>俳句徒然

花藻5月号(27/5/1)

野仏は片手拝みで往く遍路
思い出をこぼさぬよ様に牡丹剪る
正論をいつも吐く妻春炬燵
?挿して廃れゆくもの守り継ぐ
長閑しやきっちりと折る紙人形

「花藻」既刊誌より(27/4/22)

薫風ゆっくりまわる大風車 
五月の天麒麟の首の長きこと 
粽解く昔話を聞くように 
栗の花少年恋を知り初むる 
目標は次の新樹よ一輪車 
麦秋や宙をひた蹴る赤ん坊 
全天の星を華としビアガーデン 

白い靴履いて若葉にあいに行く(27/4/21)
  花藻大会高点句(既刊誌より)

「花藻」の既刊誌より(平成27年4月20日)

風は自在に散るゆく花は人臭き 
空の青踏んでシートの花見客 
沖といい遠いといい 春霞 
子育て期古り地球儀に春埃 
花冷えという美しき一語かな 
明日よりも今日が大事と花は葉に 
登り来て視野に展けし花・花・花 
深海魚たらむ春暁の底をゆく 
陽炎を歩いて女透きとおる 
少年の大志は一つ揚雲雀 
春一番青い帽子を追いかける  

 

 

魂の芯 「花藻」既刊誌より(27/4/19)

一瀑へ来て魂の芯まで冷ゆ
紺の玻璃破り競泳始まりぬ
点滴の一滴一滴いのち惜し
土間の南瓜蹴飛ばす村のシンデレラ
田園の彩甦る大夕立
酔醒め襟かき合わす宿浴衣
海月透く透けざる吾を前にして
まだ微熱残る日昏れの百日紅
鬼やんま目玉にうつす敵味方
皺のなか声の若さの生身魂
ふくよかな土偶の乳房夜の新涼
露の野や隅の欠けたる石の斧
薔薇崩れ怠惰の匂い残しおく
白き腹晒して蝉の命果つ
内視鏡半分通過汗固まる

万歩計〔花藻〕既刊誌(27/4/17)

体内に悪魔棲ませて花を見る 
万歩計歩かされてる山の径 
燕きて一気に空が青くなる 
天ぷらの油疲れてくる遅日 
うららかに二輌電車の欠伸かな 
ぬくもりが伝ふ絵手紙梅におう

花藻(既刊誌より)27/4/16

草餅に母の小さき指の跡
庭下駄の足裏になじむ夏初め
舐めて春夢二の切手ある浅き
注釈もひらがな母の種袋
物忘れその先言わず浮いてこい
会えそうな気がして夏の帽子買う
新緑や迷わず駆ける男坂

 

新樹(うきくさ句会・既刊誌より)(27/4/15)

夜の新樹五感を残す身の火照り    夏生
六月の古き手紙の匂うなり       泉
父の日やひらがなで書く感謝状    幸司
真っすぐに大地を裂きて筍掘る    紀子
花の飛機玩具のような街残し     となみ
駄菓子屋に昭和が匂う夏祭      満寿枝

少年期(平成27年4月14日)

少年期よみがえらせて辛夷咲く(23/5/9)

辛夷は春を呼ぶ花である。早春の澄みきった青空に向かって真っ白な花が咲く。
校庭の辛夷は巣立っていく少年の息吹を誰よりもよく知っている。
辛夷の花は少年期の記憶に蘇らせる。「蘇る」でなく平仮名の「よみかえらせて」
が気に入っている。

☆ 子つばめにはじめての空広かりし 

 顔を並べて巣の中で親が運んでくる餌を待っていた子つばめ。
そのうち飛び方を習い始めるまでに成長する。巣から離れて
初めて見る空は、子つばめにはどのように見えるのだろうか。
飛翔する子つばめに対するいとおしさと優しさを感る。
さわやかな瞬間である。


黄雀風(27/4/13)


指の皺漁師の誇り黄雀風
明日葉や転んで立って子の育ち
舌先で音探してる海酸漿
大南風飯場に干された男シャツ
校長の姓名かたかな聖母月
一言のご免で仲よし風薫る
両岸を結び数多のこいのぼり

27年4月11日(句会)


春帽子ちょっとおしゃれな白選ぶ
故郷の訛りなつかし蕨買う
靖国祭若き血潮はセピア色
境内の句碑の歳月松の花

27年4月10日(句会)

少し難しい季語で句をつくりした。

里山の景ひきしめる忘れ霜
合掌し吾も善男花祭
ときめきて都おどりの切符買う

 

 

 

平成23年9月18日

かたはらの辞書古びたり文化の日 

国民の祝日である文化の日。「自由と平和を愛し文化をすすめる」ための日として定 められました。

作者の手元にはいつも辞書が置かれているのでしょう。長年親しんで きた辞書。それを愛おしく見つめている姿に

心の豊かさを感じます。「辞書古びたり」 が生きた作品です。

平成23年1月1日

湖へ甲高き声初景色

感動は言葉になる。いつも見慣れた景色も正月となるとまたひときわ新鮮に見える。放たれた言葉が興味深い

平成22年9月28日

満月を押し上げている古城かな
城の威を押し上げている夏木立

「押し上げる」という軽妙な言葉を巧みに生かした二句。いずれも句会で高く評価を受けている。城と相性がいいのかもしれない。

平成22年9月20日

俳句を話題にお酒を飲んだ。毎日50句創るという知人に言葉に指摘されたので、とっと頑張ってみようかなという気持ちになった。ふっとかつて創った句を思い出したので。

 菜の花や地蔵に預けるランドセル

 春はランドセルが似合う。ピカピカのランドセルを背負って下校する。緊張した一日の一寸したした時間を見つけ道草。大事な大事なランドセルはお地蔵様に預けることとして。菜の花、前垂れ、そしてランドセル。すてきな春の午後である。

       

平成21年7月5日
俳句の仲間と居酒屋で俳句談義。

炎えている恋のままなり落椿

「燃える」を「炎」。女性の情念が狂おしいほど感じる句。
落椿の紅さ印象に残る等の句評を楽しんだ。
某冊子に秀句として掲載されたのが話題のきっかけであった。