たり戻る燕の巣 | 西村 |
61 | ひとひらの落花街路を行き惑う | 森 |
62 | 入学式しぐさで気づく我が子かな | 杉澤 |
63 | 春遠足さらの詰め襟初々し | 蜂屋 |
64 | 放課後の子の声集まる花の寺 | 海東 |
65 | 風光る内はテストの始まれり | 伊庭 |
さざなみ句会(H21.9) | |
蟷螂や斧を振り上げ何を説く | 谷口 |
虫の音にふとテレビの音を消す | 吉永 |
夏休み一夜ドライブ白川郷 | 中嶋 |
彼岸花墓地へと続く路つくる | 箕浦 |
石段の草履も跳ねし秋遍路 | 伊庭 |
山里のせせらぎに立つ水の澄む | 廣瀬 |
落栗を子等競いて拾う昼休み | 高野 |
談笑に酒弾けとぶ豊作や | 杉澤 |
スマッシュのより高く久には秋の空? | 伊庭 |
?田(ひつじだ)を駆け巡りし子草野球 | 川那部 |
塀越しに読経の声す秋彼岸 | 常諾 |
転職の友の便りや秋の風 | 三上 |
茅葺きの鐘楼門に赤とんぼ | 中嶋 |
応援の声高らかに秋の天 | 三上 |
鬼やんま眼に切れ切れの青い空 | 森 |
逆上がり出来て真っ赤な鰯雲 | 好光 |
燈下親し分厚き過去の問題集 | 吉永 |
木犀の香や通勤の足止まる | 池嵜 |
十六夜や出せずの手紙読み返し | 岡嶋 |
天高しよういで止まれぬ徒競走 | 箕浦 |
秋空の真下に広がる園児の輪 | 中嶋 |
散歩道秋思を添えて風匂う | 高野 |
余呉初秋湖面静かに山映す | 常諾 |
じいじいとばあばへ「アリガト」敬老日 | 森 |
図書館の西日の当たる書架にいる | 廣瀬 |
残業も秋刀魚光りて待っており | 杉澤 |
秋祭太鼓に誘われ飛び出す子 | 高野 |
川土手が燃え立つごとく曼珠沙華 | 常諾 |
茜色に装束染めて夕遍路 | 森 |
新涼の社殿に至る長き坂 | 高野 |
休暇明け使いなれたるボールペン | 吉永 |
脱官僚政権交代秋の風 | 池嵜 |
曼珠沙華思慕の数だけ咲くという | 岡嶋 |
スポーツと読書を楽しみサンマ喰う | 蜂屋 |
人生に峠は幾つ野菊咲く | 好光 |
おばあちゃん長生きしてねと敬老会 | 蜂屋 |
夕暮れのあかねに映える曼珠沙華 | 蜂屋 |
敬老の日の夕波に竿を投げ | 杉澤 |
ここよりは女坂なり萩の寺 | 吉永 |
曲線美おろしを添えた秋刀魚あり | 高野 |
手漕ぎ船とめて菱採り湖巡る | 三上 |
大成功!作戦みのる運動会 | 蜂屋 |
野仏を包む一面彼岸花 | 好光 |
刈田後駆け回る子と秋あかね | 海東 |
朝寒の運動場にライン引く | 廣瀬 |
秋の田に緑一閃大飛蝗 | 谷口 |
枝豆や日に日に太り発泡酒 | 川那部 |
川底に月光を編むラムネ瓶 | 岡嶋 |
長き夜録画ドラマを二本見る | 三上 |
回覧板ふと立ち止まり菊の家 | 海東 |
大皿のギンギラギンの銀の鯖 | 海東 |
渋滞の車窓に微笑むコスモスや | 岡嶋 |
シャッターで笑顔切り取る運動会 | 池嵜 |
湯に揺れる名月盆に盃合わせ | 杉澤 |
夜長し棚に久しき教育書 | 北島 |
残業や書類枕に虫の声 | 池嵜 |
貝がらを優しく洗う秋の波 | 北島 |
畑仕事休む帽子に秋茜 | 蜂屋 |
公園をまた一人去り秋の暮 | 北島 |
口げんかくよくよするな秋の空 | 北島 |
風も秋雲も秋なり金亀城? | 中嶋 |
肩車もうすぐつかめる秋の空 | 岡嶋 |
中華街匂い原色秋暑し | 吉永 |
秋桜折れても折れても立ち上がる | 好光 |
赤とんぼ百メートルを駆け抜けて | 杉澤 |
消印に夏の島々また浮かび | 伊庭 |
毬栗のごとき態度でふくれ面 | 海東 |
爽やかな風の甘さやマスカット | 森 |
籾殻の焼煙たちて山霞む | 川那部 |
秋の田に家族の絆見つけたり | 箕浦 |
秋雨や大地静かな耳を持つ | 好光 |
古城への道見間違う曼珠沙華 | 池嵜 |
長き夜下巻の表紙そっと繰る | 伊庭 |
駆ける子の想い空引く飛行機雲 | 森 |
決勝打見上げる投手に秋の空 | 北島 |
何よりも手洗いうがい指導する | 箕浦 |
天高し小休止す庭掃除 | 廣瀬 |
風立ちて萩の花落つ石畳 | 常諾 |
結婚する秋刀魚すし手に帰省の子 | 中嶋 |
観覧車動かぬ鉄を月が見ぬ | 伊庭 |
軒下に捨てられしおれ彼岸花 | 常諾 |
大きさは梨と同じ子の笑顔 | 海東 |
糸垂れて秋蚊の隣四半時 | 川那部 |
悩みなど吸い込むような秋の空 | 谷口 |
案内板一輪挿しの吾亦紅 | 廣瀬 |
坂道で立ち話かな曼珠沙華 | 三上 |
虫しぐれ夜泣きをあやす子守唄 | 箕浦 |
夕焼けに肩寄せ歩く影法師 | 谷口 |
冷ややかな遊具の手触り秋感ず | 谷口 |
鈴虫の鳴く音の横でうたた寝や | 川那部 |
さざなみ句会(H21.8) | ||
1 | 帽子置く影も真似する麦藁帽?? | 伊庭 |
2 | 綿アメと空いっぱいの花火の夜 | 蜂屋 |
3 | 一瞬の反転世界夜の雷 | 常諾 |
4 | 甲子園試合はさておき生ビール | 西村 |
5 | 子帰るビーチサンダル裏返る | 海東 |
6 | 不機嫌を木陰にとめし夏車 | 中嶋 |
7 | ルーブルの絵を見て夏の傘の下 | 中嶋 |
8 | 何がいい聞かれていつも冷や奴 | 西村 |
9 | 「満喫中!」元気伝わる暑中見舞い | 蜂屋 |
10 | 古城址に仰ぐ石垣雲の峰 | 森 |
11 | 海の鳥夏手袋の指す彼方 | 常諾 |
12 | 秋桜折れても折れても立ち上がる | 好光 |
13 | 当落の活字飛び出す夏選挙 | 吉永 |
14 | 冷房が頬杖の肘震わせる | 高野 |
15 | コンパスを手に分け入りし登山道 | 廣瀬 |
16 | 網を振るスローモーション夏帽子 | 海東 |
17 | 石畳連なる町並み夏の夕 | 三上 |
18 | 句作りをすっかり忘れ8月尽 | 吉永 |
19 | 蟷螂と対面して草を刈る | 海東 |
20 | ナイターの歓声残し帰路急ぐ | 西村 |
21 | イチゴゼリー落としてみたい夏の土 | 中嶋 |
22 | 夕顔の咲く軒下で顔寄せる | 海東 |
23 | 夜の秋散歩の犬も勇み立つ | 高野 |
24 | 学校園糸瓜(ヘチマ)のごとく胡瓜(キュウリ)熟れ | 森 |
25 | 闇照らす二つ並んだ線香花火 | 谷口 |
26 | ユーカリの歌に聴き入る夏の夜 | 北島 |
27 | ばち二本浴衣と下駄や暴れだし? | 伊庭 |
28 | 緑陰に午後の予定を変更す | 廣瀬 |
29 | 電線に皆同じ向き秋茜 | 好光 |
30 | 帰る背は十人十色夏の夕 | 北島 |
31 | 屋根越の遠花火背伸びして | 川那部 |
32 | 秋蝉やまだまだ鳴くなと宿題す | 谷口 |
33 | 投げる度肩で汗拭く草野球 | 吉永 |
34 | 炎昼の九回満塁一点差 | 吉永 |
35 | 胡瓜なる大小長短学校園 | 森 |
36 | 校庭で白球を追う日焼け顔 | 北島 |
37 | 夏迎ふコーラの缶が泡を吹く | 中嶋 |
38 | 日差し落ち夕暮れ染める赤蜻蛉 | 谷口 |
39 | 広い空星がおりなす夏の夜 | 蜂屋 |
40 | 写真展記憶は遠し原爆忌 | 常諾 |
41 | 夏祭り客を呼び込む声高し | 三上 |
42 | 軒先に朝顔蔓を伸ばしけり | 三上 |
43 | 気がつけば最後のページ夜の秋 | 常諾 |
44 | 晴れぬ空持って出かける夏帽子 | 西村 |
45 | 娘とのメールが日課萩の風 | 好光 |
46 | 夕暮れの稲穂のたれる散歩道 | 蜂屋 |
47 | 草むらの涼も打ち上げ夏花火?? | 伊庭 |
48 | 奉仕日に殿様飛蝗ひとまたぎ | 海東 |
49 | 強風の激情はらう夾竹桃 | 廣瀬 |
50 | 遠花火世間話もちりぢりに | 森 |
51 | 法師蝉朝夕御勤め疲れたか | 谷口 |
52 | 蓮ひらく薄紅色の香る湖 | 川那部 |
53 | 奥飛騨の空気も添えて夏料理 | 高野 |
54 | 「久しぶり」はにかむ笑顔と焼けた肌 | 蜂屋 |
55 | 幼子の線香花火に手を添える | 西村 |
56 | 手付かずの原稿用紙法師蝉 | 川那部 |
57 | 山里は紫蘇の滴に香る紅 | 川那部 |
58 | 缶ビール車中の男と家路つく?? | 伊庭 |
59 | 冷奴時間止まるやテーブル上 | 伊庭 |
60 | グランドに灼けたボールが突き刺さる | 高野 |
61 | 蔵掃除片付ける背に蝉しぐれ | 廣瀬 |
62 | トンネルを出れば一気夏の海 | 中嶋 |
63 | 夏風邪や宿題はまだ書きはじめ | 北島 |
64 | 風そよぐ秋草揺れる散歩道 | 谷口 |
65 | 音で知る夜景を裂いて遠花火 | 高野 |
66 | 夏の風邪マスク吐き出す朝の駅 | 吉永 |
67 | 夏料理つま気に入りの器映え | 森 |
68 | 流れ落つ滝の向こうに黄泉の口 | 常諾 |
69 | 思い出のロックンロール夏の夜 | 北島 |
70 | 梅を干す紅き祖母の手日の高し | 川那部 |
71 | 乱れ萩踵も高き女坂 | 好光 |
72 | 讃美歌の風呂よりもれてちちろ鳴く | 好光 |
73 | もやの中アスパラのあお手折る父 | 廣瀬 |
74 | インフルの対策協議法師蝉 | 三上 |
75 | 行く夏を惜しみ飲み干すジョッキかな | 三上 |
さざなみ句会(H21.5) | ||
1 | 窓越しに淡き見ゆなり早苗かな | 川那部 |
2 | 五月雨に救われし苗すくすくと | 弓削 |
3 | 柏餅散歩のついでに買い求め | 西村 |
4 | 蹴り出したボールの行方夏来る | 高野 |
5 | 手に余るグローブ磨き風薫る | 川那部 |
6 | 風五月ヨット湖面を滑走す | 中嶋 |
7 | かけっこが速くなったよこいのぼり | 北島 |
8 | 藤の花見上げて今朝も一礼す | 弓削 |
9 | 水槽の田螺よずっとそうしているのか | 岡嶋 |
10 | 新緑や三基の山車が練り歩く | 三上 |
11 | 並木道大空覆う若楓 | 谷口 |
12 | 風薫り豊作祈る子ども御輿 | 蜂屋 |
13 | 倍々とどこまで行くや植田村 | 伊庭 |
14 | 園庭に弾ける歓声夏に入る | 吉永 |
15 | 葉桜も盛りの頃を思い出し | 弓削 |
16 | いいかおり山姥避けた菖蒲の葉 | 蜂屋 |
17 | 若葉風墓標に刻む誇りの名 | 好光 |
18 | 若葉風老母の歩みはゆったりと | 北島 |
19 | 草の香を引き連れ来る五月闇 | 谷口 |
20 | そら豆のゆであがる間に杯重ね | 西村 |
21 | 雨あがれ空を仰ぎて苺摘み | 川那部 |
22 | 種をまく花咲くときの待ち遠し | 常諾 |
23 | 久々のナイトゲームと缶ビール | 廣瀬 |
24 | テレビでの眼福のみの初鰹 | 高野 |
25 | そら豆の天に矛むけ育ちゆく | 川那部 |
26 | 在りし日の母の面影カーネーション | 谷口 |
27 | 夫婦鳩庭におりたち立夏かな | 北島 |
28 | 二つ三つ余花ある窓や吾子眠る | 岡嶋 |
29 | 一年生学校になれ五月尽 | 吉永 |
30 | 雲ひとつなき風光る空父となる | 岡嶋 |
31 | 良い日和家族総出の田植えかな | 蜂屋 |
32 | 忙しさ抜けずとも来し五月かな | 伊庭 |
33 | 剪定の並びし緑頭は黄 | 伊庭 |
34 | 新緑にアクセル緩む鯖街道 | 弓削 |
35 | 一握り登山帰りの夏蕨 | 海東 |
36 | 無精ひげ撫でつつ横目に芥子の花 | 岡嶋 |
37 | 田植えする子ら歓声の昼下がり | 西村 |
38 | 退院し夏のれんを新調す | 廣瀬 |
39 | シャツ青く照らし若葉影 ??????? ? | 中嶋 |
40 | 父になり大きく写る鯉幟 | 谷口 |
41 | さみどりの早苗をなぜて軽ろき風? | 中嶋 |
42 | 水面に顔を映してメダカ追う | 海東 |
さざなみ句会(H21.5) | No.2 | |
43 | ?いつまでも続けと願いカーネーション | 西村 |
44 | 見渡せば幾何学模様青田かな | 常諾 |
45 | きらっきら川面の反射夏隣 | 伊庭 |
46 | 自転車の列通り過ぐ薄暑かな | 三上 |
47 | ため息の奥に密かなこいのぼり | 弓削 |
48 | 亡父(おとう)さん男はやっぱり生麦酒 | 好光 |
49 | 波音と鳥語の湖畔夏兆す | 吉永 |
50 | 燕の巣車もそっと脇に寄せ ? | 西村 |
51 | 「カエル」「かに」青田に響く子らの声 | 蜂屋 |
52 | 日曜日新茶の香る店に入る | 三上 |
53 | 花水木煉瓦の家の庭の奥 | 常諾 |
54 | 草笛に挑戦の子の頬朱し | 廣瀬 |
55 | 夏蜜柑三日過ぎても卓の上 | 常諾 |
56 | いつもより吾子たくましく菖蒲の日 | 高野 |
57 | 上り梁水道水の如魚流る | 伊庭 |
58 | 薫風の土手小学生のバイシクル | 森 |
59 | 境内に子らの歓声若葉光 | 三上 |
60 | 衣替え少女は長き足を組む | 森 |
61 | 夏帽子もういいかいまあだだよ | 高野 |
62 | 放課後に緑陰の下深呼吸 | 海東 |
63 | 水水母ふうわり遊ぶ船だまり | 森 |
64 | 母の日の亡母(はは)に供えし赤ワイン | 好光 |
65 | 武者人形時代を超えて勇み立つ | 高野 |
66 | 豌豆の粒競いて皮をむく | 川那部 |
67 | 母の背を離れられない五月病 | 北島 |
68 | 鯉幟空は川なり自在なり川 | 森 |
69 | しゃぼん玉くるくる回る地球号 | 好光 |
70 | 円陣を組む少年に若葉風 | 吉永 |
71 | 苗市に並ぶ行列今日限り | 海東 |
72 | 田植えする子ら一列に汗ひかる | 北島 |
73 | 一つずつひっくり返して苺つみ | 常諾 |
74 | 水田に蛙の合唱騒ぐ波 | 谷口 |
75 | プリズムを通して初夏を広げをり | 好光 |
76 | 万緑をスケッチブックに写し取る | 森 |
77 | 町探検信号渡れば麦の秋???????????????????????? ? | 中嶋 |
78 | 陽射し浴びえにしだのまぶしき黄 | 廣瀬 |
79 | 叱られて向こうでじっと茄子見つめ | 岡嶋 |
80 | 夏めくや羊の毛刈り見学す | 三上 |
81 | 畝づくり休みの昼の冷や素麺 | 廣瀬 |
82 | ただいまと一緒に現すカーネーション | 海東 |
83 | 鯉のぼり雲もスケッチ広場の絵 | 蜂屋 |
85 | 皮脱いで風に青々今年竹? | 中嶋 |
さざなみ句会(H21.3) | |
母の背を追う子や青き踏む | 川那部 |
ふるさとに職得し我子と近江京? ???? | 中嶋 |
春の午後三角ベースの野球する | 吉永 |
青空を背に白木蓮深呼吸 | 常諾 |
難題は解決もせず薄氷 | 北島 |
山の辺の古墳を囲む春田かな | 北島 |
軽口を言うて笑うて春炬燵 | 森 |
凛として白梅ほころぶ近江道 | 中嶋 |
教師との歌で涙の卒業子 | 蜂屋 |
年度末残務整理や桜餅 | 高野 |
古寺の石段長し春めく日 | 北島 |
向き合うて湯気たつご飯花菜漬け | 常諾 |
マイカーのガラス凍らず春来たる | 弓削 |
乳含む嬰腕の中薫る桃 | 好光 |
真青なる空輝やかす辛夷かな | 森 |
つくしんぼ今年もいつもの土手で摘む | 川那部 |
卒業子明日も来てくれ時戻れ | 伊庭 |
なくなりしハンドクリーム水温む | 廣瀬 |
石蹴りて石に近づく春の宵 | 伊庭 |
春北斗明日の行方を思案する | 海東 |
川底の小石まろやか春の唄 | 吉永 |
浅酌をしてうたたねの春炬燵 | 森 |
桃の花活けて華やぐワンルーム | 吉永 |
金と銀湯気に薫る有馬の春 | 海東 |
やんちゃほど思い胸つく卒業式 | 蜂屋 |
かくれんぼ早く出て来い筆の花 | 好光 |
登校児ひびくあいさつ山笑ふ | 北島 |
しあわせはつきなみでよし春の湖???? | 中嶋 |
舞台袖出番うかがう蕾たち | 弓削 |
グランドで三人サッカー春寒し | 高野 |
短調の斉唱奏でる蛙の音 | 海東 |
休日のぺんぺん草の散歩道 | 廣瀬 |
道端の花摘む子等に風光る | 高野 |
紫木蓮約束違えず冴えかえる | 廣瀬 |
卒業後胸張り輝く5年生 | 蜂屋 |
真っ新のスキーをまた片付ける | 海東 |
春の塵洗車の車また洗車 | 伊庭 |
翁畑そら豆の花咲き続く | 川那部 |
格言を織り込むスピーチ春の婚 | 吉永 |
春の湖幾百の鳥のシルエット | 森 |
風光る鶏小屋の隅卵三つ | 伊庭 |
ペンを止め会話も止めた春の雷 | 高野 |
乙女らの声はプリズム春の海 | 森 |
幸ばかりあるとは言えず桃の花 | 常諾 |
東風吹きて汽笛を運ぶ操車場 | 川那部 |
パステルに袖を通す春セーター | 海東 |
比良八荒湖西線まで釘づけに | 伊庭 |
それぞれの大志を胸に花菜晴れ | 好光 |
帰る鳥我が一年を省みる | 弓削 |
啓蟄や脱ぎっ放しの靴の裏 | 好光 |
イチゴ植え見よう見まねのマルチ貼り | 蜂屋 |
いっせいに菜の花揺らし風駆ける | 常諾 |
巣立つ朝深く一礼老師の背 | 廣瀬 |
そろばんをはじく子らの手梅の花 | 弓削 |
草餅の出来をあれこれ小休止 | 廣瀬 |
就職の決まりしわが子卒業す ???????? | 中嶋 |
学期末小さく見えた雛人形 | 弓削 |
中学の制服凛々し卒業子 | 高野 |
少年の純な心よ辛夷咲く | 吉永 |
蒲公英や動き始めたレジャー号 | 好光 |
夢見月雇用促進の舗装工事 | 中嶋 |
新居から次々芽を出すつくしんぼう | 蜂屋 |
せせらぎを跳びこえし児ら水温む | 北島 |
振り向けば椿落つ音白毫寺 | 常諾 |
散歩道疲れた買ってと桜餅 | 川那部 |
さざなみ句会(H20.3) | |
もんしろちょうぼくのじまんのアップリケ | 岡嶋 |
五人の子雑談遮る春の風邪 | 伊庭 |
こごみ茹でマヨネーズと醤油で和えてみる | 中嶋 |
銀婚のリラの花束有り難し | 廣瀬 |
守り抜く三百十九の子らの春 | 廣瀬 |
チューリップ轍(わだち)に夢を破られて | 中嶋 |
春泥を置きてゆきたるトラクター | 中嶋 |
ひとり旅思索さえぎる岬の蝶 | 杉澤 |
新ピカの教科書めくる春の風 | 岡嶋 |
花吹雪そのまっただ中に君よ立つ | 岡嶋 |
歓声に思いも新た始業式 | 蜂屋 |
駆け寄って桜吹雪を拝み取る | 高野 |
目にまぶし気分晴れ晴れ五月晴れ | 蜂屋 |
ぶらんこや腕白二年も並びけり | 伊庭 |
山々の緑に抱かれ登校す | 廣瀬 |
春雨や野良猫のったり雄琴港 | 高野 |
白き歯の海女二人行く春の夕 | 北島 |
駅長の指す指の先菜種春 | 中嶋 |
ぽかぽかの陽気に誘われスニーカー | 岡嶋 |
小走りの校舎探検一年生 | 高野 |
春田晴れ倅差し出す煙草かな | 杉澤 |
遠くから萌える緑が歩み来る | 蜂屋 |
窓際に新入生の顔ジャンプして | 伊庭 |
さざなみやおぼろ月の映し出し | 杉澤 |
春炬燵そろそろしまう思案顔 | 海東 |
遠足の新任教師声太し | 吉永 |
口丸き軒下の雛新樹光 | 好光 |
靖国の桜となりし若き勇 | 北島 |
石楠花の香りに響き鐘楼かな | 川那部 |
虫めがね覗く草原風光る | 池嵜 |
目をこらす蜃気楼立つ湖の橋 | 高野 |
菜の花の黄に縁取られし散歩道 | 池嵜 |
遅桜惜しみて宴一家族 | 高野 |
手に伝う土の息吹や薯(いも:馬鈴薯)を植う | 川那部 |
学校も約束覚え花は葉に | 吉永 |
昨日まで気づかなかった芝桜 | 海東 |
希望という言葉降らせる花の雲 | 好光 |
5年生学年開きがフローティング | 蜂屋 |
人絶えて夜桜の道青い月 | 常諾 |
春風や深呼吸ひとつ家を出る | 池嵜 |
ホウセンカ小さき種とのにらめっこ | 池嵜 |
忘れ事忘れてしまう花時計 | 好光 |
久々のうどの香りと客を待つ | 廣瀬 |
雨あがる春をさがして秋葉原 | 北島 |
空の青草木緑し菜種咲く | 川那部 |
春障子行き交う人を眺めおり | 海東 |
音読の天を動かす聖五月 | 吉永 |
殻破り制服汚し夏隣 | 川那部 |
笛の音に誘わる獅子舞二階より | 川那部 |
列作る一年生と葱坊主 | 森 |
帰路に見る穀雨のあとの花絨毯 | 蜂屋 |
夜桜や女優と競演匂い立ち | 杉澤 |
北窓を開く我が家も温かし | 海東 |
花月夜疎水に二人影一つ | 好光 |
今朝もまた顔見ぬ子あり菜種梅雨 | 常諾 |
たんぽぽの残る教室1年生 | 常諾 |
空青く菜の花畑笑い声 | 森 |
春葱やテーブルの湯飲み蓋斜め | 伊庭 |
思い出も現在形ですみれ草 | 北島 |
児の息に教師の息たす紙風船 | 吉永 |
灰色に砂降る街や春近し | 常諾 |
制服の汚れ気にする新入生 | 吉永 |
深呼吸「初心」に気付く入学式 | 岡嶋 |
青踏や初恋の日のスニーカー | 森 |
鱒の跳ねシャッター忘れ息を呑み | 杉澤 |
クレパスの赤くっきりとチューリップ | 池嵜 |
一時の風情楽しむ花見舟 | 海東 |
かかと減り就職内定四月尽 | 廣瀬 |
シャボン玉黒き瞳に色巡る | 伊庭 |
クレヨンの黄色短き四月尽 | 好光 |
子雀の囀り梢の母を呼ぶ | 森 |
入学生三日めにして引き締まり | 森 |
職を辞す行く先知らず花筏 | 常諾 |
木の瘤に成り切っている越冬蛾 | 中嶋 |
春の海二そうの舟が後前に | 北島 |
さざなみ句会(H19.10) | |||
1 | 秋時雨一つ傘指す老夫婦 | 西村 | |
2 | 残業も鈴虫の音に小休止 | 北島 | |
3 | 生き方を説く書片手に夜長し | 池嵜 | |
4 | 塩秋刀魚風吹きすさび火も荒れて | 川那部 | |
5 | 寒くても無数の星に見入る子ら | 蜂屋 | |
6 | 読む人の傍らに居る夜の蘭 | 杉澤 | |
7 | 野菊摘み娘と墓参山河あり????? | 中嶋 | |
8 | 電柱の影くっきりと十三夜 | 三上 | |
9 | 不器用な指も生き生き栗を剥く | 吉永 | |
10 | 赤とんぼ山辺の旅の道に舞う | 森 | |
11 | 孫の顔思いて漁師が竹を切る | 廣瀬 | |
12 | 暁にアンテナの黒何本も | 岡嶋 | |
13 | 見上げれば宮沢賢治の星月夜 | 高野 | |
14 | 詰め将棋頭ひねりて秋の夜 | 伊庭 | |
15 | 毬栗をすっぽり包む笑い声 | 海東 | |
16 | 炭火起こし煙覚悟の秋刀魚焼く | 西村 | |
17 | 旧友のおもかげ残し金木犀 | 北島 | |
18 | 翌日を気にせず燈火親しめり | 池嵜 | |
19 | 笑栗にそっと手を伸ばす笑み顔や | 川那部 | |
20 | 寝静まり虫の音響く子ども部屋 | 蜂屋 | |
21 | 若き日のアルバムに咲く秋桜や | 杉澤 | |
22 | 風の輪を描いて紅葉の舞い落ちる??? | 中嶋 | |
23 | 新米の水の加減をあれこれと | 三上 | |
24 | 惜しげなく大輪菊切る花鋏 | 吉永 | |
25 | 秋桜の次々にゆれ風渡る | 森 | |
26 | 亡き叔母の思いを残す木槿かな | 廣瀬 | |
27 | 栗拾い小さいのを捨て大きいの | 岡嶋 | |
28 | ほらミミズ悲鳴と歓声甘藷掘り | 高野 | |
29 | 釣り船の半分沈み暮れの秋 | 伊庭 | |
30 | 観月につどいてこぼるる笑顔かな | 海東 | |
31 | 見上げればどこまでもどこまでも秋の空 | 西村 | |
32 | デカルトの書を片手に秋刀魚焼く | 北島 | |
33 | 校庭の柿色づきて枝しなる | 池嵜 | |
34 | 手に余る軍手はめにし甘藷掘り | 川那部 | |
35 | 夏過ぎてアサガオがんばる子らの鉢 | 蜂屋 | |
36 | 人知れず露天の湯に入る宿の月 | 杉澤 | |
37 | 閉会後棒の如くに秋の雨?? | 中嶋 | |
38 | 伝説のむべの実一つ食べ終えし | 三上 | |
39 | 山の店枝葉のついた柿を売る | 吉永 | |
40 | 海原の波のごとくに芒原 | 森 | |
41 | 枯蟷螂今ひとたびの虚勢かな | 廣瀬 | |
42 | 松茸の香りを付けてしめじ汁 | 岡嶋 | |
43 | 金木犀ミストサウナの散歩道 | 高野 | |
44 | 天高く鉄骨の五階安座する | 伊庭 | |
45 | くるくると輝く目の先あきあかね | 海東 | |
46 | 眼前に広がる刈田子ら走る | 西村 | |
47 | 木犀の香や若き日のあの授業 | 池嵜 | |
49 | リクルート姿緊張気味に赤い羽根 | 川那部 | |
50 | 指先が思いを伝える組体操 | 蜂屋 | |
51 | 新米を浅漬けだけで食す朝???????????????????????????? | 杉澤 | |
52 | 娘は梨息子は葡萄えらびけり | 中嶋 | |
53 | 揚げパンを頬ばる子らと秋の空 | 三上 | |
54 | 古雑誌開けば紅葉の栞落つ | 吉永 | |
55 | バッタ追う子の背中越しバッタ飛ぶ | 森 | |
56 | 竜胆の色にひかれて小休止 | 廣瀬 | |
57 | 君の手を握る言い訳そぞろ寒 | 岡嶋 | |
58 | 阪神も巨人も負けた虫の秋 | 高野 | |
59 | 運動会ビデオも一斉動き出し | 伊庭 | |
60 | 紅葉鮒しばらく湖(うみ)の様子見て | 海東 | |
61 | 柿を取る老母の背中しゃんと伸び | 西村 | |
62 | ころんでもぼくは泣かない運動会 | 北島 | |
63 | コスモスをバックに笑顔整列す | 池嵜 | |
64 | 軒下の干柿暖簾日暮れ時 | 川那部 | |
65 | 年齢と体力計る運動会 | 蜂屋 | |
66 | 終章の余韻に浸り呑む夜長 | 杉澤 | |
67 | 目醒め床思わずシャッター窓の月 | 中嶋 | |
68 | 和船での水郷めぐり秋の風 | 三上 | |
69 | 丹念に漢詩を写す秋の夜 | 吉永 | |
70 | 角曲がる前香り来る金木犀 | 森 | |
71 | 秋の風少女の髪のつややかさ | 廣瀬 | |
72 | カフェの灯に時の名残や夜の秋 | 岡嶋 | |
73 | 若き日へ逆さ時計や青蜜柑 | 高野 | |
74 | 百人の子らも一列脱穀す | 伊庭 | |
75 | コスモスの咲く間から見た異国 | 海東 |
さざなみ句会(H19.10)
秋時雨一つ傘指す老夫婦 | 西村 | |
残業も鈴虫の音に小休止 | 北島 | |
生き方を説く書片手に夜長し | 池嵜 | |
塩秋刀魚風吹きすさび火も荒れて | 川那部 | |
寒くても無数の星に見入る子ら | 蜂屋 | |
読む人の傍らに居る夜の蘭 | 杉澤 | |
野菊摘み娘と墓参山河あり????? | 中嶋 | |
電柱の影くっきりと十三夜 | 三上 | |
不器用な指も生き生き栗を剥く | 吉永 | |
赤とんぼ山辺の旅の道に舞う | 森 | |
孫の顔思いて漁師が竹を切る | 廣瀬 | |
暁にアンテナの黒何本も | 岡嶋 | |
見上げれば宮沢賢治の星月夜 | 高野 | |
詰め将棋頭ひねりて秋の夜 | 伊庭 | |
毬栗をすっぽり包む笑い声 | 海東 | |
炭火起こし煙覚悟の秋刀魚焼く | 西村 | |
旧友のおもかげ残し金木犀 | 北島 | |
翌日を気にせず燈火親しめり | 池嵜 | |
笑栗にそっと手を伸ばす笑み顔や | 川那部 | |
寝静まり虫の音響く子ども部屋 | 蜂屋 | |
若き日のアルバムに咲く秋桜や | 杉澤 | |
風の輪を描いて紅葉の舞い落ちる??? | 中嶋 | |
新米の水の加減をあれこれと | 三上 | |
惜しげなく大輪菊切る花鋏 | 吉永 | |
秋桜の次々にゆれ風渡る | 森 | |
亡き叔母の思いを残す木槿かな | 廣瀬 | |
栗拾い小さいのを捨て大きいの | 岡嶋 | |
ほらミミズ悲鳴と歓声甘藷掘り | 高野 | |
釣り船の半分沈み暮れの秋 | 伊庭 | |
観月につどいてこぼるる笑顔かな | 海東 | |
見上げればどこまでもどこまでも秋の空 | 西村 | |
デカルトの書を片手に秋刀魚焼く | 北島 | |
校庭の柿色づきて枝しなる | 池嵜 | |
手に余る軍手はめにし甘藷掘り | 川那部 | |
夏過ぎてアサガオがんばる子らの鉢 | 蜂屋 | |
人知れず露天の湯に入る宿の月 | 杉澤 | |
閉会後棒の如くに秋の雨?? | 中嶋 | |
伝説のむべの実一つ食べ終えし | 三上 | |
山の店枝葉のついた柿を売る | 吉永 | |
海原の波のごとくに芒原 | 森 | |
枯蟷螂今ひとたびの虚勢かな | 廣瀬 | |
松茸の香りを付けてしめじ汁 | 岡嶋 | |
金木犀ミストサウナの散歩道 | 高野 | |
天高く鉄骨の五階安座する | 伊庭 | |
くるくると輝く目の先あきあかね | 海東 | |
眼前に広がる刈田子ら走る | 西村 | |
木犀の香や若き日のあの授業 | 池嵜 | |
リクルート姿緊張気味に赤い羽根 | 川那部 | |
指先が思いを伝える組体操 | 蜂屋 | |
新米を浅漬けだけで食す朝???????????????????????????? | 杉澤 | |
娘は梨息子は葡萄えらびけり | 中嶋 | |
揚げパンを頬ばる子らと秋の空 | 三上 | |
古雑誌開けば紅葉の栞落つ | 吉永 | |
バッタ追う子の背中越しバッタ飛ぶ | 森 | |
竜胆の色にひかれて小休止 | 廣瀬 | |
君の手を握る言い訳そぞろ寒 | 岡嶋 | |
阪神も巨人も負けた虫の秋 | 高野 | |
運動会ビデオも一斉動き出し | 伊庭 | |
紅葉鮒しばらく湖(うみ)の様子見て | 海東 | |
柿を取る老母の背中しゃんと伸び | 西村 | |
ころんでもぼくは泣かない運動会 | 北島 | |
コスモスをバックに笑顔整列す | 池嵜 | |
軒下の干柿暖簾日暮れ時 | 川那部 | |
年齢と体力計る運動会 | 蜂屋 | |
終章の余韻に浸り呑む夜長 | 杉澤 | |
目醒め床思わずシャッター窓の月 | 中嶋 | |
和船での水郷めぐり秋の風 | 三上 | |
丹念に漢詩を写す秋の夜 | 吉永 | |
角曲がる前香り来る金木犀 | 森 | |
秋の風少女の髪のつややかさ | 廣瀬 | |
カフェの灯に時の名残や夜の秋 | 岡嶋 | |
若き日へ逆さ時計や青蜜柑 | 高野 | |
百人の子らも一列脱穀す | 伊庭 | |
コスモスの咲く間から見た異国 | 海東 |
さざなみ句会(H19.6) | |
子が植し鉢植えの枇杷色づいて | 西村 |
扇風機にあたる子の顔赤きまま | 北島 |
曇天の月曜ツバメ低く飛ぶ | 池嵜 |
手の中の灯火青く蛍籠 | 川那部 |
父の日は今年も電話と宅配便 | 蜂屋 |
夏キャベツ光るしずくとともに切る | 中嶋 |
石段を登り切ったる初夏の風 | 三上 |
平仮名のくの字で寝る嬰夏座敷 | 吉永 |
雨粒のしたたる枝や柿の花 | 森 |
しきたりの肩の荷おろす衣更 | 廣瀬 |
水たまり紫陽花映して万華鏡 | 岡嶋 |
打ち水は灼熱地面に吸い取られ | 高野 |
草刈りの匂いと共に話し込み | 伊庭 |
家中の窓開け放ち梅雨晴れ間 | 常諾 |
藍染めの浴衣で歩く石畳 | 好光 |
でで虫や背中つかまれ宙を舞う | 海東 |
梅雨空のサッカー楽しも子らの汗 | 西村 |
かたつむり次の一手は思案中 | 北島 |
蛍舞い車のライトそっと消す | 池嵜 |
黴の宿頭上をはねる子どもかな | 川那部 |
川沿いに親子集めて蛍舞う | 蜂屋 |
菓子くずを落として見るや夏のアリ | 中嶋 |
宵の口蛍の灯り二つ三つ | 三上 |
朝顔の蔓文結ぶように巻く | 吉永 |
船酔いをベラ釣れて後忘れけり | 森 |
父の日に子どもの集いて照れ隠す | 廣瀬 |
闇の川蛍火だけが見てたキス | 岡嶋 |
幼き手丸く重ねて蛍置く | 高野 |
梅雨籠り文庫の文字や長々と | 伊庭 |
黄ばみたる文庫懐かし桜桃忌 | 常諾 |
竹筒を水素直に流れ金魚鉢 | 好光 |
あざやかになおあざやかに七変化 | 海東 |
手につかぬ仕事恨めし蝸牛 | 西村 |
蛇の子をつかまえたぞと腕にまき | 北島 |
畦道でオタマジャクシとにらめっこ | 池嵜 |
水の瀬に蛍火浮かべ夜風吹く | 川那部 |
「土星見た?」梅雨の中休みに子の歓声 | 蜂屋 |
写生大会大きな紙に夏をかく | 中嶋 |
蛍舞い川辺は人の群れとなる | 三上 |
絵筆持つ手元明るき新樹光 | 吉永 |
紫陽花は一雨ごとに色を増す | 森 |
ばたあしのしぶきに沿うてあめんぼう | 廣瀬 |
再生は教育よりも政治かな | 岡嶋 |
遊覧船花噴水がお出迎え | 高野 |
螢篭揺れる子の目もまた揺れて | 伊庭 |
蛍舞う今年も地球滅びざり | 常諾 |
伝言の見事な変身七変化 | 好光 |
束ねたる四ひらの花を園児抱き | 海東 |
紫陽花の鮮やかに咲く娘(こ)は二十歳 | 西村 |
ザリガニがかかってこいとハサミふる | 池嵜 |
紫陽花や五十路の仕事ままならず | 北島 |
青梅をぬぐう焼酎飲み乾して | 川那部 |
懸命な実習生に習う夏 | 蜂屋 |
蝶舞いてたちまち子らの列乱る | 中嶋 |
病室の父の寝息と梅雨の空 | 三上 |
朝顔のつぼみ相手に独り言 | 吉永 |
わが庭の草の香濃くし入梅す | 森 |
近所の子はしゃぐ手に手に水鉄砲 | 廣瀬 |
二車線の国道渡る毛虫かな | 岡嶋 |
梅雨寒であろうが飲むぞ大ジョッキ | 高野 |
梅雨の闇達磨はなぜか遠く見ゆ | 伊庭 |
わだかまる思いは解けずビアグラス | 常諾 |
蛍の火手に包み込み母を呼ぶ | 好光 |
二つ三つ大発見なり初蛍 | 海東 |
二つ三つ蛍の灯り酔い覚まし | 西村 |
安芸の梅雨鹿の瞳に嘘はなし | 北島 |
水泳はできるのかしらと天仰ぎ | 池嵜 |
手にとりて頬張る宝珠桜桃 | 川那部 |
雷鳴が校舎に子ども封じ込め | 蜂屋 |
黄砂ふる一年一ミリ千年埋 | 中嶋 |
紫陽花の色まだ薄き古寺巡り | 三上 |
折り紙の金魚も眠たい5時間目 | 吉永 |
クールビズ色軽やかに今朝の街 | 森 |
生け垣の銀の道ゆくでんでん虫 | 廣瀬 |
甘汁を吸うに耽るやかぶと虫 | 岡嶋 |
石積みの苔に寄り添う蝸牛 | 高野 |
梅雨の雷人間まさに百面相 | 伊庭 |
噴水と跳ねる幼な子コラボする | 常諾 |
蔓薔薇や知らぬ間に我支えられ | 好光 |
水をやる子よりも高き向日葵よ | 海東 |
さざなみ句会(H19.5) | |
端午来て兜座敷に陣を張り | 杉澤 |
黒々と土の目覚めに苗を植う | 中嶋 |
新緑の大樹を揺する疾風かな | 三上 |
風五月赤ペンで書く新教師 | 吉永 |
建売のアドバルーンに五月(さつき)風 | 森 |
遠雷に区切りをつけし庭仕事 | 廣瀬 |
体育や指で芸術砂の上 | 岡嶋 |
指さす子頭上切り裂く夏燕 | 高野 |
石段を杖が追い抜き立夏かな | 伊庭 |
青嵐窓から窓へ通り過ぐ | 常諾 |
徒競走ゴールの先の青葉風 | 好光 |
ひっそりと水に流れる水馬よ | 海東 |
一番を競って食す鱧料理 | 西村 |
凝縮されし松陰の教え五月晴れ | 北島 |
夕日さす校庭の隅藤の房 | 池嵜 |
雨あがれ長靴手にし苺摘み | 川那部 |
一歩ずつ鶯色に山薫る | 蜂屋 |
自転車の行き交う朝に若葉萌え | 杉澤 |
春泥を持ち込み妻の小言聞く?????????? | 中嶋 |
掘り起こし筍抱え子の歓声 | 三上 |
平仮名がこぼれるノート花は葉に | 吉永 |
若葉にも濃淡、大小、違いあり | 森 |
ざわめきてさざなみの立つ麦の秋 | 廣瀬 |
放課後の呼び出し放送固唾飲み | 岡嶋 |
母の日やショートケーキと帰宅する | 高野 |
子の歓声卯月曇りを一蹴し | 伊庭 |
青葉風裾翻る野点かな | 常諾 |
ウインドー雫を染める藤の花 | 好光 |
あじさいの水滴残る朝涼し | 海東 |
そら豆のゆであがる間に一杯目 | 西村 |
うみねこ春の夕日をあび島に帰る | 北島 |
遠蛙家路を急ぐ駐車場 | 池嵜 |
豌豆のたわわなるかなゆれる風 | 川那部 |
小春日和泣き声響く動物園 | 蜂屋 |
給食を全部食べた日二重虹(ふたえにじ) | 杉澤 |
満開の花見の後の車列伸ぶ | 中嶋 |
ラジオから懐メロ流れ若葉風 | 三上 |
丈少し伸ばす制服衣更 | 吉永 |
山歩く若葉に豊かな個性かな | 森 |
母の日の電話の向こうの母の声 | 廣瀬 |
グッピーもうなだれ泳ぐ蒸した部屋 | 岡嶋 |
擦れ違う少女スキップ夏来る | 高野 |
さざなみ句会(H19.5) | No.2 |
虹低し琵琶湖に新た橋二つ | 伊庭 |
薫風や遠足の子ら列長し | 常諾 |
針槐(はりえんじゅ)木戸にもたれて匂います | 好光 |
人の中ひらりひらりと団扇ゆく | 海東 |
焼酎の香りかすかに昼下がり | 西村 |
うみどりが春の風をわたる横一列 | 北島 |
藤棚の木製ベンチ子ら集う | 池嵜 |
苗間見返り見返り田草取り | 川那部 |
渋滞も風物なりし春の京 | 蜂屋 |
鼻歌の妻窓開けて風薫る | 杉澤 |
休日は約束通り草を引く | 三上 |
啓蟄や芝の根を切り草をひく | 中嶋 |
教卓のつつじ話題に文綴る | 吉永 |
ギャラリーを出て薫風の街を往く | 森 |
にわかあめ土の香の立つスタジアム | 廣瀬 |
がぶ飲みの麦茶体も琥珀色 | 岡嶋 |
渓流の岩魚に合わせて呼吸する | 高野 |
傘の骨だけにして去り青嵐 | 伊庭 |
異国より娘の便り窓若葉 | 常諾 |
アマリリス『オーケストラの少女』かな | 好光 |
夏の雨竿に並んだ水の玉 | 海東 |
柏餅散歩のついでに一つ買い | 西村 |
スサノオ剣を手に雲太に昇る春の夢 | 北島 |
校庭に鉢整列し種を蒔く | 池嵜 |
いつしかに望郷となりし蜜柑咲く | 川那部 |
リーダーの意欲を見せる五月の子 | 蜂屋 |
他愛ない喧嘩の後の初鰹 | 杉澤 |
そよ風にかしらを揺する春のけし | 中嶋 |
若者の半袖姿夏来る | 三上 |
種をまき小さき指で土つかむ | 吉永 |
ほほえんで枝離れゆく椎落葉 | 森 |
噴水にたわむれる子の白いシャツ | 廣瀬 |
涼しげに文読む少女窓の外 | 岡嶋 |
金魚鉢魚眼レンズの小宇宙 | 高野 |
顔中をクリームだらけに夏来たる | 伊庭 |
独り食う夕餉の卓に夏蜜柑 | 常諾 |
レモン水ドッグイヤーの愛読書 | 好光 |
夏の月水車の水に歪みたり | 海東 |
テーブルの鮒鮨子らが鼻つまみ | 西村 |
さざなみや村塾となれ春木立 | 北島 |
ブランコの子青空にすいこまれ | 池嵜 |
「とっていい」と伸ばす手の先苺摘み | 川那部 |
「かわいそう」やんちゃな子の手にツバメかな | 蜂屋 |
さざなみ句会(H19.4) | |
反り返り穀雨に祈る爺と婆 | 杉澤 |
老木の瘤突き破り若芽吹く | 中嶋 |
教室の中まで桜吹雪かな???? | 三上 |
夜桜や闇を濃くする寺の屋根 | 吉永 |
挨拶のまだ固き日や新年度 | 森 |
春の昼ホームの端の喫煙所 | 廣瀬 |
列を成し笑顔も満開さくら道 | 岡嶋 |
杯に一ひら添える花の宴 | 高野 |
携帯や絵文字の桜外いつぞ? | 伊庭 |
花吹雪浴びて子犬と少女行く | 常諾 |
ミニトマトサラダにたっぷり恋の味 | 好光 |
山の向こう流れてしまえ吹き流し | 海東 |
小さき手ひきて向かうや入学式 | 西村 |
退職の便りに一驚窓若葉 | 川那部 |
新学期やんちゃな背中もしゃんと伸び | 蜂屋 |
旧友と呑んで相槌ほたるいか | 杉澤 |
サラサラと板塀を掃く若葉かな | 中嶋 |
鴬の鳴き声あれこれ批評する???? | 三上 |
茶話会や遠慮がひとつ桜餅 | 吉永 |
「陽子」とは春授かりし子の故に | 森 |
遠来の羽を休めしつばくらめ | 廣瀬 |
初蛙黙して語る籠の中 | 岡嶋 |
キーボード緑茶に添えて桜餅 | 高野 |
菜の花や余震の仮設精一杯 | 伊庭 |
気がつけば葉桜となり大吐息(おおといき) | 常諾 |
手作りのブラウスに咲く白き百合 | 好光 |
「んまんま」と騒ぐ我が子と燕の子 | 海東 |
新教師深呼吸して挨拶し | 西村 |
川堤夢色の黄や菜種梅雨 | 川那部 |
報道も桜も見守る石室解体 | 蜂屋 |
孫笑い髪のなびいて風光り | 杉澤 |
啓蟄や誘われてみる親子旅 | 中嶋 |
転任の挨拶つづく一日かな???? | 三上 |
花の昼弁当は売り切ればかり花の昼 | 吉永 |
廃船に鳥二つ居る春隣り | 森 |
風にゆれ目にやわらかき青柳 | 廣瀬 |
木漏れ日にうたた寝の君花林檎 | 岡嶋 |
大きめの名札鮮やか一年生 | 高野 |
上り梁子らの足音静まりぬ | 伊庭 |
並木道片言英語花水木 | 常諾 |
しゃぼん玉描く画用紙飛び出して | 好光 |
薫風やすべてを緑にかえてゆき | 海東 |
筍を背負いて母と山歩く | 西村 |
壮なりと行く人も仰ぎ幟立つ | 川那部 |
暖かい風に押されて初登校 | 蜂屋 |
古都の宵灯火ほのか花の宿 | 杉澤 |
近江では桜前線今湖北 | 三上 |
菜畑に少女手を振るローカル線 | 中嶋 |
春眠し写楽の顔で髭を剃る | 吉永 |
春雷や眼鏡ふきまた見る内示 | 森 |
菜園に種蒔く子どものみな笑顔 | 廣瀬 |
町内会ガハハと笑う組長さん | 岡嶋 |
手を引かれ大またでつく入学子 | 高野 |
琴の音や風が運んで花筏 | 伊庭 |
葬列の往く手おぼろに黄砂降る | 常諾 |
ウルトラマン胸の点滅四月尽 | 好光 |
バスに乗りへの字口なる五月病 | 海東 |
老いし母味は忘れず木の芽和 | 西村 |
山里は薄紅なりや林檎咲く | 川那部 |
明日香路で桜が照らす石舞台 | 蜂屋 |
自転車と春のせせらぎ走る朝 | 杉澤 |
鄙宿に卒業旅行の大学生 | 中嶋 |
紅白に街を彩るハナミズキ | 三上 |
入学児みな優等生の顔をして | 吉永 |
入学式オンリーワンの子の笑顔 | 森 |
おつかいの家路を急ぐ春の雨 | 廣瀬 |
春風に芝生を散らしフットサル | 岡嶋 |
そっと見る渡り廊下に燕の巣 | 高野 |
春の雨大地もぞもぞ動き出し | 伊庭 |
ランドセルに花びら飾り新入児 | 常諾 |
げんげ田や心ゆくまで見ています? | 好光 |
花もらい初めて気づく母の日よ | 海東 |
若々しスーツ姿や花の宴 | 西村 |
鳥雲になごりの波紋鳰の湖 | 川那部 |
春早々B問題に四苦八苦 | 蜂屋 |
さざなみ句会 これまでの作品
成19年3月22日
さざなみ月例会
白き波訪ねる岬の水仙花 | 森 |
照れ笑いハンカチ王子の卒業子 | 中嶋 |
君さそふいつかの思い出さくら道 | 岡嶋 |
朧月積み木のように貨車動く | 吉永 |
真新し紺のスーツの弾む春 | 杉澤 |
昨日なのタイヤをかえたの春の雪 | 西村 |
風花や縄跳びする子の声弾む | 三上 |
頑張れと言わず見送る受験の子 | 高野 |
人前婚幸せ春の空気かな?? | 伊庭 |
椿落つ音の聞こえる鄙の寺 | 常諾 |
行く雲や何もせぬ日の座禅草 | 好光 |
夏の話題年度を前に準惑星 | 蜂屋 |
旅立ちの家族を送る木蓮の花 | 廣瀬 |
ひとつだけ思い出を手に卒業す | 北島 |
鶯の声近くなり夢さます | 池嵜 |
仰ぎ見て声にならぬは卒業歌 | 川那部 |
凍(いて)返る物干し竿も靴下も | 海東 |
梅見旅土産の香りも薄紅に | 森 |
春海を目指して進め親子船?????? | 中嶋 |
今日もまた余寒のせいにし鍋料理 | 岡嶋 |
少年サッカー泥の瞳を煌めかす | 吉永 |
淡雪の化粧の映ゆる古都の朝 | 杉澤 |
背伸びして横に並びし卒業子 | 西村 |
スーツ着て就職活動春近し | 三上 |
ファインダー笑顔笑顔の卒業子 | 高野 |
溝川に鯉群がりて桜東風 | 伊庭 |
落ち椿回り道する石畳道(いしのみち) | 常諾 |
啓蟄や飛び出し坊や立て直す | 好光 |
暖冬で無事年越した夏タイヤ | 蜂屋 |
?(えり)を挿す漁船にあたる波静か | 廣瀬 |
少しだけいじめにもあい卒業す | 北島 |
どの子もがキラリ輝き卒業す | 池嵜 |
寄せる波返す波をも麗らかや | 川那部 |
春の田で子らと野球し土香る | 海東 |
目は固し鵯争う小枝かな | 森 |
ストーブに灯油を入れる余寒かな | 中嶋 |
ハーブ種蒔く背に温し日の光 | 岡嶋 |
不断鉦守る僧ひとり春浅し | 吉永 |
雁風呂や帰らぬ命温もりて | 杉澤 |
春疾風コートの襟をみな起こし | 西村 |
冴返る体育館の式練習 | 三上 |
将来の夢宣言す卒業子 | 高野 |
さざなみ句会(H19.3) | No.2 |
春霙友思い出し手紙書く? | 伊庭 |
式終えて笑顔泣き顔卒業す | 常諾 |
風車回すパステル彩(いろ)の風 | 好光 |
雪がやみすんだ夜空に星昴 | 蜂屋 |
土くれとほどよい疲れの春の宵 | 廣瀬 |
大きな背に小さきランドセル卒業す | 北島 |
卒業の日黒板に文字凛と | 池嵜 |
栄螺焼き潮が鳴るなりふつふつと | 川那部 |
玄関のスキーをしまう錆落とし | 海東 |
啓蟄やランナーたちのサングラス | 森 |
春めきて顔より大きなあくびかな | 岡嶋 |
開く扉を春の日射し入る卒業式 | 中嶋 |
一山に力の兆し早春の朝 | 吉永 |
春夜(しゅんや)聴く退く人の物語? | 杉澤 |
広き部屋独り占めして雛飾り | 西村 |
「春炎」と呼ばれし祭り間近にて | 三上 |
別れ雪見送りの拍手響く中 | 高野 |
土筆坊頭握って三十五 | 伊庭 |
満開の花が散るだけ日曜日 | 常諾 |
花菜(はなな)晴れ復職可とする診断書 | 好光 |
学年末教師が楽しむワープリレー | 蜂屋 |
ほろにがさ届きし里のふきのとう | 廣瀬 |
土手をかけころげ落つ先土筆の子 | 北島 |
校長室一人のための卒業式 | 池嵜 |
再会を誓いしアオギリ卒業碑 | 川那部 |
土筆摘み大きさくらべ子は強し | 海東 |
春寒し独りのシースルーエレベーター | 森 |
桜花咲き金亀の山の高くなる????? | 中嶋 |
蝶々のあちらこちらでもつれたり | 岡嶋 |
年輪を重ねた校舎卒業歌 | 吉永 |
卒業生涙を拭かず凛と立ち | 杉澤 |
一服の茶と妻と桜餅 | 西村 |
窓あけて青空眺む春立ちぬ | 三上 |
母めがけスキップの幼子風光る | 高野 |
座禅草仏厳か鎮座する | 伊庭 |
暮れ六つの鐘聞いて出づ花の寺 | 常諾 |
晴れ舞台胸それぞれに春の花 | 好光 |
式終わり再会約してワンショット | 蜂屋 |
巣立つ子のまなざしに見る我が使命 | 廣瀬 |
並び立つ百戦錬磨の土筆 | 北島 |
授与されず卒業証書主待つ | 池嵜 |
風光る鏡の中のランドセル | 川那部 |
日差し浴びだれの影かな春障子 | 海東 |
さざなみ句会(H18.10) | 1 | |
1 | ただ一つ願い叶えよ流れ星 | 池嵜 |
2 | 遠足の青いどんぐり宝物 | 常諾 |
3 | 新米を握りし祖母の高笑い | 杉澤 |
4 | 新米を炊く香りに深呼吸 | 西村 |
5 | コスモスの揺れる笑顔や友の声 | 好光 |
6 | 幼子の手にぬくもりし木の実かな | 中嶋 |
7 | 秋の蚊や夜の自販機よろよろと | 高野 |
8 | 釣り人の背も染めてゆく秋の暮れ | 三上 |
9 | 銀杏散り黄金世界踏みしめり | 海東 |
10 | コキコキと鳴らす首筋天高し | 吉永 |
11 | この時と雲の晴れ間の月祭り | 川那部 |
12 | 晩秋や石上の亀の目の涙 | 森 |
13 | 龍淵に潜む岩陶浴汗や滝 | 伊庭 |
14 | 足早の散歩の犬や秋の朝 | 北島 |
15 | 号砲を聞いたか野に咲く彼岸花 | 蜂屋 |
16 | 椿の実見て去る時に匂いけり | 岡嶋 |
17 | 星流れ願いかすめる家路かな | 池嵜 |
18 | 手のひらに青いドングリ一つだけ | 常諾 |
19 | 妻帰り秋桜ゆれて灯りつき | 杉澤 |
20 | 体育の日一日限りのウォーキング | 西村 |
21 | 吾子と取る通草(あけび)弾けて笑ってる | 好光 |
22 | 湖を巡る山辺の山紅葉 | 中嶋 |
23 | 夜歩く街灯代わりの星月夜 | 高野 |
24 | 秋澄むや夢語り合う仲間あり | 三上 |
25 | 団栗を競いて拾う二つ三つ | 海東 |
26 | 秋桜村の駐在巡視中 | 吉永 |
27 | 先の余る白き軍手や甘藷掘り | 川那部 |
28 | 秋天や刷毛でひき行く白き雲 | 森 |
29 | 天高くチョークで書いたか雲細し | 伊庭 |
30 | 赤い顔に白いシャツの子秋の昼 | 北島 |
31 | 抽選で当たった松茸りんご並み | 蜂屋 |
32 | 網を振る草野に秋日沈むまで | 岡嶋 |
33 | あの人も見ているだろうか鰯雲 | 池嵜 |
34 | 仲秋や一茶も愛でし同じ月 | 常諾 |
35 | 気をつけてくちなし香る朝の庭 | 杉澤 |
36 | リリリ鳴くこおろぎ相手に手酌酒 | 西村 |
37 | おでん炊く家族の数のゆで玉子 | 好光 |
38 | 天高し高圧鉄塔目に入り来 | 中嶋 |
39 | 老農夫案山子と揃って背を伸ばす | 高野 |
40 | 吹き起こる風も余興の運動会 | 三上 |
41 | うさぎどこ聞かれて仰ぐ満月かな | 海東 |
42 | 缶コーヒー飲む秋空に底見せて | 吉永 |
43 | 赤い羽根共にはばたきリクルート姿 | 川那部 |
44 | 子の寝顔運動会の晴れ姿 | 森 |
45 | 月白のガタンと配達ミルク来し | 伊庭 |
46 | 遙かなる影をたどりて秋の暮 | 北島 |
47 | 秋雨であっという間の地域祭 | 蜂屋 |
48 | ロッカーに落ち葉一枚雨の朝 | 岡嶋 |
49 | 小さき手一粒一粒大根蒔く | 池嵜 |
50 | 不揃いの切り株残り学校田 | 常諾 |
51 | 独り聴くドボルザークやちちろ鳴く | 好光 |
52 | 待つ人の横顔映す駅の月 | 杉澤 |
53 | 蟷螂の鎌振り上げて草掃除 | 西村 |
54 | 菊の香や五百羅漢に我を見る | 中嶋 |
55 | 朝寒しフロントガラスに露流る | 高野 |
56 | 辛うじて雲の切れ間の月見かな | 三上 |
57 | きらめいて何を映すか芋の露 | 海東 |
58 | 庭の花活けて満ち足る9月尽 | 吉永 |
59 | 名月をなぜ隠すと雲に問う | 川那部 |
60 | 歯ぎしりし運動会の終わった夜 | 森 |
61 | 登校児稲架も整列南向き | 伊庭 |
62 | 台風の近づきし日は胸おどり | 北島 |
63 | 半そでの子供のくしゃみで衣替え | 蜂屋 |
64 | 落花生二人皮剥く猿のごと | 岡嶋 |
65 | 一筋の道まっすぐに秋の暮 | 池嵜 |
66 | 心あらず身を透り過ぐ秋の風 | 常諾 |
67 | 日曜日家族の数の秋刀魚焼き | 杉澤 |
68 | あの柿はもう食べられそうだと指をさし | 西村 |
69 | 秋刀魚焼く隣近所のお付き合い | 好光 |
70 | コスモスの押しよせてくる花街道 | 中嶋 |
71 | 暗き朝竿振る先に渡り鳥 | 高野 |
72 | 菜園の大根間引く日曜日 | 三上 |
73 | 秋夕焼(あきゆやけ)とんぼと赤さを競いけり | 海東 |
74 | 胸を張る句碑の彫り目に子蟷螂 | 吉永 |
75 | 補助輪尻目尻目に鰯雲 | 川那部 |
76 | 秋風や硝子の町に行き惑う | 森 |
77 | 雲か月どっち動くや強風に | 伊庭 |
78 | 案山子のみ田を守りけり山近し | 北島 |
79 | 嵐吹き今年の月見は十六夜に | 蜂屋 |
80 | 梨食むやシャキリとしぶきのほとばしる | 岡嶋 |
さざなみ句会(H18.9) No.1
運動会世界の旗が子らつつむ 池嵜
ホームの明かり届かぬ先に彼岸花 常諾
台風の行方をにらみ旅支度 西村
がんばれと言わぬ優しさ零れ萩 好光
幼子とそぞろ歩きにねこじゃらし 中嶋
刈田踏みキャッチボールの子等が舞う 高野
水掬う川面に映る秋の空 三上
秋風に思わず迷う袖の丈 海東
校長が反り身で走る運動会 吉永
十六夜のそこはかとなく文庫読む 川那部
運動会焦点定める白テープ 森
コンバイン金のジュータン食べ尽くし 伊庭
改札の変わらぬ朝に赤い羽根 廣瀬
夕暮れの古寺の鐘曼珠沙華 北島
ぬれてなお湯気上げ走る運動会 蜂屋
ああ秋かテレビで気付く夕べかな 岡嶋
城仰ぐ玄宮園に虫の声 池嵜
駅前の靴音しげし萩ゆれる 常諾
秋刀魚焼く七輪の煙懐かしみ 西村
朱を超える畦一面の曼珠沙華 好光
ぐんぐんと濃くなる夕焼け星一つ 中嶋
墓洗う今の日本どう思う 高野
庭園のライトアップや虫を聞く 三上
ほっこりと栗の甘さに時忘る 海東
校庭のどこに立っても天高し 吉永
天の青地の曼珠沙華寂光院 川那部
運動会あの子の瞳が輝いた 森
蝗の眼我も動ぜず睨めっこ 伊庭
酔い覚まし悩みの多き星月夜 廣瀬
チャンバラの子ら走り去り曼珠沙華 北島
組み体操指先映える六年生 蜂屋
月夜とて犬吠ゆるのみ風の前 岡嶋
こおろぎを追う子ら草をとび跳ねる 池嵜
壺庭の風よりやさしく桔梗咲く 常諾
子らかける空いっぱいの秋茜 西村
携帯の届かぬ郷や秋茜 好光
運動会幼児が走る後の線 中嶋
いつもよりちょっぴり嬉しい今年米 高野
秋風や夕日に染まる湖の景 三上
天高しちっぽけな我を吸い込みし 海東
秋暑し本の落書き見逃して 吉永
稲雀我よ我よと飛び下りぬ 川那部
さざなみ句会(H18.9) No.2
読書の夜いち涙伝うリルケの詩 森
松茸の香と徳利あり閉店す 伊庭
そぞろ寒起死回生の折り返し 廣瀬
ボス猿が柿の木に座す旅の宿 北島
「あれは何」名から始まる百舌との出会い 蜂屋
妻の風邪塩気の多い茶碗蒸し 岡嶋
獲物食うかまきり見つめ息をのむ 池嵜
サルビアの前に整列運動会 常諾
ぼんやりと風に任せて鰯雲 好光
縁側に幾本も並べたり月見酒 西村
秋の湖子の背は伸びて同窓会 中嶋
夜歩く体を包む虫時雨 高野
休日の畑仕事や秋日差 三上
あれなあに子ども泣き出す威銃(おどしづつ) 海東
新涼や天まで届けと音読す 吉永
模擬授業議論重ねん虫時雨 川那部
色あせしサンダルひとつ無人浜 森
運動会予報と曇天いざ決断 伊庭
ままごとの小さき手の中赤のまま 廣瀬
タンカーの悠々とゆく秋の海 北島
冥王星夏の暑さと共に去る 蜂屋
高熱も多忙の職場容赦なく 岡嶋
敬老の日とて父母鍬を振る 池嵜
木槿落ち蟻の行く道乱れけり 常諾
秋の田に子の声響く日曜日 西村
休む程心に染みる虫の声 好光
妻と行く車窓に秋のむらさき野 中嶋
砂煙割って駆け抜く運動会 高野
久々に父と語りし敬老の日 三上
生き生きと腰低くなり葡萄棚 海東
掲示板夏の名残の犇(ひし)めいて 吉永
草野球川風吹きて獺祭忌 (=子規忌) 川那部
時巡ることに慣れたる曼珠沙華 森
足裏に秋風感じ雲流る 伊庭
西の朋復帰を祈る木槿かな 廣瀬
日焼け顔集まりうれし新学期 北島
田んぼ道色を先取る赤とんぼ 蜂屋
秋の蚊や我を素通り何思う 岡嶋
さざなみ句会(平成18年7月21日)
旧友の思い届けるさくらんぼ | 池嵜 |
遠雷に花火の音の混じり来る | 常諾 |
梅雨空にボールで遊ぶ子ら忙し | 西村 |
合歓の花静かに祈るマリア像 | 好光 |
無賃橋補導の夜のスターマイン | 中嶋 |
虫取り網木下闇に消えにけり | 高野 |
老犬は臥して動かず雷雨かな | 三上 |
竿とる手銀に輝く鮎解禁 | 海東 |
遠蛙斉藤茂吉思い出す | 吉永 |
蜻蛉生(あ)れ網きる風や空青し | 川那部 |
降り立ちし旅のホームに青芒 | 森 |
今日こそぞ瞼に焼きつけ月下美人 | 伊庭 |
奥琵琶湖湖上を駆けるにわか雨 | 廣瀬 |
百メートル游ぎて子らの背は高し | 北島 |
草刈で追われ出て来るバッタの子 | 蜂屋 |
膳所公園ゆく風さやか落し文 | 岡嶋 |
飼育箱のぞく瞳に甲虫 | 池嵜 |
汗拭いて腰を伸ばせば入道雲 | 常諾 |
通知票書き損ずなり遠雷の音 | 西村 |
真っ二つ西瓜にかけるブランデー | 好光 |
手をつなぎ打ち上げ花火林檎飴 | 中嶋 |
雨を受け輝きを増す七変化 | 高野 |
静かなる湖面にひらく蓮の花 | 三上 |
牽牛と織り姫の逢瀬(おうせ)何願う | 海東 |
雷や大津絵の鬼へそ隠す | 吉永 |
夕映えてなお白きかな雲の峰 | 川那部 |
さざなみを田ごとに起こして青田風 | 森 |
強くあれ思わず叫び糸蜻蛉 | 伊庭 |
遠雷を今日の仕事のキリとする | 廣瀬 |
夕立の音も気にせず長電話 | 北島 |
子の顔とともに色づくホウセンカ | 蜂屋 |
ががんぼや壁に向かいて右左 | 岡嶋 |
まだ暮れぬ空を見上げて花火待つ | 池嵜 |
湖(うみ)も空も灰色一色雨三日(あめみっか) | 常諾 |
長雨に網戸を直す手間かかり | 西村 |
夏木立ハンカチを振る丘の人 | 好光 |
さくらんぼ北国の愛口の中 | 中嶋 |
ほの明かし線香花火小宇宙 | 高野 |
朝市の籠よりトマトあふれをり | 三上 |
空蝉の未だ爪にある生命力 | 海東 |
コンビニで済ます支払い梅雨明ける | 吉永 |
短冊を結びて仰ぎ天の川 | 川那部 |
雨受けてしとやかさ増す薔薇の花 | 森 |
奥山の主のようなり山椒魚 | 伊庭 |
炎天に墓掃除する水しぶき | 廣瀬 |
なつかしき祖母のいなりや走馬燈 | 北島 |
川調べ小魚見れば子ら「メダカ」 | 蜂屋 |
ヨシの原ふらり飛び越ゆ川蜻蛉 | 岡嶋 |
夏休み夜の校舎で肝だめし | 池嵜 |
朝顔の数色(かずいろ)大きさ競う声 | 常諾 |
白球の数ほど白い木槿咲く | 好光 |
一列に並ぶ子たちの夏帽子 | 西村 |
夏帽子二つ並んで咲いてます | 中嶋 |
銭湯の煙重なる雲の峰 | 高野 |
校庭の南瓜大きく実りけり | 三上 |
小皿には色鮮やかに鱧料理 | 海東 |
人を待つ端より崩すかき氷 | 吉永 |
雑踏も祇園囃子も宵の華 | 川那部 |
身を止めて雷鳥に道を譲りけり | 森 |
参道に涼を持たらし氷旗 | 伊庭 |
滝壺のマイナスイオンのリフレッシュ | 廣瀬 |
あの子にも我が声届け夏木立 | 北島 |
もう巣立つ巣からはあふれるツバメの子 | 蜂屋 |
渋滞で遠くに聞くや大花火 | 岡嶋 |
放課後のプールに落ち葉の舟ひとつ | 池嵜 |
つるの先つかみそこねて思案中 | 常諾 |
葭簾窓に掲げて風を待ち | 西村 |
一面のニッコウキスゲやスカイライン | 好光 |
子らの声ヨットセーリングに出発す | 中嶋 |
紙の音時代小説釣忍 | 高野 |
峰雲や飛び込み稽古飽きもせず | 三上 |
汗にじむ野球観戦夏帽子 | 海東 |
胃も腸も機嫌よくなりビール飲む | 吉永 |
朝焼けや意をうつしけり空と湖と | 川那部 |
母のため供えしメロン十七忌 | 森 |
扇風機出番まだかと座りをり | 伊庭 |
友見舞うアブラゼミ鳴く細き腕 | 廣瀬 |
夕涼み街の灯もおぼろげに | 北島 |
日差し浴び子どもも木々も色や濃く | 蜂屋 |
地図広げどこに行こうか夏の朝 | 岡嶋 |
さざなみ句会(H18.6) | No.1 |
草叢に螢火一つ小宇宙 | 池嵜 |
ジャスミンの香りほのかに回り道 | 常諾 |
アルバムの遠きあの日に蝉になき | 杉澤 |
馬鈴薯の花に急かされ畑掘る | 西村 |
青葉風トム・ソーヤーの吊りズボン | 好光 |
やわらかき緑装い空青し | 中嶋 |
冷奴麦酒鱧刺し胡瓜もみ | 高野 |
楼門をくぐり飛び交う夏燕 | 三上 |
蝸牛傘さす子らと登下校 | 海東 |
梅雨晴れ間校歌の山を見上げけり | 吉永 |
せせらぎと光るハーモニー蛍火や | 川那部 |
五月雨やここち膨らむ宮の森 | 森 |
レインコート傘と行進し入梅に? | 伊庭 |
雑草の切っ先ひかる半夏生 | 廣瀬 |
日差し受け若竹すっくとここに立ち | 北島 |
田圃道月夜に蛍の二つ三つ | 蜂屋 |
水たまりよける白靴リズミカル | 岡嶋 |
誇らしく観察日記に瓜の花 | 池嵜 |
抽出(ひきだし)に去年の手紙戻り梅雨 | 常諾 |
家路にて蛍よりそい歩みとめ | 杉澤 |
旬の味と茶碗一杯の莢豌豆 | 西村 |
ウインドー濡れたる先の濃紫陽花 | 好光 |
人を呼ぶさつきの紅にため息す | 中嶋 |
老農夫足元揺れる青田波 | 高野 |
青葉風内湖を巡る手漕舟 | 三上 |
梅雨晴れやあすのプールもまた思案 | 海東 |
蟷螂の前肢大湖へ身構えり | 吉永 |
紫陽花の毬ゆらして午後の風 | 川那部 |
衣かえて昨日の人の颯爽と | 森 |
書店には人人群れて梅雨籠 | 伊庭 |
夕餉どき岬の端の麦わら帽 | 廣瀬 |
出荷時の忙しき声青メロン | 北島 |
追いかけて蛙とあげる水しぶき | 蜂屋 |
香ばしき麦茶の向こうセピア色 | 岡嶋 |
のぞき見る子らに惑わぬ蟻の道 | 池嵜 |
暗闇を丸に切り取る蛍かな | 常諾 |
物憂げに何をか語る紫陽花や | 杉澤 |
重き鞄下げて家路の梅雨曇 | 西村 |
紫陽花の首に優しき雨の糸 | 好光 |
梅雨に入りミドリの山々元気なり | 中嶋 |
幼子の笑顔ほのかに蛍籠 | 高野 |
自転車の列(つら)なりてゆく麦の秋 | 三上 |
比良の山梅雨の雷の遠くなる | 海東 |
ものがたり始まるごとく蛍飛ぶ | 吉永 |
土団子彩り添える若楓 | 川那部 |
麦秋や比叡にかかる日は燃えて | 森 |
草刈機せいので飛びし蠅の如 | 伊庭 |
悩み顔消えゆく泡追うソーダ水 | 廣瀬 |
夕暮れの重き足どり麦光る | 北島 |
ここを見てアオスジアゲハと虫博士 | 蜂屋 |
初恋や揺れるレースのぼんやりと | 岡嶋 |
絵日記の文字しっかりと麦の秋 | 池嵜 |
夏木立見えつ隠れつ揚羽蝶 | 常諾 |
糸とんぼ話の続きは糸電話 | 好光 |
手帳繰り予定書き入れ見る花火 | 杉澤 |
衣更えポニーテールが街踊る | 西村 |
紫陽花の色を映して水たまり | 中嶋 |
時の日や今日も休まず風見鶏 | 高野 |
時の日や俳句づくりに時忘れ | 三上 |
風呂場では娘と二人水鉄砲 | 海東 |
万緑へ吠えて声なし石の獅子 | 吉永 |
蜜柑咲く甘実思い白数う | 川那部 |
シャボン玉追う子の瞳にシャボン玉 | 森 |
梅雨寒も草木空へまた空へ | 伊庭 |
夏布団母の愛した絞り染め | 廣瀬 |
ノクターンのほのかな調べ夏の夜 | 北島 |
見上げれば蛍と月の二重奏 | 蜂屋 |
ホタル見や人ごみの中かき分けて | 岡嶋 |
飛魚を見たと栞の隅に書き | 池嵜 |
薔薇一輪机の上だけ暮れ残る | 常諾 |
同窓会白髪の少年麦酒あび | 杉澤 |
父の日はいつだったかと娘問い | 西村 |
青春歌流れる窓辺レモン水 | 好光 |
早苗田を渡る風あり五月尽 | 中嶋 |
遠雷や竿を納めて帰路につく | 高野 |
梅雨曇うつむきがちな登校子 | 三上 |
夕暮れの汗でにじんだ夏帽子 | 海東 |
夏風邪を言い訳にして休暇とる | 吉永 |
麦秋や川風走り自転車道 | 川那部 |
ふさぐ子に明日はよき日と雲雀鳴く | 森 |
読み聞かせ壁にも浸みし走り梅雨 | 伊庭 |
開襟シャツこころもおどる白さかな | 廣瀬 |
青春もおぼろげになり夏の月 | 北島 |
低農薬農家の努力とカブトエビ | 蜂屋 |
おぶわれて夢見る頬に蛍火や | 岡嶋 |
さざなみ句会(H18.5) No.1
朝日射し鏡の大地苗代田 池嵜
上古から風さわやかに石舞台(明日香にて) 常諾
絵日記に優しく香る路地苺 杉澤
にぎやかに田を植える子の並びたる 西村
通学路慣れた黄帽子若葉晴れ 好光
ありがとう空の青さと雲の白 中嶋
蓮浮葉揺れる水面へ竿を振る 高野
写真家の手の額の中花畑 海東
風五月青いチョッキの鼓笛隊 吉永
雨上がれ空を仰ぎて苺摘み 川那部
登山道鶯一羽と遊び行く 森
ワッショイと法被が歩き夏祭り 伊庭
億万の命はぐくむ植田かな 廣瀬
それぞれに水玉みがき落つる滝 北島
青々としげる若葉と桜の実 蜂屋
生き場所を決めかねつ飛ぶ綿毛かな 岡嶋
雲雀鳴き少年の日のよみがえる 池嵜
若草と空の境に子の歓声(若草山にて) 常諾
野仏や雲雀が歌い目を覚まし 杉澤
母の日に妻と出かける百貨店 西村
決勝のシュートの先や青葉風 好光
空を切る飛行機雲や五月晴れ 中嶋
仰木道棚田の隅に早苗束 高野
里帰り吾子(あこ)の足下夏炬燵 海東
海青し音符のようにヨット浮く 吉永
窓越しに淡き見ゆなり早苗かな 川那部
ポニーテール春風揺らす登校路 森
田植機の足がここにもあそこにも 伊庭
自転車の女子高生と麦の秋 廣瀬
紙風船また打ち上げてつつがなし 北島
長雨で待ちに待ったり一番茶 蜂屋
初鰹ぐーっと一杯二人酒 岡嶋
曇天に燕一飛び月曜日 池嵜
若葉風水面に隠る五重塔(猿沢池にて) 常諾
休日のひととき癒すさくらんぼ 杉澤
筍飯炊ける間を待つ昼のどか 西村
若葉雨青い瓦は尚青く 好光
たんぽぽのわたげに乗せて夢届け 中嶋
懐かしき便り肴に冷酒飲む 高野
庭作り十年先は芝青し 海東
缶の底天に底見せジュース飲む 吉永
豌豆の粒数競いて皮むく子 川那部
空の青刻んで散らしてイヌフグリ 森
殻食らふ青虫無心虫眼鏡 伊庭
薫風に子のエンピツのはしる音 廣瀬
清らかな水につかりしラムネ瓶 北島
母の日は物にもまして子の笑顔 蜂屋
水田や足下もまた青い空 岡嶋
鯉のぼり鱗の形それぞれに 池嵜
人途絶え伽藍の道に馬酔木咲く(東大寺にて) 常諾
ヤマガラの巣立ちを祝う新樹光 好光
母の日に息子はにかみプレゼント 杉澤
燕の巣玄関の戸を少し開け 西村
時染めて芹川堤に菜花咲く 中嶋
幟立つ天神川に風走る 高野
雨天故遠足延期燕の子 海東
風薫る中山道の古本屋 吉永
手に余るグローブ磨き風薫る 川那部
菜の花や君のことばも頬も染め 森
若葉冷読経に解ける千の風 伊庭
気だるさの残る午前の八重桜 廣瀬
麦酒飲む出会いも別れもひとときに 北島
春祭り子らの歓声田にひびく 蜂屋
庭の草一雨ごとに伸びて見え 岡嶋
種袋顔つき寄せて覗き見る 池嵜
傘さして水やる子の鉢新芽出づ 常諾
窓枠の季節をめくる若葉かな 杉澤
食卓にボウルいっぱいのキャベツ喰う 西村
ひらがなの「む」が難しい蛙の子 好光
そよ風にいま旅立たんとす綿毛かな 中嶋
児の視線観察台の新芽伸び 高野
耕耘機帽子手拭い青田波 海東
音読に五月の庭が揺れている 吉永
蚕豆の天に矛むけ育ちゆく 川那部
蝶モーツァルトの曲に舞う 森
黒東風や遠足延びて文字走る 伊庭
芝を刈るピアノソナタに手を休め 廣瀬
登りきて鯉城の夕べ風青し 北島
教室の後ろにアオムシ壁蛹 蜂屋
新庭に取っても取っても杉菜かな 岡嶋
新緑や光と影の並木道 三上
夏めくや店の看板替えられし 三上
筍の香りひろがる宅配便 三上
鬼遊び小手毬の花撒きちらす 三上
一面にしゃくなげの花咲き誇る 三上
さざなみ句会(H18.4) | |
ホワイトデー愛は形でないけれど | 森 |
画用紙をはみ出しているチューリップ | 吉永 |
抱かれし孫の瞳に初桜 | 杉澤 |
春の朝老翁のまなざしのあたたかき | 廣瀬 |
ひとすじの飛行機雲や菜種畑 | 三上 |
父と子で新車を駆って花街道 | 中嶋 |
夜桜を連なる提灯演出し | 高野 |
歓迎の宴満開の花囲む | 好光 |
山桜川面を流る点描画 | 岡嶋 |
花冷えの夜靴音だけがついてくる | 常諾 |
蒼天に金鱗の舞幟立つ | 川那部 |
制服の白線眩し桜舞う | 池嵜 |
転任地嗚呼いざ行かん虹の橋 | 伊庭 |
街なかに彩り映えて春の服 | 西村 |
春の海いかつり舟の灯は淡し | 北島 |
月光の濡らす桜と水面の花 | 蜂屋 |
八重桜団子食べる娘(こ)桃色に | 海東 |
卒業子校歌の山河(さんが)新たなり | 森 |
花の角曲がれば児が待つ家に着く | 吉永 |
教科書のページをめくる春の風 | 杉澤 |
山積の書類の向こうのおぼろ月 | 廣瀬 |
幼な子の両手かざして花吹雪 | 三上 |
浮御堂雪の伊吹に草たわむ | 中嶋 |
登校子歩みを止める花の道 | 高野 |
カヌー漕ぐ櫂の雫も花の彩 | 好光 |
若草や一気に下る土手の道 | 岡嶋 |
花曇り紫野ゆき標野(しめの)ゆく | 常諾 |
優婉に薄紅浮かび花篝 | 川那部 |
退勤の車の窓から夜桜見物 | 池嵜 |
満開の桜と笑顔靴軽く | 伊庭 |
菜の花のそこだけ光を集めおり | 西村 |
春風に秘め事包む那智の滝 | 北島 |
雨上がり木々薫り出す立木山 | 蜂屋 |
我先と駆け寄る先は花の下 | 海東 |
カイツブリそっと寄ればつっと去り | 森 |
花冷えや一行で足る農日記 | 吉永 |
校庭で弾ける子らに桜舞い | 杉澤 |
新たなる仲間のとまどい春の夕 | 廣瀬 |
突風に右往左往の苗代田 | 三上 |
華やいで湖上に渡る春時雨 | 中嶋 |
入学生手を引く子等のたくましさ | 高野 |
童心に返る車窓やれんげ畑 | 好光 |
さざなみ句会(H18.3) | No.2 |
生前に見た風景か花吹雪 | 岡嶋 |
花の道薄紅色が頬染める | 常諾 |
満開や啓蟄のごとし人の波 | 川那部 |
わかくさの子らの手をひきヨモギ摘み | 池嵜 |
ヨーイドン歓声響き蝶が舞い | 伊庭 |
あいさつの声も大きく新教師 | 西村 |
熊野路は神代につづく春がすみ | 北島 |
泥散らし子らと楽しむ春雷明け | 蜂屋 |
空眺め着たり脱いだり春セーター | 海東 |
愛の日の愛の返事のこの形 | 森 |
花吹雪掌広げるマリアの像 | 吉永 |
街中に太鼓の響く春祭 | 三上 |
田植えどき家族が集い孫笑い | 杉澤 |
登校子そのまなざしに春爛漫 | 廣瀬 |
信号を待って伊吹になごり雪 | 中嶋 |
花冷えや駅舎に急ぐ人の群れ | 高野 |
水筒に詰める水よし山つつじ | 好光 |
早く寝て早く起きても花の雨 | 岡嶋 |
山茱萸(さんしゅゆ)を愛でるがごとく独り猫 | 常諾 |
束の間の晴天ここに田打つ人 | 川那部 |
新学期記念写真は桜色 | 池嵜 |
菜の花やアルミ缶きらり風舞いて | 伊庭 |
制服に髪束ねて進学す | 西村 |
白良浜桜ふぶきにときめいて | 北島 |
川べりで七草さがしあと二種類 | 蜂屋 |
休日の家族みんなで大朝寝 | 海東 |
帰る鳥くの字つの字を描き行く | 森 |
黄菖蒲の彩を覆えぬ夕帳 | 吉永 |
新任地菜の花街道疾走す | 杉澤 |
紫木蓮気品の漂う雨の朝 | 廣瀬 |
摘み草を手にいっぱいの登校子 | 三上 |
石蹴りの春花壇から遠くなり | 中嶋 |
歓迎会花を肴に盃を干す | 高野 |
ひらがなを習って歌って辛夷咲く | 好光 |
青空を隠すつもりか大桜 | 岡嶋 |
山の色街の色消し黄砂降る | 常諾 |
全身に風を食して幟舞う | 川那部 |
桜散り水面にまた花咲かす | 池嵜 |
石灯籠帽子が似合い花吹雪 | 伊庭 |
ランドセル並びて歩く新入児 | 西村 |
春の海夕日を割って進む船 | 北島 |
窓辺から夜照り映える白木蓮 | 蜂屋 |
頭寄せのぞいてみれば蛙の子 | 海東 |
さざなみ句会(平成18年3月)
古日記嘘もまこともわが本心 森
転勤のうわさ突然春の雷 吉永
日曜の寝ぼけ眼に春の雪 杉澤
最終のレンズを磨く灯台守 廣瀬
読みかけの本そのままに春炬燵 三上
緋毛氈なみだなみだの卒業子 中嶋
正装の足元引き締め卒業子 高野
ランドセル揺れる畦道花菜晴れ 好光
引っ越しのトラック揺れる春の夕 岡嶋
巣立つ子に幸多かれと座禅草 常諾
巣立鳥高き低きの梢かな 川那部
成長の証を示す卒業宣言 池嵜
引っ越しの広い部屋にも春の風 伊庭
泣き笑い顔混じりて卒業す 西村
学舎に黙礼し去る卒業子 北島
新緑と寒の戻りを堪え忍ぶ 蜂屋
散歩道孫と祖父と彼岸寺 海東
降りし後客なきバスや雪の夜 森
食卓に零れる笑顔桃の花 吉永
空路にて桜の絵地図目に映り 杉澤
葦を焼く蒼きにあこがれ目に涙 廣瀬
うららかやワンデーマーチの長き列 三上
耳たぶにくすぐる風やスミレ草 中嶋
晴れやかにただ晴れやかに卒業子 高野
忘るより確かめんとて花の宿 好光
古ハイツ壁にもたれつ蒲公英や 岡嶋
うれしさと涙の交じる卒業期 常諾
湯気立ちて頬膨らまし土筆飯 川那部
寄せ書きの言葉を胸に卒業す 池嵜
今朝もなお寄り添う真鴨人恋し 伊庭
受験期の子の声はじける電話口 西村
教育の行方さかなに花見かな 北島
呼びかけの言葉が急に迫り来る 蜂屋
巣立ち鳥校舎の屋根で鬼ごっこ 海東
ありたきやモーツァルト聴く春隣り 森
卒業子視線の先はスクールバス 吉永
凛と立ち卒業証書に腕のばし 杉澤
ランドルセルパステルカラーの思案顔 廣瀬
左義長の一斉奉火や春の雨 三上
信号を青にし渡る春の風 中嶋
種芋や命の鼓動静かなり 高野
尚哀し笑顔の写真や菜種梅雨 好光
店先にオレンヂならびあたたかし 岡嶋
鬱屈がちょっと重たい春の雨 常諾
母の手を競う手に汗青き踏む 川那部
店先で野球観戦春の雨 池嵜
春の雨大地静かに動き出し 伊庭
タイヤ交換恨めしくなり春の雪 西村
連絡船行きつ戻りつ海のどか 北島
春風に木の葉のごとく揺れる鴨 蜂屋
淡き桃心にやさし射す夕陽 海東
姿のまま落ちる椿の潔し 森
満点の自信ふつふつ試験の児 吉永
ホワイトデー閉店間際に駆け込みて 三上
キャンパスの弾ける声に桜舞い 杉澤
鳰のうみただおだやかなるドックの日 廣瀬
落椿色鮮やかに墓参り 中嶋
懐かしき友の便りや春の宵 高野
絵筆では描けない数の筆の花 好光
花の種買ってスキップ帰るまで 岡嶋
巣立つ朝悲喜こもごもに春の雪 常諾
再会を誓いし苗木卒業碑 川那部
春の雪徹夜仕事の手を止める 池嵜
枝ぶりに香りも競い盆梅展 伊庭
二人連れ襟立て歩く盆梅展 西村
我ここにありとすっくりつくしんぼ 北島
冬過ぎてマスク需要はなお伸びる 蜂屋
うららかな肌柔らかき花の風 海東
この部屋を子の出て行く日春立ぬ 森
クレヨンの片減り桃の花描く 吉永
木々芽吹く古城によりそう朝の月 杉澤
しずかなる雨のしみこむ麦のあお 廣瀬
卒業子式場前に整列す 三上
スキップの子に手をひかれ春花壇 中嶋
チューリップ宴の後に凛とたち 高野
外輪船春、春、春と歌い出す 好光
花うたう町にいくつの流行り歌 岡嶋
駆けてくる子の手に土筆門開く 常諾
雪解けを湛えて碧し水鏡 川那部
卒業歌教室の笑顔目に浮かび 池嵜
ミコとマコ涙腺緩み春嵐 伊庭
教習車多く走りおり春の空 西村
シャボン玉今度の願いは遠くまで 北島
巣立つ子の先案じつつ美酒重ね 蜂屋
夜桜や遠き思い出呼び覚ます 海東
さざなみ句会(H18.2)
1 えりを刺す漁夫の背中の白き湯気 廣瀬
2 オレンジ灯白銀に照りおぼろなり 伊庭
3 お父さん頼んだわよとひな人形 西村
4 からからと笑う下校児姫椿 北島
5 歓声を残して帰路の雪間草 高野
6 ゴーグルに光集めて春スキー 池嵜
7 しかと見ん雪屋根支え座禅草 伊庭
8 春泥や背中に残る鬼の役 好光
9 立ち上げしプロジェクトあり冬銀河 北島
10 たらの芽の天ぷらがいいのと無理を言い 西村
11 チャット中ちょっと一息ホットチョコ 岡嶋
12 釣果なし波紋はすべて春の鴨 高野
13 朝刊を取る手も暗く余寒あり 高野
14 綱を引く犬にかぶさる冬銀河 高野
15 転職を語る人から賀状来る 北島
16 長かりし悩みも晴れて冬木立 北島
17 似合います苺ムースに春の雪 好光
18 ノーマルで冬越え果たす新車かな 蜂屋
19 春寒し子等固まりて帰路につく 高野
20 病室の窓辺に一輪すみれ草 北島
21 ビル群に重なる郷の雪景色 杉澤
22 ポップコーン娘と分け合う春隣 好光
23 ほめられて帰る子スキップ春一番 杉澤
24 ゆれ動く湖面の光かいつぶり 三上
25 立春やパステル色の絵の具買う 好光
26 鑞梅や山門の文字の柔らかき 好光
27 黄梅や昔を語る声和み 杉澤
28 華やかなディスプレイ眩しバレンタイン 西村
29 寒の海飛沫小さく稽古海女 吉永
30 寒ゆるみ起きた翌朝五里霧中 蜂屋
31 寒詣読経ひびき旅の人 川那部
32 寒椿落ちて詩人の目を誘う 森
33 寒風をもろともせずにドッジボール 岡嶋
34 教室のメダカも祝う卒業式 池嵜
35 句誌一つ窓辺にあって妻の春 森
36 軽やかに春は靴から上着から 中嶋
37 県境の避寒駅舎に汽笛鳴る 川那部
38 軒上の雪壁すべり駐車場 川那部
39 枯れ枝に花が咲いたと雪のあと 岡嶋
40 紅椿咲きて直下に雪急襲 中嶋
41 再挑戦桜咲かすと子と祈り 廣瀬
42 冴え返る大寺の石哭いてる 吉永
43 残業の月夜に輝くオリオン座 蜂屋
44 枝先の二分膨らみて二月かな 森
45 叱られて蜜柑に爪の強く立て 森
46 失格に拍手凍てつくトリノ発 常諾
47 小休止さざんか散り敷く遊歩道 廣瀬
48 新雪にダイブ試み都会っ子 伊庭
49 成長の姿眩しく謝恩会 池嵜
50 青空に雪が散らつく迷い空 岡嶋
51 積もる雪負けじとワイパー帰路急ぐ 伊庭
52 節分や大津絵の鬼逃げ場なく 吉永
53 雪かきの苦労話や燗の酒 三上
54 雪だるま河川敷をり誰を待つ 伊庭
55 雪だるま並んで夜の学校に 常諾
56 雪とけてグランド一ぱいの子どもかな 中嶋
57 雪降って子でいっぱいの運動場 蜂屋
58 雪降るとテレビが告げる受験の日 中嶋
59 雪国や心も放つ露天風呂 岡嶋
60 葬列を包んで雪の降りしきる 常諾
61 卒業へ一糸乱れぬソーラン節 池嵜
62 存分にスキー楽しむ空の青 三上
63 待ち望むつよき命の枯れ野焼き 廣瀬
64 鉄棒の端に赤錆余寒なお 吉永
65 天井を睨み思案の大試験 吉永
66 冬市場蟹売る声に歩み寄り 三上
67 奈良町に小袖往き交う雛節句 常諾
68 鍋団欒窓の滴が垣間見せ 杉澤
69 二月風増える歩道のマスク顔 西村
70 日だまりに急に大きくすみれそう 中嶋
71 白鳥の首差し上げて春来る 森
72 父親の達者のおかげの水菜喰い 西村
73 保健室賑わうなかれ布団干し 川那部
74 未来への扉を開けよ巣立つ子ら 池嵜
75 夜回りの太鼓の響き冴え返る 三上
76 油断してそろそろ芽を出すチューリップ 蜂屋
77 夕映えに行きつ戻りつ寒雀 川那部
78 幼子の母にかけよる手に土筆 杉澤
79 列をなし羽つくろいぬゆりかもめ 廣瀬
80 凛と張る氷きらめき登校児 常諾
81 白い湯気鹿の背中に春浅し 海東
82 初春の雲の切れ間に身引き締める 海東
83 春寒の過ぎゆく日々に何思う 海東
84 浅き春トリノの余韻布団の中 海東
85 春めいて年とることも忘れけり 海東